masumiノート

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全ての消費者が「業界のお客様」だった頃

2015年08月07日 | ひとり言


規制緩和以前は地域ごとの価格差はあっても、同一地域での価格差は殆どなかった。
セルフも無かったから、どのお店でもだいたい同じようなサービスが提供されていたはず。
というより、
価格差がない分、競争と言えばサービスだった。


2者店は仕入れ安を生かして店頭でボックスティッシュ5箱プレゼントとかの“ものくれ”サービス(?)
地場3者店は地域密着で、それこそ細かい要望にも応えてきたと思います。


常連さんではない他府県の一見さんでも、1,000円分の少額限定給油の方でも、
全ての消費者は「業界のお客様」として、大事にされていたはずです。

(原付バイクは別レーンにしているというお店もあったようですが、)
少なくとも当店では全てのお客様に分け隔てなく全てのサービスを提供してきました。

他府県ナンバーの発券店値付けカードのお客さんにも「ここは気持ちが良い。こっちに来た時はここに来ることに決めている」と言われたこともあります。今では信じて貰えないかもしれませんが。



規制緩和で販売価格に価格差が生じ、消費者は安値店を選ぶようになりました。
販売価格の価格差は仕入れ格差によるものでしたが、高値の店を悪徳だと誤解する消費者は多かったです。

セルフが出来て益々その傾向は強まりました。
そして窓を拭いてほしい時だけ、ゴミを捨ててほしい時だけ、タイヤの空気圧を見てほしい時だけ、10リッターとか1,000円分と言って給油に来られ、また、セルフでは買えないからと携行缶を持って来られ、精算時にレシートの単価を見ては蔑みの視線や言葉を投げかけて帰られました・・・

知らないが故の事で仕方がないと頭では理解しても、やはりそれは大変辛いことでした。
誤解による非難に耐えながら、説明する術もなく(心の中で唇を噛みながら)サービスの要求に応え続けてきました。

何年もの間、身銭を切りながら、
全てのお客さんの車の窓拭きをすることで、真冬にはこうちゃんの手が腫れあがり皮膚が裂けて膿が出るほどでした。




ある日、閉店間際に来られたお客さんが「千円分」と言いながら灰皿を私のお腹に押し付けてきました。
その時だと思います。私の中で何かが切れたのは。
瞬間的に灰皿を突き返していました。
「何だ!?」と気色ばむお客さんに対して「千円分のマージンは50円しかありません!燃料を入れるだけです!」と口にしていました。
その前から鬱々とした気持ちがあったからなのですが、その時はまだ(お客さんに向かって私ったら何て事を・・・どうしよう(汗)ドキドキ)と後悔の念に苛まれるという状態でした。

感情を抑えようとして、抑えられなくて、気分が酷く落ち込む。
こういうことが続いて・・・、非定型歯痛(仮面鬱)です。

おかげで吹っ切れました。




サービスは義務でするものではないです。ましてやお客さんに強制されるものでもない。
そして一番肝心なことは、ガソリンスタンドは給油施設だということです。

先日、一見さんで注文の前にゴミ袋を出された方がいて「当店ではゴミは受け取りません」と申し上げたところ、
「えー!じゃあどうしようかな~~~」と、給油するかどうかもったいぶるそぶりをされたので、「じゃあ、他所へ行って下さい」と申し上げました。

ガソリンスタンドに行くのは燃料を入れるためであって、ゴミを捨てるのが目的ではないはずです。


「全ての消費者が業界のお客様」だった昔とは違います。


東京都石商で委員会が発足した発券店値付けカードでの代行給油。
昔は代行給油と言えば、建設業の方が他府県で仕事をする際に、その工事期間中、現場の近くのガソリンスタンドでツケで燃料を調達できるように“紹介”してもらってー、というものでした。

代行給油する店は請求書を本来の建設業者の取引先のガソリンスタンド(同業者)に送付し、そこから代金が振り込まれました。
代行給油する店は同業者の顔を潰さないように、その建設業者に対しても、配達も含め自店の顧客と同じように接客したはずです。


それも遠い昔のこととなりました。

今は、
「そこで工事しているのだけど、会社からこんなカード持たされても使える店がない」
(発券店値付けカードはセルフで給油は出来ても携行缶に給油できない)
「配達してくれる店もないから、(自分で携行缶を持って買いに来なければならないから)面倒だよ」
です。


個人の消費者はセルフで安く買えるようになって良かったけど、一方では不便を訴える消費者もいます。




先日記事にした「高くても良いから」ということで掛け取引を開始した企業の営業車が給油に来られるようになりました。

「いらっしゃいませ、こんにちは^^」
「吸い殻があったら捨てて来ます^^」
窓を拭いて
給油が終われば「〇〇リッター入りました。こちらにサインをお願いします」
「ありがとうございます」

送り出した後、
そこには
あの全ての消費者が「業界のお客様」だった頃の接客をして、何だか少し幸せな気持ちになっているmasumiさんがいました。





・・・でもゴミは受け取らない。
それから、供給責任と経営難の狭間でに載せた給油履歴のような状況では窓拭きも省略させて頂きます。