僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ハートマンの長いお話 その①

2006年04月30日 | SF小説ハートマン
僕、宇宙(ひろし)は子供の国の花壇を探し回っていた。大好きなフーセンカズラがもう種になっているはずだ。夏の盛りにめぼしをつけていた近所の垣根からもう100個くらいは手に入れた。この広い公園にもフウセンカズラは毎年実を付ける。誰かが好きで蒔くのか、毎年落ちた種が生長するのか分からないけど、僕にとってはどちらでも良かった。誰も種を集めようとしてないし、大体あんまり目立たないしな。

黄緑の涼しげな風船になった時みんなの注目をちょっとだけ集めるこの草。ホントは種が一番なのにな。僕はいつもそう思う。ポケットのビニール袋に集まるこの小さい丸薬のような種が僕は小さい頃から大好きなんだ。

よく見ると正露丸にハートが付いているって感じだろう。友達がよく言ってたけど、仮面ライダーブラックって感じもするなぁ。こんな面白い物が自然にできるなんてふっしぎー。幼稚園に3年保育で通うようになる前から何となく、これは僕のタネだって感じがしていたんだ。

茶色く変身してしぼんでしまった風船をそっと開けると中に必ず3つずつある。まだ茶色になっていない風船をピリッと破いてみると、中には未だ黒くなっていないタネがコックピットに三人背を向けて収まっている。じろっとこっちを見て、まだ入ってくるな。いまワープの準備中だ!って言うんだ。ごめん。そう言って慎重に、準備の整って茶色くなったOKのやつだけを取る。地球で役目を終えた隊員達が3人ずつフーセン型の宇宙船で自分たちの国へ帰るんだ、きっと。

つづく

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