僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

湘南ボーイ…③

2016年08月29日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

 

突然大きな声が聞こえた。みんなが一斉に振り向くと
男がこちらに走り寄りながら叫んでいる

「子どもが流されたー!監視員の人いませんかー!」

どこだ、誰が、全員が反応する

男は青ざめた顔でゼイゼイと息をしながら沖を指さし

「あのボートです、流されてるんです、子どもが乗ってるんです」

ゴムボートは波に揺られながら明らかに沖に向かって進んでいる。離岸流だ。

離岸流はこの時間によく見られる現象で、押し寄せる波とは反対に引き波が強く陸から沖に向かって流れが強くなる現象だ。

地元の仲間はみんな知っているが、観光客には分からないことが多い。

 

仲間がボートを見つけたその時、白波を立てた大きな波がボートを襲った。

おそらく恐怖でパニックになった子どもが立ち上がってバランスを失ったのだろう、

ゴムボートは巻き風に舞う木の葉のようにあっという間に1回転し、子どもを振り落としたのだ。

 

全員がおおーっ、とも、わぁーっともつかない声を上げた。
驚きの声が終わらない内に走り出しのはマドンナだった。

「私が行く」

サンダルを脱ぎ捨て、救助用の浮き輪をつかむと波に飛び込んだのだ。

「ビールを飲んだヤツは出るなよ!」

そう叫んで叔父さんが続いたの。

アルコールの入った体で冷たい海に入り急な運動をすることは命取りになる。

叔父さんは夜の予定のために大好きなビールはその時だけ我慢していたの。

仲間の内で飲んでいなかったのはマドンナと叔父さんだけだったんだ。

 

つづく

 

 

※画像はwebからお借りしました 問題のある場合は削除いたします

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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