最近、IH調理器の具合がよろしくない。
昨年5月に、ヤフオクで落とした中華製のIH調理器(2018年製)だが、1700円(送料1280円込み)と安かったせいか、最初から熱検知アラームに悩まされ、調理がしばし中断していた。
一方で、壊れやすいと噂やレビューが絶えない某メーカーのIH調理器だが、しつこい焦げ付きを重曹とアルミ箔を使って除去し、一時は調子が復活してただけに残念ではある。
慢性的な熱暴走で、壊れかけてるのは百も承知だが、中古にしては(見た目は)美品に近いので、勿体ない気もする。が、騙し騙し使うにも限界がある。
だが、同じく1円(送料1540円)で落とした、同メーカー同タイプ(2018年製)のIH炊飯器は好調そのもので、焦げ付きも熱暴走も(今の所はだが)無縁の様である。
勿論、個体差もあろうが、(安いとは言え)新品で5千円以上もするIH調理器に、品質のバラツキを理由にするのも無理がある様な気がする。
でも何故、安物の中華製IH調理器は壊れやすいのか?
IHとは”Induction Heating”、つまり”電磁誘導加熱”との事で、ガスコンロや電熱器の様に直火や電気の熱で直接加熱するではなく、コイルに電気を流す事でまずは磁力線を発生させ、その磁力線が渦電流を発生させる事で、鍋やフライパンの金属中の抵抗が発熱し、熱が発生する。故に、熱効率が約90%と高く、殆どの熱エネルギーを調理に活かす事が出来る。
一方、ガスコンロや電熱器の熱効率は50%程で、大半の熱は部屋を暑くするだけとされる。ハイブリッド車とガソリン車の違いと見れば、理解し易いだろう。
つまり、その名の通り”電磁が熱を誘う”のである。故に、磁力に反応する鉄やステンレスがIHに対応し、磁気に反応しないアルミや土鍋はIHでは使えない。事実、熱伝導のいい分厚い鉄鍋(スキッド)では、低温(160℃)でも天ぷらがカラリと揚がる。
因みに、IHの詳しい仕組みだが、導線に交流電流を流すと、その周りに磁力線が発生する。その近くに電気を通す(又は磁気に反応する)金属を置くと、その物質の表面付近に磁束の変化を妨げる向きに高密度の渦電流が流れる。これを”電磁誘導”と呼ぶ。
一方、金属には電気抵抗がある為、”電力=(電流)²×抵抗”のジュール熱が発生し、金属内が発熱する。この発熱を利用し、加熱する事を”誘導加熱”と呼ぶ。一般的には、導線にコイルを使用し効率を向上させるという。
某動画CHでも説明されてたが、電流の周波数を上げる事で高熱を発生させる事が可能となるが、外周に熱が偏り、焦げや熱暴走の原因となるらしい。逆に、周波数を下げる事で温度は低くなるが、コイル全体に熱を均一に分散させる事も可能だとされる。
従って、前者は格安の中華製IHに、後者は高価で品質が安定した日本製IHに使われるとか・・・
こうして電磁誘導加熱の原理から逆算すれば、安価な中華製IHが熱暴走でイカれ易いのも十分に頷ける。
つまり、中華製IH調理器が壊れ安いのは必然の結果だったとも言える。
補足〜IHは身体に悪い?の嘘とホント
IH調理器で一般に危惧されてるのが、EUや米国では電磁波の健康被害が危険視され、IHの導入率が低いという噂である。
IHによる電磁波を浴びてガンのリスクが上がる?とか、ヨーロッパではIHを禁止してる?とか、アメリカでは電磁波を制限してる?とか・・・
本当に、電磁波は健康に悪いのか?
結果から言えば、デマや風評被害に過ぎなかった事が証明されている。
事実、欧州の各国ではIHの売上は増加してるし、”世界で最も電磁波に厳しい国”であるスウェーデンやスイスも”安全だ”と認めている。
更に、仮にIHが危険なら工業用にもっと凄いのがあるし、バタバタと人が死ぬ筈だ。周波数の近いAMラジオの電波塔などはもっと危険で、ラジオの周りは死の街になってる筈であるとの、X線残留測定センター長である三島氏の声もある。
因みに、米国のIH調理器のマーケットは、毎年4000億円規模で増え続けているという。
通常、IH調理器の加熱部からは数十khzの電磁波が発生する。電磁波の性質は周波数によって異なるが、それぞれの周波数の電磁波の健康影響について、国内外の公的機関が評価している。
まず、数十khzの電磁波については、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が、ガイドライン(2010年版)の中で27マイクロテスラ(μT)を健康への有害な影響を与えない上限値としている。
実際、IHクッキングヒーターの使用時に発生する電磁波は0.8μT程(本体より30cmの位置、日本電気工業会調べ)で、ガイドライン値と比べて十分に小さい。但し、心臓用ペースメーカーを使ってる人は専門医に相談との事だ。
以上、今どきのIH調理器のお話でした。
周波数の違いで熱が均一に広がるか?一部に集中するか?
全ては学習なんでしょうか。
電磁誘導発電のお話とても勉強になりました。
一方で日本製のIHは、多少コストを犠牲にしても、安全と安心をモットーとする。
勿論、長い目で見ても日本製が有利なのは明らかですが、中国もローテク家電に関しては飛ぶ鳥を落とす勢いですが、ハイテクになるとまだまだ開きがあるみたいです。
全ては学習なんですが、その学習にも次元があります。
特に、日本の(数学を含めた)科学技術の質とレベルは、まだまだアジアのトップな筈です。
こちらこそ、これからも色々と勉強した事を発信していきたいと思います。