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工業廃液から、エネルギー生み出す夢の触媒技術開発!

2010年08月18日 | 化学

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 ベンゼンがメタンに変わる
 重油で燃やす以外に有効な処理法がなかったベンゼンなど芳香族系有機物を含む工場廃水を触媒により有機物を分解して処理する方法を、大阪ガスと月島環境エンジニアリングが開発した。

 ベンゼンなど芳香族系有機物を含む工場廃水は半導体工場や化学工場などで発生し、生物処理法では処理が困難だった。新しく開発された方法は、ニッケルを特殊処理した触媒に高温・高圧となった廃水を通過させる。芳香族系有機物を高速分解できる上に、処理過程で発生するメタンを主成分とする可燃性ガスを燃料として再利用できる利点もある。

 大阪ガスなどによると、可燃性ガスの再利用による効果を盛り込むと、重油で燃やして有機物を分解する従来の処理法に比べ、二酸化炭素(CO2)排出量を110%削減できるという。

 新しい処理法は、環境省の「次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業」に採択され、11月から1年間、大津市のルネサス関西セミコンダクタ滋賀工場でパイロットプラント(廃水処理量1日5立方メートル)による実証試験が行われる。大阪ガスと月島環境エンジニアリングは、2012年度の商品化を目指すと言っている。(サイエンスポータル 2010年8月6日)

 分解処理の難しい工業排水
 大阪ガス株式会社、および月島環境エンジニアリング株式会社は、エネルギー創出型廃水処理プロセス(以下「本プロセス」)の商品化に向け、国内で初めて、パイロットプラント(ルネサス関西セミコンダクタ株式会社滋賀工場に設置)による実証試験を開始する。
 
 一般的に、半導体工場や化学工場などで発生する廃水のうち、従来の生物処理法で処理が困難な芳香族系の有機廃水については、重油などの燃料を用い、燃焼処理する方法が採られている。この方法では、燃料を大量に使用するため二酸化炭素を多く排出し、処理コストがかかるという課題がある。

 芳香族とは、ベンゼンなどの石油化学系環状物質。構造が複雑で化学的に安定しているため、生物処理法では浄化処理が困難な物質であることが多い。
 
 触媒にニッケル
 本プロセスでは、ニッケルを特殊処理した触媒に高温・高圧となった廃水を通過させることにより、廃水中の有機物が高速で分解処理される。同時に、その処理過程で創出されるメタンを主成分とする可燃性ガスを工場内でボイラー等の燃料として有効利用することが可能となる。
 
 その結果、重油などの燃料を用いた燃焼処理に比べて、CO2排出量を約110%削減し、廃水処理コストを約40%削減することができる。

 生成ガスのCO2削減効果を含む本プロセスは、月島環境エンジニアリングの廃水・排ガス処理技術に関するエンジニアリング力と大阪ガスが蓄積してきた触媒技術とを結集したものであり、この実証試験(平成22年度実施分)は、環境省の「平成22年度次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業」に採択されている。

 この実証試験を通して、本プロセスの実用化を加速し、平成24年度の商品化を目指す。

 実証試験概要
 ルネサス関西セミコンダクタ株式会社滋賀工場(滋賀県大津市)で、この実証実験「エネルギー創出型廃水処理プロセス パイロットプラント」は行われる。廃水処理量は 5m3/日、実証期間は、平成22年11月~平成23年10月である。
 
 文部科学省の地域結集型共同研究事業の1つとして、滋賀県産業支援プラザ、大阪ガス、京都大学、関西日本電気(現ルネサス関西セミコンダクタ)らが協力して、平成15年1月~平成19年12月の5ヵ年にわたり、本プロセスで使用する触媒の開発および評価を実施し、その成果を基盤に本プロセスを開発した。 (大阪ガス 2010年8月4日 )

 今まで、処理にエネルギーを必要としたベンゼンなどが、メタンを含む、エネルギーに変わる夢の技術である。ぜひ、日本の誇る科学技術の1つとして、世界に広げたい。

 

参考HP 大阪ガス・プレスリリース「エネルギー創出型廃水処理プロセス 

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