映画の祭典と呼ばれるものは沢山あるけれど、毎年必ずコラムに記している映画の祭典は、みっつ。
米オスカーと東京国際映画祭、そしてカンヌ映画祭。
とくにカンヌは自分の嗜好―闘争、実験精神―とぴったり合うので、年間で最も楽しみにしている映画の祭典なのだった。
本年度は来月15日に開催、審査委員長はスピルバーグが務める。
注目のコンペティション部門、日本からは是枝裕和の『そして父になる』、三池崇史の『藁の楯 わらのたて』が出品、
賞のゆくえも気になるが、米オスカーとはちがい「ほとんどの作品を観ていない」状態ゆえ、賞予想というのは立て難い。
審査委員長のキャラクター性を分析し、「こういう作品が取るんじゃないか」という予想くらいは出来るけれど。
最高賞はパルムドール(=金のシュロ)と呼ばれている。
数年前のコラムでは「パルムドール・フォー・パルムドール」と題し、歴代パルムドールのなかの10傑を選出した。
今宵は第二席とされている「グランプリ・フォー・グランプリ」を展開してみたい。
そうなのだ、ここにカンヌの分かり難さ? があるのだが、
パルムドール=グランプリではない、
テッペンはあくまでもパルムドールであり、グランプリは「パルムドールと最後まで競った」作品に与えられる銀メダルなのである。
それがきちんと説明されることはないので、
日本の広告で「カンヌ映画祭、グランプリ」とかやられると、一般のひとは「これが最高賞を取った作品なのか~」などと思ってしまう。
・・・というカンヌへの文句をくどくど書き続けることも出来るけれど、
グランプリ受賞作の一覧を眺めてみたらば、映画史に残る傑作ばかりで、もうどっちだっていいじゃないか、、、なんていう気分になった。
以下の作品を5つ以上観ていて、なおかつそれらが好きだというひと。
確実に自分と仲良くなれると思う、どうですか、自分と友達になりませんか?
ん?
ザーメン臭いヤツは勘弁してくれ?
いいさいいさ、映画小僧には孤高が似合う。
孤高の映画小僧には、カンヌで戦う孤高の映画たちがこころの友になってくれるのさ。
(1)『奇跡の海』(96)
ラース・フォン・トリアーの性格の悪さが「奇跡的に」吉と出た感動作。
こんなに豪快に? 涙を流した映画は、ほかにない。
(2)『鬼が来た!』(2000)
「鬼子」という日本人に対する蔑称が原題タイトル(の一部)であることから、思想信条的に観たくないというひとも多かった・・・ように記憶するが、これは観ておいて損はない。
香川照之の全キャリアのなかで、最高の仕事だと思う。
(3)『ジョニーは戦場へ行った』(71)
反戦映画の金字塔。
午前十時の映画祭は、こういう作品もセレクトすべきではないか。
(4)『死の棘』(90)
日本映画から一本。
松坂慶子と岸部一徳、ふたりの俳優の演技対決により、映画はある高みに―という話はよく聞くけれど、それを実際に目にした最初の映画かもしれない。
(5)『スウィート ヒアアフター』(97)
スクールバス事故の顛末を、静謐なタッチで描く。
地味過ぎて新規の映画ファンには馴染みのないタイトルかもしれないが、公開時はミニシアター全盛期で、けっこうな興行記録を打ち立てた(はず)。
(6)『オールド・ボーイ』(2004)
この年の審査員長はQTタランティーノ。
彼だからこそ本作がグランプリを取ったのだという意見が聞かれたが、誰が審査員長でも賞をあげたくなるような会心の出来。
個人的に、韓国映画史上で最高の一本。
(7)『ユリシーズの瞳』(95…トップ画像)
映像美、鮮烈。
映画を語った映画だが、アンゲロプロスが語ると、やはり風格がちがう。
(8)『美しき諍い女』(91)
モデルと画家の心理的攻防を描き、とってもスリリング。
エマニュエル・ベアールのハダカを拝めるから―という動機で観に行き、こころの底から感動しちゃったのである。
(9)『サクリファイス』(86)
タルコフスキーの入門篇としては、これが最適か。
(10)『ライフ・イズ・ビューティフル』(98)
このリストのなかでは最もポピュラーで、最も観易い映画かもしれない。
しれないが、テーマは、重い。
※『藁の楯』予告編…藤原くん、いい俳優になったなぁ
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『『息子』のおもひで』
米オスカーと東京国際映画祭、そしてカンヌ映画祭。
とくにカンヌは自分の嗜好―闘争、実験精神―とぴったり合うので、年間で最も楽しみにしている映画の祭典なのだった。
本年度は来月15日に開催、審査委員長はスピルバーグが務める。
注目のコンペティション部門、日本からは是枝裕和の『そして父になる』、三池崇史の『藁の楯 わらのたて』が出品、
賞のゆくえも気になるが、米オスカーとはちがい「ほとんどの作品を観ていない」状態ゆえ、賞予想というのは立て難い。
審査委員長のキャラクター性を分析し、「こういう作品が取るんじゃないか」という予想くらいは出来るけれど。
最高賞はパルムドール(=金のシュロ)と呼ばれている。
数年前のコラムでは「パルムドール・フォー・パルムドール」と題し、歴代パルムドールのなかの10傑を選出した。
今宵は第二席とされている「グランプリ・フォー・グランプリ」を展開してみたい。
そうなのだ、ここにカンヌの分かり難さ? があるのだが、
パルムドール=グランプリではない、
テッペンはあくまでもパルムドールであり、グランプリは「パルムドールと最後まで競った」作品に与えられる銀メダルなのである。
それがきちんと説明されることはないので、
日本の広告で「カンヌ映画祭、グランプリ」とかやられると、一般のひとは「これが最高賞を取った作品なのか~」などと思ってしまう。
・・・というカンヌへの文句をくどくど書き続けることも出来るけれど、
グランプリ受賞作の一覧を眺めてみたらば、映画史に残る傑作ばかりで、もうどっちだっていいじゃないか、、、なんていう気分になった。
以下の作品を5つ以上観ていて、なおかつそれらが好きだというひと。
確実に自分と仲良くなれると思う、どうですか、自分と友達になりませんか?
ん?
ザーメン臭いヤツは勘弁してくれ?
いいさいいさ、映画小僧には孤高が似合う。
孤高の映画小僧には、カンヌで戦う孤高の映画たちがこころの友になってくれるのさ。
(1)『奇跡の海』(96)
ラース・フォン・トリアーの性格の悪さが「奇跡的に」吉と出た感動作。
こんなに豪快に? 涙を流した映画は、ほかにない。
(2)『鬼が来た!』(2000)
「鬼子」という日本人に対する蔑称が原題タイトル(の一部)であることから、思想信条的に観たくないというひとも多かった・・・ように記憶するが、これは観ておいて損はない。
香川照之の全キャリアのなかで、最高の仕事だと思う。
(3)『ジョニーは戦場へ行った』(71)
反戦映画の金字塔。
午前十時の映画祭は、こういう作品もセレクトすべきではないか。
(4)『死の棘』(90)
日本映画から一本。
松坂慶子と岸部一徳、ふたりの俳優の演技対決により、映画はある高みに―という話はよく聞くけれど、それを実際に目にした最初の映画かもしれない。
(5)『スウィート ヒアアフター』(97)
スクールバス事故の顛末を、静謐なタッチで描く。
地味過ぎて新規の映画ファンには馴染みのないタイトルかもしれないが、公開時はミニシアター全盛期で、けっこうな興行記録を打ち立てた(はず)。
(6)『オールド・ボーイ』(2004)
この年の審査員長はQTタランティーノ。
彼だからこそ本作がグランプリを取ったのだという意見が聞かれたが、誰が審査員長でも賞をあげたくなるような会心の出来。
個人的に、韓国映画史上で最高の一本。
(7)『ユリシーズの瞳』(95…トップ画像)
映像美、鮮烈。
映画を語った映画だが、アンゲロプロスが語ると、やはり風格がちがう。
(8)『美しき諍い女』(91)
モデルと画家の心理的攻防を描き、とってもスリリング。
エマニュエル・ベアールのハダカを拝めるから―という動機で観に行き、こころの底から感動しちゃったのである。
(9)『サクリファイス』(86)
タルコフスキーの入門篇としては、これが最適か。
(10)『ライフ・イズ・ビューティフル』(98)
このリストのなかでは最もポピュラーで、最も観易い映画かもしれない。
しれないが、テーマは、重い。
※『藁の楯』予告編…藤原くん、いい俳優になったなぁ
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『『息子』のおもひで』
藤原竜也さん 映画宣伝流れる頃 テレビ単発ドラマでは引きこもり頭脳優秀の警察側
犯人を追う側ーというのも対称的で面白かったです