日曜日夜。
緊張で吐いてしまい、このまま翌日の仮合わせにいけば、以前のように遁走する可能性が高くなってきた。
言いたいことは言ったものの、また
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ドクター&義肢2人というものが、ものすごく重かった。
安定剤を飲んでも眠れず、
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さんにメール(やっぱりやってしまった)
真夜中近くだったけれど、即電話
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を下さった。
泣いたことは覚えているけれど、安定剤で朦朧としていて、でもとにかく安心して眠った。
翌朝、やっぱり行きたくなくて、でもかすかな記憶の中で、
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さんが「ついて行ってあげるから、大丈夫」と言ってくれていたのは覚えていた。
その日は
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の卒園式で、
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の気持ちとは別世界の我が家。
なんとかこらえて、家族は幼稚園へ。
そしてしばらくして
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「今からおうち出るからね
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」と
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さん。
そこから病院に着くまで泣きっぱなし。
先週、ものすごくこわい思いをしたので、本当に怖かった。
装具は固定式になっていて、音はしなくなった
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「しゃがめない」と言われていたけれど、
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は足を逃がすことができるので、曲がりなりにもしゃがめた。
ズボンで隠せば、いまの装具と見かけは変わらない。
少々歩きにくくなったけれど、杖をつくことに抵抗がなくなったので、慣れれば大丈夫だろう。
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さんが何度も「
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ちゃん、ほんとにこれでいいの?今、言いたいことは言ったほうがいいよ」とか
私が意見を言っている時、ドクターや義肢が話しているときは、手を握っていてくれたのでパニックにならずにすんだ。(自分が何を言っているかがわかった)
一度、ドクターの話している内容が理解できず、3回くらい聞きなおしたけれどやっぱりわからず、義肢が言葉を変えて説明してくれたけれども理解できなくて、パニックになったけれども、
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さんが
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の理解できる言葉で通訳してくれて終了。
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は長年NZ
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に住んできて、あちらの装具も見てきたし、
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さんも医療者を前に「主張すること」を励ましてくれたので、今回は頑張れた。
でも、日本の装具はあちらの装具に比べて、はっきり言ってかっこ悪いし、個人の意思はあまり反映されていない。
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さんは「義肢」というのは一種の医療者のようなものだと思ってらしたのだけど、「○○義肢株式会社」だと知って
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「なんだ、会社じゃないの。
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ちゃん、お客さんじゃない、じゃあいろいろ言ってもいいわね」
しかし、ドクターや義肢の話に寄れば、日本では補助金が政府からすこしでも出ている現在、障害者には装具に選択権はNZなど欧米諸国に比べてない。
(言っておくがNZももちろん政府は補助金をだす。私は外国人だったので400ドル払ったけれど、NZ人は25ドルくらいのはず)
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は「では実費をだせば、医学的に問題がなければ、たとえばブーツのように装具全体を隠すということもできるのですね」と言うと
「日本の政策というのは平等主義ですから、もし一人だけ格好のいい装具をはいていたら、他のひとから苦情が出るし、実費を出せばすきな装具を作れるという風なNZ式にしたら、お金持ちのひとは格好のいい装具をはけて、お金がない人は格好の悪い装具のママ、というのは格差社会を浮き彫りにするので、装具製作の許可が出ません。ヨーロッパなどは個人主義ですが日本は政策がちがいますから」
とのこと。(装具や車椅子は、市役所や区役所から許可がいる)
健常者だってお金がある人は何万もするブランドの靴をはき、お金がなければ数100円の激安の靴をはくこともあるのにな・・・
「ただ
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さんの場合は、海外の事情も知ってらっしゃるし、こちらも出来る範囲で、実費でも許可が出るような装具をつくれるようにできましたけれど、実費を払ってまで・・・という方もまだまだおられますし、これでもここ10年で日本の装具も随分かわったのですよ」
でも。
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は条件が良かった。
海外経験があって、自己主張するように支えてくれる人たちがいる。
でも、自己主張できないと思っている人、性格的に出来ない人、そしてほとんどの二分脊椎の人はしたくても海外留学を何年も出来ない。
株式会社なんだったら、「お客様」の私たちに、
車椅子を選ぶときのように、商品を売るという考えだったら
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が言うより先に
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カタログなり見本なりで
「こういう事も実費がかかりますができますよ」
と提示するのが商売じゃなかろうか?
今回
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が「どうして車椅子にはカタログがあるのに、装具にはないのですか?」
と聞いたら、二回目の仮合わせのときに、全て色も決まった後に
「あ、見本ならありますよ」
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なんで先に(初回のサイズを測ったときに)それを見せてくれないんだろう
今は装具代が自治体で違うのか、内閣が変われば負担額が変わるのか、よくシステムがわからないけれど、今回
マジックテープ
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靴紐
ジェラルミンの銀の支柱
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支柱に靴と同じ革を巻いて隠す
ひざ下のマジックテープ
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紐を小さなフック四つにかける
の変更で2万円弱の負担額。
これが高いのか安いのかわからない。
もしなにも言わないで、
支柱が銀で、油切れするとキーキーいい、歩くとがちゃがちゃいう、
マジックテープもバリバリいい、磨耗しやすい
もともとの普通の装具の負担額が、2万弱と同じだったら・・・
次の日、カウンセリングに行った。
その義肢株式会社は大手で、ほとんど独占販売企業。
昔からドクターのいう事を良く聞いて、大きくなった会社らしいと知った。
ドクターはもちろん、医学的にベストなことしか言わない。
「障害者は長いものには巻かれろ」という、昔の体質がそのまままだ今も残っている会社で、やはり障害者側もほとんど発言できるような立場になかったようだ。
なので機能重視で、少しずつ10年ほど前から色などは増えてきたらしいけれども、この政策と体質で、日本の装具は遅れているらしい。
そのためには私達障害者自身が頑張って、声を上げなければいけない。
わかってはいるけれど、前回一人で行って、あんな思いをして、孤立無援だったら、諦めて声を上げる気力もなくなるよな・・・
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と思った。
だから
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は、自分の立場を利用して、声を上げなきゃいけないんだなと思った。