僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 路 地

2009年06月21日 | ケータイ小説「パトスと…」
このまま会社に帰ってもつまらない。

思案に暮れる辰雄の前をリサイクル回収車がパソコン、ラジカセ、CDラジカセ、エアコン何でも無料で引き取ると大音量で告げながら通り過ぎた。

ラジカセとCDラジカセをわざわざ言い換える意味があるのか。

スピーカーは若い女性の声をはき出していたが、壊れたコタツをひとつ乗せた軽トラックをくわえ煙草で運転していたのは50を超えたであろうひげ面の男だった。


うまくいかない日もあるさ。

軽トラックを見送った後、辰雄は気持ちを切り替えようと少しの間このまま迷子でいようと決め細い路地に入った。

高層ビルが建ち並ぶ都会でもひとつ裏通りへ入るとまだまだ昭和の匂いが残っている。
近代的なオートロックのマンションの隣に取り残されたように残る一軒家。
狭い庭の濡れ縁に木製のサンダルが脱ぎ捨ててあったり、○○水産と書いてある発泡スチロールの箱で枝豆が栽培されていたり、三毛猫がにゃぁと鳴いてのっそりと起き上がったりした。

家族はみんな勤めに出ているのか、平日のこの時間は人の気配がしない。
寝たきりの年寄りが定期的に訪れるヘルパーを頼りに一人で留守番をしているのかも知れないな、などと思いながら歩く。











コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする