たかがオリンピック、されど・・・
これぞ、私が一番見たかったオリンピックのシーンである。まさに、祭典を超越した激闘であり、まるで日露戦争の再現のようでもあった。
つまり、引き分けの時点での判定であれば、日仏戦争に勝利してた筈だ。が、そこは停戦協定も休戦条約もない、フェアなスポーツの世界である。
結果は、延長でフランスに敗れたものの、世界中に、体格とパワーで劣る日本が、バスケットでも世界を圧巻する事を証明した瞬間でもある。
これからの五輪の主要競技は(世界的にも球技人口とファンの多い)バスケットに移行するのであろうか。そう思わせる試合でもあったが、少なくとも(動きと競技人口の少ない)野球が五輪種目から外された事は正解だった。
パリ五輪が開催中だが、コロナ渦時の東京五輪と同様に、その殆どにおいて私の心が踊る事はなかった。
見たい競技がない訳ではない。特に、バスケットとバレーボールだけは見るつもりである。それ以外は興味すら覚えなくなった。
更に言えば、多くのメダルを期待される柔道やレスリングや体操は、4年に1度でも面倒に感じる様になったし、スケボーやブレイクダンスなんかは”プーにやらせとけ”って言いたくもなる。
一方で、ソ連が強かった頃は、米対ソ、西側対東側の縮図が鮮明で、激しい火花が散り、殺気が交差したものだ。まるで、戦争というお祭りを見てる様で、毎日が興奮と緊迫の連続だった。そんな中での、日本選手が獲得するメダルの価値は今の数倍、いやそれ以上にも及ぶ。
だが旧ソ連が分解し、西と東の対立がなくなり、4年に1度の”戦争”は(アメリカを含めた)西側世界だけの仲良し運動会に成り下がった。
”最低でも金メダル”とか”自分を褒めてやりたい”とか”有言実行”とかの、生温い言葉が持て囃されたのも、ロス以降の”片肺”五輪の事である。やがて、商業路線に大きく傾いたオリンピックはNBCの餌となり、売女のひな壇みたいに低俗な見世物なり下がる。
それでも、私は東西が対立してた頃のOlympicGamesを夢見る時がある。そして、それが昨夜に限っては実現したのだ。これほどの贅沢がどこにあろう。日本選手が何十個の金メダルを獲得しても、昨夜の様な真の躍動には敵わない。まさに、TVに釘付けになるとはこの事である。
世界で一番人気のあるスポーツは?
最近は、かつてはお茶の間の娯楽の定番であった野球ではなく、バスケットをよく見るようになった。特にバスケットに関しては、Mジョーダン以来のブームではないだろうか。
それにNHKや民放は、サッカーや野球より、バスケットやバレーボールを積極的に放送してる様にも思える。
先日も、TBS系列ではバレーボールのネーションズリーグが放送されていた。オリンピックと世界バレーに並ぶ、バレーボールの3大大会だが、規模や人気からしてもMLBやプロ野球を凌ぐ勢いがある。
見てて、ファン層は若い女性ばっかで、オジさんは思わず嫉妬してしまう。それに比べ、MLBのファン層は高齢者が多く、そのうちゲートボールに成り下がるのだろうか。
因みに、世界的規模で言えば、サッカーやバスケット、バレーボールらが代表的なスポーツですが、「世界のプロスポーツランキング」を紹介します。
まずは、人気ランキングだが(括弧内はファンの数)、1位サッカー(35億人)、2位クリケット(25億人)、3位バスケット(22億)、4位ホッケー(20億)、5位テニス(10億)、6位バレーボール(9億)、7位卓球(8.5億)、8位野球(5億)、9位アメリカンフットボール・ラグビー(4億)と、野球は(同じ起源を持つ)クリケットに大きく引き離され、卓球にも遠く及ばない。
結局、MLBは今やアメリカの一部だけで展開するオールドボールな事がデータ的にも実証された結果となった。一時は、オールドゲームと揶揄されたクリケットですが、リーグが一部の国に限定されてるにも関わらず、今や世界一の視聴率を稼ぐ事が実証された。
次に、競技人口ランク。1位バレーボール(約5億人)、2位バスケット(4.5億人)、3位卓球(3億人)、4位クリケット(3億人)、5位サッカー(2.5億人)と、若い世代に絶大な人気を誇るバレーボールが1位に輝く。人間って正直ですよね。一方で、野球はここでもクリケットに大きく離されてます。
一方で、日本国内ではどうかと言うと、1位サッカー(約91.9万人)、2位野球(65万人)、3位陸上(42.5万人)、4位バレーボール(41.8万人)、5位卓球(36万人)と、”野球の国”の日本もサッカーに大きく引き離された結果となった。
因みに、日本のバレーボールの競技人口は世界で最も多いとされ、若い女性に絶大なる人気を誇るのも頷ける。
2021年と、少し古い(アバウトな)データですが、世界の年俸ランクでも、上位はサッカーやアメフト、バスケットやテニスらに阻まれ、MLBはベーブルースの頃の様な破竹の勢いは微塵も感じられません。つまり、人気とレベルが急落したメジャーで、大谷1人頑張っても既に限界がある。
勿論、所詮はプロスポーツと言えど、見世物(興行)だから、人気や稼ぎやファン層で判断する訳にも行かず、でも統計とファンはウソをつかない。
カッコいいものに時代と人は群がるし、古くてダサいものには背を向けられる。
しかし以下で述べる様に、欠点があるからこそ人気があるし、成長するスポーツや娯楽も存在する。
欠点があるからこそ、人は成長する
私はバスケットをやった事もないし、Mジョーダンのナイキシューズ”エアー”のブームに熱くなった世代ではあるが、それでも日本のBリーグを見てると、令和のお茶の間の王道は野球からバスケットに移行しつつあるのが実感できる。
でも何故、今になってバスケットを題材にした漫画「スラムダンク」に日本列島は熱狂するのか?
原作者である井上雄彦氏は”成功の秘訣”をこう語る。
”登場人物全てに必ず1つ欠点を作る。人は長所で尊敬され、短所で愛される。完璧な人を目指す必要はない。不完全さは世界を面白くする為に必要な要素なんだ”
つまり、”何でも出来るオールマイティな登場人物は絶対に作らない。みな欠点があるが、それを支え合い、活かし合う。故に、いいチームになり、面白い漫画になる。必ず登場人物に欠点を作る”これが漫画を面白くするコツなのらしい。
つまり、欠点とは”欠けてる点”でなく、この世界を面白くする上で、あなたに”欠かせない点”なのであり、そこには自分しか持っていない貴重なお宝が眠ってる筈だ。
故に”欠点は克服するものではなく可能性を広げてくれるもの”であり、欠点が多い人ほど、どんどん人の力を借りて大きな丸になる。
確かに・・・私が大谷翔平を好きになれないのも、八方美人的な”個性のなさ”にある。言い換えれば、単に”外面がいい”だけの事であろうが、度が過ぎて気色悪くもなる時がある。それでも数字を残してる間は、チヤホヤされるのだろう。プロの世界と言えばそれまでだが・・・
週刊少年ジャンプで、1990年〜96年まで連載された「SLAM DUNK」だが、個性あふれるキャラクターたちが揃う、神奈川県立湘北高校バスケ部が全国制覇を目指す物語だ。国内でのシリーズ累計発行部数は1億2000万部以上にもなる。
更に、原作者の井上雄彦氏自身が監督を務め、2022年末に公開された映画「THE FIRST SLAM DUNK」は、漫画を知らない若い世代にも口コミで評判が広がり、興行収入は150億円を突破した。
日本を含め、アジア全体がこの映画に熱狂したのは様々な理由があろうが、私から言えば、1人1人のプレイヤーの強烈な個性と、プレースタイルの躍動感と多様性にあると思う。
特に(野球とは異なり)バスケットは動きが激しく俊敏かつ獰猛で、コンタクトも半端ではない。更に、とてもアグレッシブなスポーツでありながら、絶妙なチームワークと阿吽の呼吸も必要とされる。故に、一度見入ってしまうと、タイムが掛かるまで目が離せない。
事実、昨晩の激闘でも、僅か40分に全ての躍動と知能が凝縮されたスポーツである事が実感できた。動きが獰猛で躍動感溢れるというのは、4年に1度の世紀の祭典でなくとも、ただそれだけで観客を魅了するのだ。
アニメとその時代
一方で、野球はと言えば、動きは緩慢でコンタクトも殆どなく、最近は乱闘もクロスプレーも皆無となった。更に、お腹は妊婦の様に出っ張り、首には金ピカを巻きつけ、私生活(特に性生活)がプレー同様に怠慢になり、腐りきってるスター選手も少なくない。
その上、試合はダラダラと4、5時間も続き、客層の大半は爺さんと孫といった感じで、多くの子供はゲームには関心がなく、オネンネ状態である。若い人もいるにはいるが、多くはゲームよりもスマホに夢中だ。
そういう私も、偶にNHKでMLB中継を見るが、最初の数イニングでチャンネルを変える。”夢グループ”の宣伝と同じで、老人臭い展開の怠慢さに苛ついてしまう。
日本にはゲートボールという老人向けの娯楽があるが、ベースボールも負けてはいない。今や野球はオールドボールと言う名の老人向きの娯楽と言える。そう、老人と時代は正直なのだ。
こうした淋しい状況下で、MLBのレギュラーシーズンはスポンサーや放映権が付かないのでは?と噂されたが、半分は現実のものとなりそうな勢いである。
一方で、「スラムダンク」がアジアで大ブームになったのは、アジアの若者だけではなく彼らの国民が、サッカーや野球などのプロスポーツに変わる娯楽の王道として、漫画(アニメ)上のキャラに求めてるからではないだろうか。
確かに大谷翔平は、アメリカの闇組織に狙われるほどのスーパーな野球選手である。更に言えば、「スラムダンク」に登場するキャラクターに匹敵する存在でもある。人が良くて無教養で無学であっても、それが欠点になる事はないし、何が起きようとも彼は完璧なのだ。
一方で、2年半もの間、自分の口座を1度も確認しなくとも、誰も彼の事を無能呼ばわりしない。野球一筋で黒板の字が読めなくとも、ベーブルースみたいに”ニガーリップ”とは野次られない。
日本人は、大谷選手の事を完全無欠なスーパーヒーローとして奉っている。特にメディアは、大谷選手の”欠点”を覆い隠そうと必死である様にも思える。
前述の様に、欠点は隠すべきものではなく、存在するものである。欠点を活かす事で人は大きく成長する。逆を言えば、欠点のない人間はそれこそが欠陥であり、そうした欠陥は百害でしかない。
人は長所と欠点のバランスをとりながら生きている。長所も度が過ぎると欠点になり、欠点も場合によっては長所となる。が、欠陥は治さない限り、致命的なミスを誘発する。
スター選手は、若い時はその欠陥が見えにくい。逆に、歳をとれば欠陥ばかりが目につく。王サンも世界のイチローも例外ではなかった。
そういう意味では、漫画の登場人物は歳を取らないし、欠点はあっても衰える事はない。つまり、欠点が欠陥になる事もない。
つまり、「スラムダンク」は(長嶋サンとは異なり)これからも永久に不滅なのだろう。
フランス戦は日露戦争を彷彿させる程の死闘だったのに、ブラジル戦は善戦はしたものの、いつもの日本代表でした。
勿論、48年ぶり自力出場の五輪というだけで金メダルものですが・・・
正直私もショックです。
少なくとも、決勝トーナメントでの日仏戦のリベンジを見たかったですね。
フランス戦では、審判の微妙な判定さえなければ===との声がSNS上でも多かったけど
ブラジル戦を見る限り、フランス戦はラッキーだったのか?単に力を抜いてたのか?
所詮は予選リーグだから、優勝を狙う強豪チームが100%本気になる筈がないし、八村のように主力がケガをすれば、決勝の戦略やプランはパーになる。
競技自体に卑賤はないけど、競技間でここまで難度が違うと、少し考えてしまう。
特に、バスケやサッカーなど攻撃と防御が一体化したメジャーなスポーツは、スポーツとしての質の高さと激しさも半端ない。
何だかオリンピックのもう一つの過酷な側面を見てしまったようで、言葉に出来ない自分がいる。
”フランスはフェアじゃない。それに背が高いだけでセコい”とか語ってましたが
この体操オタクはバスケットといったメジャーなプロスポーツの本質を全く理解してないように思えました。
昨今の金メダリストって、そんな程度のレベルなんですよ。
河村選手もですが、八村選手の2度目のファウルは明らかにおかしいですよ。
勿論地元のフランスですから、何らかの力は働いてるとは思いますが、全てはいい方向に考えて、気持ちを切り替えたいですよね。
ショットクロックは微妙でしたが、八村の2度目のファウルも含め、日本はジャッジに泣かされました。
SNS上でも世紀の誤審との言葉がトレンド入りしています。
勿論これら全てを含め勝負であり、バスケットの醍醐味でもあるんですが>>>
日本以外の国々のバスケファンが日本に同調してるのは、大きな支えと励みになるのです。
まず、動画を見て最初に思い浮かべたのが
ミュンヘン五輪での米ソの決勝。
一旦は、50-49でアメリカの勝利とされましたが、審判の裁定で試合時間が残り3秒にまで戻され、その僅か3秒でソ連が逆転。
それまで続いてたアメリカの連覇に終りを告げます。
勿論、アメリカは判定を不服とし、表彰台と銀メダルを拒絶しますが、3秒間を勝利に変えたソ連の執念には感服でした。
その時は、まだ子供だったから裏で何が起きたのか?知る由もないのですが、ソ連という国家の威信を賭けた戦いだったんでしょうか。
それにしても、日仏戦の残り10秒での河村選手のファウルも非常に微妙でした。
審判の裁定も含め、全てが勝負なんですよね。
実にもったいない。
では、こちらをどうぞ!
着色した原作で再現した「山王工業戦」です。
こちらはラスト8秒の攻防&逆転です。
https://www.youtube.com/watch?v=NtWsBphVz5U
バスケットは学校の授業以外ではやった事はないんですが、凄く激しいスポーツなんですね。見てていつもそう思います。
Mジョーダンが活躍してた頃、私の田舎でもバスケが流行りましたが、昨日の事のように思われます。
言われる通り、人間の全ての能力が試される競技ですね。
それと、”スタム”のご指摘、有り難うです。
パリ五輪間近になり、バスケよりもバレーの方が盛り上がってしまい、ボツにしようかと迷ったんですが、昨夜の激闘でいいタイミングで記事が書けました。
日本には何としてでも決勝トーナメントに進出してもらい、フランスにリベンジを果たしてほしいです。
八村の退場とショットクロックは、誰が見ても不可解な判定でした。
何だか血圧が急上昇しそうな試合でしたが、ホント久しぶりですよね。
ミュンヘンの時も、一晩中起きて家族と見てました。その再現となる事を願いたいです。
ただ、NYニックスのPユーイングにそっくりの人(赤木剛憲)がいて、気にはなってたんですが・・・
”ラスト15秒の攻防”は痺れました。
それに、八村の退場が痛かった。NBAなら2度目は反則じゃない筈ですが、あれがなければ確実に勝ってましたね。
海外のバスケファンも”日本は審判にやられた”と大ブーイングでした。
バレーもバスケも漫画やアニメがタイミングよく牽引し、時代と大衆は正直だなと感心しきりです。
いつもコメント有り難うです。
記事のタイトルで
スラムダンクがスタムダンクになっていますよ。
更に、激闘よりも激動って感じだった。
ミュンヘン以来かな・・TVの前でこんなに熱狂したのは
ミュンヘンの時は準決勝だったけど、昨夜はまだ予選リーグ。
日本が決勝に進んだとしたら、旭日旗ではなくスラムダンクの旗が振られるのだろうか。
僕は「スラムダンク」では三井寿が好きなんですけど、まさにその欠点が魅力的!
スリーポイントシュートの天才でありながら、昔ヤンキーをしていてトレーニング不足で体力がない……。
その体力のなさが三井のドラマになっている。
オリンピックの男子バスケのフランス戦、よかったですね。
ラスト15秒の攻防!
まさに「スラムダンク」の山王工業戦でした。