かなり遠くまで流されていたが、潮流に乗って現場には近づくことができた。
マドンナは沈みかけていた子どもを見つけ浮き輪にしがみつかせた。追いついた叔父はマドンナに叫んだ。
「このまま岸には帰れないぞ、流れが強すぎる」
マドンナも同じ考えだった。
「ジミー、流れに逆らわないで岬に行きましょう!」
マドンナはね2人きりの時は叔父のことをジミーと呼んでいたんだって。
当時アメリカ映画の俳優にそうゆう人がいたらしいよ、もちろんイケメンでね。
離岸流に逆らって岸を目指しても行き着けない。
遠回りになるが、流れを横切る方向になる岬の岩場を目指すことを指さして提案した。
叔父、そうジミーもすぐに理解し手を上げて応えると、救命具の紐を腰に巻き付けて泳ぎだした。
マドンナは子どもを励ましながら後ろを泳ぎ始めた。
ジミーは懸命に泳いだ。
かなりの距離はあるが遠泳大会の経験からそのくらいの距離は泳げる自信はあった。
だがひとりで泳ぐ時でも流されないようにするのは体力を使う、
今は子どものしがみつく浮き輪を引きながらの泳ぎだ。
ひたすら岬を目指しながら、マドンナとふたりで救助活動ができることを誇りに思いエネルギーに変えた。
つづく
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