goo blog サービス終了のお知らせ 

僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

残 心…飯塚さん

2010年04月06日 | ケータイ小説「パトスと…」
辰雄が弓道を始めたのは高校に入ってからだが、
面白そうだと思ったのは中学生の時だった。

近所の、いつもは花壇の草取りや水やりをしている花好きの年寄り
と思っていた飯塚さんを町の武道館に見つけた時だ。


自転車で通りかかった辰雄は武道館の弓道場から聞こえてくる
パスッパスッという音に興味を引かれた。
自転車を止め垣根越しに音の源を探すと、
直径50センチ程の丸い的に矢が数本突き刺さっていた。

きれいに盛り上げられた砂山に5個、
それは2メートル位の間隔で立てられており、その内3つが数本の矢を受け止めていた。

後に砂山は「アズチ」ということ、矢には「ハヤ」「オトヤ」があることを知り、
弓矢と言ってもアーチェリーとは全く違うものだということを知った。


パスッという音は、矢が的を射貫く時の音だった。
弓の主を見やると、飯塚さんが次の矢をつがえるところだった。

え!あのおじさんが?


つづく











コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする