Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん女優列伝(97)岸田今日子

2019-02-08 00:10:00 | コラム
30年4月29日生まれ・2006年12月17日死去、享年76歳。
東京出身。

岸田今日子(きしだ・きょうこ)さんといえば、自分のなかでは、大傑作『砂の女』(64)と、やっぱりムーミン・トロールの声。

いわゆる正統派の美人とはちがいますが、なんというのでしょう独特な艶っぽさと、あの声により、男として疼くところがありますね正直いって。

だからこそ『砂の女』の「あの女」が似合ったのでしょう、映画を観てしまったら岸田さん以外に考えられないキャスティングですもの!




安部公房の小説って、表現が映像的ではあるものの、実際の映像化には不向きだと思うのです。

本人が脚本を担当し、いくつか映画化されましたが、事実上の成功作ってこれひとつですもの。

それは勅使河原演出などもありますが、それよりなにより、岸田さんが「あの女」を演じてくれたから、、、ではないでしょうかね。




<経歴>

元旦那は、俳優の故・仲谷昇。

父親は著名な劇作家・岸田國士、母親は翻訳家の岸田秋子。
従弟に、怪優の故・岸田森。




文学座付属演技研究所に入所し、演技の基礎を学ぶ。

映画俳優デビュー作は、53年の今井正監督作『にごりえ』。
端役でしたが、舞台と並行して映画出演をつづけ、着実にキャリアを積んでいく。

『屋根裏の女たち』(56)、『新妻の寝ごと』(56)、『暗夜行路』(59)、『吹雪と共に消えゆきぬ』(59)、『グラマ島の誘惑』(59)、
きのう登場願った岸恵子が主演した『おとうと』(60)では母親(田中絹代)の友人役として出演、しだいに助演級のオファーがかかるようになる。

『墨東綺譚』(60)、『波の塔』(60)、『みな殺しの歌より 拳銃よさらば!』(60)、
『黒い十人の女』(61)で五夜子を好演、
『東京夜話』(61)、『破戒』(62)、『私は二歳』(62)、『秋刀魚の味』(62)、『忍びの者』(62)、『武士道残酷物語』(63)、

そして64年の『砂の女』で転機をむかえます。

『卍』(64)では若尾文子の相手役を妖艶に演じ、一部男子の下半身を疼かせました。
(当時を知る由もありませんので想像で書いてますが、たぶん正解でしょう)

『スクリーン・テスト』(64)、『肉体の学校』(65)、『悪党』(65)、『不信のとき』(68)、『女体』(69)、
『戦争と人間第一部 運命の序曲』(70)と『戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河』(71)。

69年には「子どものためにオファーを受けた」というアニメーション『ムーミン』(フジテレビ)の放送がスタート、

それがウケたからでしょう、ナレーションの依頼も舞い込むようになり、

ドキュメンタリー『札幌オリンピック』(72)のナレーションや、『ノストラダムスの大予言』(74)で「予言の声」などを担当しました。


『犬神家の一族』(76)、『歌麿 夢と知りせば』(77)、『犬神の悪霊』(77)、『姿三四郎』(77)、『日蓮』(79)、『地獄』(79)、
『幸福号出帆』(80)、『この子の七つのお祝いに』(82)、『探偵物語』(83)、『生徒諸君!』(84)、『鹿鳴館』(86)、『海と毒薬』(86)、『竹取物語』(87)、『青春かけおち篇』(87)、『つる ―鶴―』(88)、
『天と地と』(90)、『天河伝説殺人事件』(91)、『風の子どものように』(92)、『八つ墓村』(96)、『愛する』(97)。

文芸から社会派、ミステリー、SFまで、どんなジャンルにも出演し脇から物語を支える、名バイプレーヤーだと思います。


2000年代の映画に・・・
『人間の屑』(2000)、『どら平太』(2000)、『千年の恋 ひかる源氏物語』(2001)、『助太刀屋助六』(2001)、『クロエ』(2001)、『春の雪』(2005)、『同じ月を見ている』(2005)などなど。

2006年12月17日、脳腫瘍による呼吸不全のため死去。

享年76歳、遺作は『ウール100%』(2005)でした。


なんだか、久し振りに『ムーミン』を観たくなってきました・・・。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(98)岸本加世子』
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にっぽん女優列伝(96)岸恵子

2019-02-07 00:10:00 | コラム
32年8月11日生まれ・86歳。
横浜出身。

公式プロフィール

格好いい。勝気な。自由な。

岸惠子(きし・けいこ)さんの個人的イメージは、そんな感じ。

真知子巻き=『君の名は』3部作(53~54)よりも、市川崑と組んだ『おとうと』(60)や『黒い十人の女』(61)のほうにインパクトを覚えたからでしょう。

若いころの写真を見ても、進歩的な雰囲気を醸し出していますものね。




『黒い十人の女』予告編…2000年代に再評価されましたが、それも納得のお洒落さ面白さ




<経歴>

元旦那は、フランスの映画監督イヴ・シャンピ。



挙式の立会人は、川端康成でした。


文学少女だった岸さんが映画の世界に魅せられたのは高校生のころ。
松竹撮影所を見学したときに吉村公三郎に見初められ、最初は断っていたものの、押しの強さに負けて松竹に入社する。

映画俳優デビュー作は、51年の『我が家は楽し』。

『母恋草』(51)、『母待草』(51)、『鞍馬天狗 鞍馬の火祭』(51)、
『旗本退屈男 江戸城罷り通る』(52)、『本日休診』(52)、『銀座巴里』(52)、『郷愁・「幻なりき」より』(52)、『坊ちゃん重役』(52)。

このころ、共演した鶴田浩二との恋仲が噂になりましたが、松竹が「別れさせた」といわれています。

ほんとうのところはどうなのでしょうね、時代的に、そういうこともあったのかもしれないな・・・とは思いますけれど、

「プライベートなことは本人に任せています」が常識となった現代から見ると、ちょっと可哀想だなぁと。


『乙女の診察室』(53)、
そして、『君の名は』3部作が大ヒットを記録する。

自分はNHKの連続テレビ小説版(鈴木京香×倉田てつを)を最初に観て、その数ヶ月後に(比較するため)オリジナルに触れたと記憶しています。

数寄屋橋、会えそうで会えないという設定は、たしかに観るもののハートを鷲掴みにしますよね。


『獅子の座』(53)、『女の園』(54)、『家族会議』(54)、『陽は沈まず』(54)、『えくぼ人生』(54)、『母の初恋』(54)。


この、絶頂期ともいえる54年には同志の有馬稲子、久我美子らとともに「文芸プロダクションにんじんくらぶ」を設立。

「俳優のための映画の企画をする」、いまでいうところの独立プロダクションです。

こういうところもまた、進歩的ですよね。


『たけくらべ』(55)、『ここに泉あり』(55)、『亡命記』(55)、『太陽は日々に新たなり』(55)、『君美しく』(55)、
『白い橋』(56)、『君のうたごえ』(56)、フランスとの合作『忘れえぬ慕情』(56)、不倫を主題とした小津後期の名作『早春』(56)、『朱と緑』(56)、『力道山・男の魂』(56)、『松竹まつりスタア総動員 スタジオ超特急』(56)、『松竹まつりスタア総動員 女優誕生』(56)、『あなた買います』(56)、
『雲の墓標より 空ゆかば』(57)、駒子を情感たっぷりに演じた『雪国』(57)、『風花』(59)。

60年、『おとうと』でチャキチャキした姉を熱演する。

俳優陣すべてが素晴らしいですが、それ以上に「銀のこし」という撮影技法に注目してほしいです。


『敵は本能寺にあり』(60)、『黒い十人の女』(61)、フランスとの合作『スパイ・ゾルゲ/真珠湾前夜』(61)、
『怪談』(64)、
スペインやフランス、イタリアなどの合作『太陽が目にしみる』(65)、

このころに元旦那とのあいだに子どもが生まれ、芸能活動を一時中断。
徐々に復帰し・・・

『華麗なる闘い』(69)、『約束』(72)、『男はつらいよ 私の寅さん』(73)、
シドニー・ポラックが演出、ロバート・ミッチャムと高倉健が共演した米映画『ザ・ヤクザ』(74)、
『化石』(75)、『雨のアムステルダム』(75)、『悪魔の手毬唄』(77)、『女王蜂』(78)、『闇の狩人』(79)、『古都』(80)、『細雪』(83)、『生きてはみたけれど 小津安二郎伝』(83)、『式部物語』(90)、『天河伝説殺人事件』(91)。

市川崑と組んだ作品がとくに光っていて、自分も崑演出における岸さんの演技がいちばん好きみたいです。


90年代以降は出演数は激減するものの、
それでも『かあちゃん』(2001)の演技はさすが! でしたし、
『たそがれ清兵衛』(2002)、『俺は、君のためにこそ死ににいく』(2007)、『スノープリンス 禁じられた恋のメロディ』(2009)などで元気な姿を見せてくれています。


現在86歳、長期間縛られる映画撮影は厳しいでしょうが、もう一本くらい主演映画が観たいですね。

日本のジェシカ・タンディみたいで、すっごく格好いいと思いません? この歳での主演作って。

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手渡しの快楽

2019-02-06 00:10:00 | コラム
某日―。

モノスゴ久し振りに、ギャラを手渡しでいただく。

小規模な出版社でさえイマドキは銀行振り込みだからね、かえって新鮮でうれしかった。

少額だけど。
少額だから、という理由のほか、基本的に経済観念が弱いところがある―という理由から、いただいたその日に、外食して帰りに酒を買ってなくなってしまった。


やっぱり、銀行振り込みのほうが安心かな笑


ゲンナマで受け取ったことのある最高額っていくらだろう? と思い出してみる。

たぶん、250万円が最高。
稼いだ額ではなく、朝日新聞から奨学金を受け取り、それを最寄りの銀行に振り込むまでの30分間。

堀江くんや前澤さんには鼻で笑われるだろうけれどね、そりゃあドキドキしましたさ。

襲われたら、相手を殺す覚悟で反撃しようとか想像しちゃったりして。


かわいいものでしょう、以下のキャラクターたちに比べれば。

映画のなかで、印象に残る「金の受け渡し」。
犯罪劇ばかりになるのは、仕方のないことでしょう。。。


『天国と地獄』(63…トップ画像)

運転手の子どものために、3千万円の身代金を払うことになった権藤さん。

受け渡しは「手」ではあったものの、「渡す」のではなく「投げる」だった。


戸倉警部「―ものすごいひとだな、あのひとは」
ボースン「貧乏育ちのせいか、大金持ちはどうも好かん。最初はイヤな野郎だと思っていたんですがね」


『身代金』(96)

受け渡しの指示からなにから、すべてがメール。

時代が変わったんだな・・・と痛感させられる設定だった。


『ファーゴ』(96)

偽装誘拐で、大金を受け取るどころか、何人も死者を出してしまう最悪な結末に。

「―どうしてこんなことを? きょうは、とってもよい日なのに」




『ショーシャンクの空に』(94)



実際に金の受け渡しシーンはないに等しいが、頭の働く主人公は、頭脳を武器に刑務所所長らを欺き、(事実上の)賠償金を勝ち取る。

銀行での振る舞いも堂々としていて、行員が疑うことなんかないよね。

無実の罪での投獄だもの、大金を手にしたっていいでしょう。


『太陽を盗んだ男』(79)

金目的で原爆を作り上げたわけではないので、大金を用意させるも、その金を屋上からばらまくよう要求する。

刑事たちがヤケクソ気味に金をばらまく図!!


例外として・・・

『タクシードライバー』(76)

たしかにトラビスは、密売屋に大金を払って44マグナムなどを買っている。

ただそこではなく、このシーンを挙げておきたい。


「メーターを戻すな。金はきちんと払うから」
「…」
「なにを書いてる? 書くのをやめろ」
「…」
「ジッとしていればいいんだ」
「…」


悪魔のような乗客を演じるのは、スコセッシ自身である。



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映画監督別10傑(39)ジョン・カーペンター

2019-02-05 00:10:00 | コラム
~ジョン・カーペンターのキャリア10傑~

前回のウォルター・ヒルにつづき、いわゆるジャンル映画を手がけるひとを取り上げよう。

71歳のジョン・カーペンターは、若いころからジャンル映画一筋。

主にホラーやSFでその才能を発揮するひとで、「じつは好きな監督」という映画小僧もたいへん多い。


自作の音楽まで手がけたりする多才さで、撮りたいように撮ることが出来さえすれば、ファンを落胆させることのない職人だと思う。

ときにB級だC級だと軽んじられることはあるけれど、映画が「本来」持つ見世物精神と誠実に向き合った名作の数々は、いまの若い映画ファンさえ虜にするのではないかな。


・・・あ、分かるでしょうが。
トップ画像の右側のひとだからね、左はカート・ラッセルです、はい。


(1)『ゼイリブ』(88)

サングラスをかけると、この世はエイリアン天国だった―オスカー戦線にからんでくる巨匠が撮れば180分の深刻な大作になるところ、100分以内でよくまとめあげたものです。




(2)『遊星からの物体X』(82)

ハワード・ホークスによるオリジナル版を幼少期に観て、カーペンターの人生は決まった。

そんな思い入れがたっぷり詰まった名作を彼なりの解釈でリメイク、悪夢的イメージがそのまんま映像化されインパクト充分。




(3)『ハロウィン』(78)

もはや古典と呼べるホラー映画。

個人的には、ジェイソンよりもフレディよりもブギーマンのほうが怖い。

絶叫クィーン、ジェイミー・リー・カーティスも素敵。


(4)『クリスティーン』(83)

スティーブン・キングの小説を大胆に脚色、怨念を宿した車にまつわる物語。

キング作品の映画化としては有名なほうではないが、割と好き。




(5)『ゴースト・オブ・マーズ』(2001)

(なぜか)マリリン・マンソンのような風貌のゴースト、時制をアベコベにした脚本なのにそれが活かされていないなど、ツッコもうと思えばいくらでも出来るが、好演するアイス・キューブも含めて、なんだか憎めないSF。


(6)『スターマン/愛・宇宙はるかに』(84)

異星人と、ある女性の恋物語。

洋画劇場で頻繁に放送されていたので、日本人にとっては馴染み深いSFかもしれない。


(7)『ニューヨーク1997』(81)

アイデア満載の近未来映画。

大金がなくても充分に面白いものは出来る、そしてカルトヒーロー「スネーク」が誕生した。




(8)『ザ・フォッグ』(80)

濃霧が街を覆うと、殺されたばかりの死体が腐敗していく・・・。

謎解きも楽しめる奇怪なホラー。


(9)『光る眼』(95)

ある日、町の女性全員が妊娠していた!!

英国産『未知空間の恐怖/光る眼』をリメイク、医師を演じるクリストファー・リーブが熱演、最後の対決を盛り上げていた。




(10)『アイズ』(78)

脚本を担当、キャリアのなかでは最も意外な作品かと。

主演は、なんとフェイ・ダナウェイ。共演に、まだ人気が出る前のトミー・リー・ジョーンズ。

ダナウェイが扮する女性カメラマンの受難を描くサスペンスだが、結末がちょっと弱いかもしれない。

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『手渡しの快楽』
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まっき~写真館@45歳

2019-02-04 00:10:00 | コラム
誕生日にはいつも「恋と酒と小便のバースデー」的な? エピソードを展開してきたが、さすがにネタ切れなので、今年は自分の45年を振り返る写真特集をお届けしましょう。

近影ではなく40歳以下の写真たちであり、何度もアップしてきたものなので、既視感はあるでしょうけれど。。。

ちなみにトップ画像は、高校2年だったか、汐留で開催された「ハリウッド映画村」での1枚。


まだ自慰を知らないころ



すでに自慰を知ったころ



自慰のし過ぎで痩せたころ



自慰が板についてきたころ



短パンまでザーメンくさかったころ



周囲からザーメン野郎と罵倒されていたころ



まだ自慰を知らないころ




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明日のコラムは・・・

『映画監督別10傑(39)ジョン・カーペンター』
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