僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

残 心…入部

2010年04月08日 | ケータイ小説「パトスと…」
的を見据えたまま大きな弓をゆっくりと上げ引き下ろす。
矢を頬に付けたまま動かない。

時間が止まったようにも思えた。

その時、背筋をぴんと伸ばして立つ飯塚さんに、
大地にそびえ立つ大木の風貌を感じたのかも知れない。

辰雄は単純にスゲーと思った。
カッコイイと思った。


その後飯塚さんの姿は弓道場で数回見ることがあった。
親に聞いてみると飯塚さんは全国大会にも出場するほどのすごい人らしかった。

らしかった、というのは普段何をしている人なのか分からない、
時々黒い車が迎えに来るようだから多分大きな会社の偉い人なのだろうということだった。


高校生になって弓道部があることを知った辰雄は
誰よりも早く入部することを決めた。







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