masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

愛犬 マック (後編)

2009年11月15日 | ペット
何とか気持ちを立て直して、マックに触れることが出来るようにはなったけど・・・

「だけど、このままじゃ何も変わらない!」と、本を読んだりネットで調べたりしました。

権勢症候群とか突発性激怒症とかいう病気のことも初めて知りました。

(尻尾を縛られていたようだし、何か人に酷いことをされてトラウマがあるのかも?)
(いきなり噛んだのは突発性激怒症では?)などとも思いました。

まだ自分に責任があったことに気付いていませんでした。

しつけ相談のようなサイトは、犬の年齢がまだ若かったり、小型犬だったりして、マックとは状況が違いましたし、回答も何となく上辺だけのような気がしました。
教科書的というか、実践的でないというか・・・

また、警察犬訓練所やトレーナーのサイトも見ましたが、書籍に例えるなら目次しか分からないという感じでした。
それに、訓練所に犬を預けるにしても、「担当につく人間によって結果は違う」と思っていましたし、誤解かも知れませんが、警察犬訓練所は「調教=体罰」というイメージがあり、マックには向かないと思いました。


「犬 噛む 権勢症候群」などのキーワードで検索をかけ、出てきたサイトを片っ端から読んでいくという作業を毎晩続けました。

マックは6才になっており、その年齢からの躾け直しは難しいと書いてあるところが殆どでしたが、検索で出て来たサイトは全て目を通すつもりでした。

これだ、と思うような所が見つからないまま2週間程経ったとき、
ある「掲示板」に辿り着きました。

心に感じるものがありました。

数日間掛けてその掲示板の過去ログを全て読みました。
「流行の褒めて躾ける肯定強化でもなく、昔ながらの体罰による調教でもない」
マニュアルでは無い、「臨機応変・創意工夫・真剣勝負。」
こんな感じが伝わってきました。

何より犬に対しての愛が感じられました。

その掲示板に書かれている内容から、初めて
「自分の精神的な弱さがマックを追い詰めていたのだ」ということに気がついたのです。

私は思い切ってその掲示板の管理者の方へメールを送りました。

過去ログを読んで、心構えは自分なりに理解できたと思います。
「愛と気合!」
でも実際の行動が分からないのです。



<頂いたお返事の一部です>

私どもの仕事は飼い主さんと御愛犬の仲立をすることでこのような誤解を一つ一つ排除し、飼い主さんが犬の信頼を取り戻していくお手伝いをさせていただくことであり、飼い主さんの努力や協力無しで成り立つものでは決してございません。

しかも飼い主さんの努力の中には、日々の犬との係わり合いだけに留まらず、ご自身の心の中を見つめなおし、ご自分の生き方の誤っていた部分を正していただくと言った、受け入れ難い作業も含まれております。


・・・・・・・・・

それから約1年間、メールのやり取りだけで「犬を躾け直す」ということに取り組みました。

確かに受け入れ難い作業でした。
自分の中の偽善や不甲斐なさと向き合うというのは・・・

本当に犬の事を大切に思って飼っていたのか?
ただ己が気持ち良くなる為の“慰み者”としていただけでは無いのか?
犬に縋ることで、生活の不満や自分の気持ちから目を背けていたのではないのか?

自分の頭をボカボカと殴りたくなりました。


又、順調に結果が現れてくる間は良いのですが、指示通りにやっている(つもり)にも関わらず犬が変わってくれない・・・
進むほどに壁にぶち当たります。
そういうスランプに陥る度に、この方に対して反発心を覚えるなんていう事も幾度となくありました。

そして、
実は私は落第生なんです。
中途退学をしたんです。

訓練の為の時間が取れなくなったこともありますが・・・
・・・壁を越えられなくて・・・


全く、「中途半端なろくでなし」なんです。

脚側歩行も出来ませんし、まだ人を噛む恐れもあります。
私の力では、今のところここまでです。


それでも、この方に教えて頂きながら取り組んだ結果は、マックの表情の違いに表れていると思います。


(飼い主の私を咬まねばならないほど精神的に追い詰められていた頃)
(目の下は窪み、頬は引きつり・・・この写真を見ると今でも胸が痛みます)


(メール相談による躾直しを始めてから、表情が可愛らしくなりました)


そして、今になってやっと理解できたのです。


<頂いたメールより>

自分の犬は自分で頑張るしかない。
人頼みで、いつまでもおんぶに抱っこは在り得ない。
他人を振り回して事足りたと言う感覚でいらっしゃるのでは(省略)

人を使わずに自分でコツコツ努力することや、自分の思い通りにことが進まないジレンマに負けない心を培うとか、これまでご自分の姿を見誤っていて、本当は他人の技術や、ご主人の愛情や経済力の真綿の中にあった自分に関し、全てご自分の実力だと思っていたことが「錯覚」でしかなかった、という現実に直面し、ご自身が持っていた虚構のプライドを捨てて真の実力を培うことを迫られている、という崖っぷちに立たされているのです。

ご自分の人間性を見直させられていると言うことです。



この2、3年の間に私は真綿に包まれた状態から放り出され、自分自身が矢面に立たざるを得なくなりました。

この日々を通して来て初めて、上に書かれていることが実感として理解できたのです。

とは言え、私はまだまだ小心者の未熟者です。

つい先日もお客様のタバコを注意する時に震えてしまいましたし、
目の前の困難にも、どうして良いのか分からずにただ立ち尽くすしか無い時もあります。
それでもやっぱり生きていくしかないのです。

躾け直しには「終わり」は無いのです。
マックは私自身を映す鏡です。
気を抜くと(だらしなくなると)マックの表情や態度にそれが如実に現れます(^^;

今でも、(マックの状態から)自分で自分が嫌になっちゃう時があります(><;(困)

「犬を躾ける」と言うことは「自分自身を省み、又、自制する」といった“己と向き合う作業”の繰り返しなのだと知りました。

何はともあれ、犬の躾け相談(メール)を通じて私の心を育てて下さった“永井さん”にとても感謝しています。

永井さんのHPです。

ADPA A-one dog pursuers association

スクール案内にマックのことも載っています。


サイト内より抜粋

あなたの姿が、愛犬の目にどう映っているのか。
もしこれまで、それを考えたことが無いとしたら・・・
それは、愛犬に対して矛盾する指示を発信し、ワンちゃんに混乱を招き、人間不信を植え付けていることに他なりません。

犬という動物が、物事に対しどう感じて、どう判断する生き物なのか。
愛犬の感じ方や考え方、ご自分の行動が愛犬にとって何を意味するかなど、飼い主さんがもっと理解を深めてあげることで、お互いの関係はより素敵なものに変わることでしょう。

犬は素敵な動物です。
彼らは、いつでも人間、特に、飼い主であるあなたに、自分のことをもっと理解してもらいたいと願っているものなのです。
ワンちゃんが、自分の想いを飼い主さんに理解されず、家族の中に居るにも関わらず、一人孤独に生きている…。
そんな時彼等は、ギラギラと緊張した目をして、無表情で、野性的な顔をしています



百聞は一見にしかず(^^)v

最近のマックの写真です。






この記事が、“愛犬の問題”で悩んでいる方の参考になれば幸いです。


愛犬 マック (前編)

2009年11月15日 | ペット
11年前、R子ちゃんから店(こうちゃん)に電話が掛かってきました。

「おじいちゃんの車の下に子犬が入り込んで居て出て来ない」

こうちゃんに頼まれて私が出向いて行き、車の下に潜り込んで出したワンコ、
それがマックです。


R子ちゃんとMちゃんに子犬を渡し、店に戻って暫くすると、
さっきの子犬を抱いたMちゃんを助手席に乗せてR子ちゃんが運転する車が店に来ました。

R子ちゃん「足を怪我してるみたいだから今から病院へ連れて行く」

戻ってきて
「骨折してるみたいだから手術することになった」との事で、数日間の入院となりました。

R子ちゃんたちは家で飼うつもりだったけど、こうちゃんパパに反対されちゃった。


「じゃあ、店で飼おうか。そうすればR子ちゃんもMちゃんも何時でも会いに来れるやん。」

私の提案で店で飼うことになりました。


だけどあの頃、私とこうちゃんの子供達はそれほど仲が良くなく(・・・っていうか以前の「Mちゃん」の記事に書いたようにMちゃんには避けられていたし、この後すぐR子ちゃんは家出したから・・・)

数回子犬に会いに来ただけで後が続かなかったので、何となく私の犬になったのです。

犬を飼いたいと以前から思っていたけど、前夫は休みがあれば海や山へと泊りがけで遊びに連れて行ってくれるような人だったから動物を飼う事は出来なかったので、このときマックを飼う事になって、私はとても嬉しかったのです。


(裏の空き地でおもちゃで遊ぶマックちゃん)


(賢そうな子犬でしょ)

※切開手術のために体毛が剃られています。
切開してみたら骨折はしておらず脱臼だったらしい。
他には、尻尾に縛られていたような形跡があった。

・・・・・

お散歩は朝晩。
餌の他にも、いつでもやれるようにおやつも数種類用意して。
おもちゃもいくつも買い与えて・・・

犬の飼い方について書かれた本も何冊か読みました。

賢い犬で、お手やお座りなんかは特に教えなくても出来たし(^^)
お散歩の途中で園児の列とすれ違う時には、道端でちょこんとお座りして大人しく園児たちが行き過ぎるのを待てる子でした。

普段の生活では、特に問題と思えるような事は無かったのです。
自分では、良い飼い方をしている、良い飼い主だと思っていたのです。

本当は飼い方も間違っていたし、問題にも気がついていなかっただけでした・・


ただ、月に1度の動物病院での診察時が大変でした。

凄い嫌がり方で、失禁はするわ嘔吐はするわ(汗)
・・・診察台に乗せるのも儘ならない状態でした。

だけど、「怖がるのは手術した記憶があるからで、仕方が無い」と思っていました。


子犬のうちは、力ずくで何とでも出来たけど、大きくなるとそういうわけにも行かなくなりました。
牙を行使し出したのです。

「ちゃんと躾なさい!」と先生に叱られました。

(普段は“おりこうさん”だもん!)(病院が怖いだけだもん!)

反発心から「犬に毎月の定期健診なんて必要ないよね。春の狂犬病と秋の混合ワクチンの接種のときだけ病院へ連れて行けば良いんだわ。」と徒歩で連れて行ける近所の病院へ変えました。

「ちゃんと躾なさい」と言われて・・・その先生から逃げたんです。
私は卑怯者でした。


新しくお世話に成る病院へは、お薬(フィラリア薬)は私だけで貰いに行きました。
予防注射の時は、病院の敷地内に入るのも凄まじい抵抗を示したので、往診してもらう事にしました。

私が皮の手袋を嵌めて(噛まれながら)マックの首輪を持ち、こうちゃんが後ろ足を押さえつけて、先生に注射してもらいました。

毎年、春と秋、その行事だけがマックを飼う中での苦痛でした。


(その頃のまっく。当時は気が付かなかったけど、野生の表情ですね)


「かみぐせの直し方」という本の中に

生まれ持って咬みぐせのある犬は子犬のうちから他の犬と少し異質なものを持っています。

目つきが鋭い
じゃれているといっても無邪気さがない
ウーッと唸って子犬らしさがどこか欠けている

と書いてあり、
「マックに当てはまるなぁ・・」と気分が落ち込みました。




(無邪気さが無いじゃれ方をしていた子犬の頃のマックちゃん)



だけど、「怪我とかしても、このままでは診てもらう事も出来ないなぁ」と思った私は「口輪を嵌められれば良いんだ!」と、マックに口輪を嵌める練習をし始めました。


そんなある日、いつものようにマックの横に座ってマックの肩に手を置いて背中を撫でていたら・・・
咬まれたんです。


右の手の平に穴が開くほどの、ものすっごい本気咬みです。

最初、全く何が起こったのか分かりませんでした。

すごい出血だったから、取りあえず流しで血を流していたら意識が薄れていくのを感じました。
(ありゃりゃ、私このまま死ぬかも?)みたいな。

フラフラしながら、こうちゃんの所へ行き「病院連れて行って」と言いました。

後日、「あの時のmasumiは顔面蒼白でいっぺんに老けて、お婆さんの顔になってたで!」と笑われました。


(その頃のマック・・・)



咬まれて、マックの事が怖くなっちゃいました。
(マックだけじゃなく中型以上の大きさの犬みんな・・・)

情けない話ですけど、怖くて撫でてやることも出来なくなったのです。

病院で手当てを受けて帰ってから
「・・・散歩に行かなくちゃ・・・」
だけど、リードを付け替えるのも怖くて手が震えるのです。

義務感だけで散歩に行きました。

正直に告白すると「保健所」という文字が脳裏をチラリ・・・


でも夜になって
「masumiの馬鹿!阿呆!マックを何だと思ってるの!」
「このままではマックの、そして私の未来も無い!」と思いました。

大袈裟ですね。


次の日、でもやっぱり少し手が震えていたけど、「ええい!」と気合を入れ
て「お座り」、でマズルを握り、「待て」で口輪を装着。

「出来た!」

ε=( ̄。 ̄;)フゥ~っ


・・・だけど、これで良いのか!?・・・


つづく