僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

プールサイドストーリー…②

2017年01月22日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

仕方がないので歩く、老人たちに混じってひたすら歩く。
よく見ると両手を横に振ったり、大股で水に潜るように歩いたり、
横歩きや後ろ歩きと様々な歩き方をしている。

なるほど、ただ歩けばいいんじゃないのね。

そう思って水中で思いっきり両手を振るようにしてみた。
そのとたん前を歩く老人が振り向く。

「おい、どこ見て歩いてんだ、気をつけろ!」

手と手がぶつかったらしい。
らしい、というのは、そもそも水中であるからして振るのに抵抗があるので、改めてぶつかったという感覚はなかったのである。

「え?、あっすみません」

謝ったが、内心では(んなちょっとでスゲー怒っちゃうんだ、きっと昔は偉いさんでえばっていたのに違いない、家でもきっと偏屈なえばりんぼなんだろう)と思った。
くわばらくわばら、気をつけよう。

ちなみにその人には近づかないようにしていたが、
ある日後ろ歩きしていたその人が前を歩く人にぶつかり
ニヤニヤしながら謝っているのを見ることができた。

老人たちにとってプールは健康のため半分、
知り合いとのおしゃべり半分といった感じである。

完泳コースで泳ぐ人たちもひと泳ぎすると
コースロープに寄りかかるように固まっておしゃべりに花を咲かせている。
みなさんまぁ楽しそうだ。
楽しい仲間になってしまえばちょっとぶつかっても笑って済ませられるんだろうな。

おしゃべりグループの側を歩いていると「斉藤さん」という声が耳に入った。まぁ、斉藤なんてよくある名前なのだが、
時々「ゆきさん」という声も聞こえる。
お年寄りに混じっておしゃべりしている
(ここでは)若めの女性がどうやら斉藤友紀子という名前らしいのだ。

え~っ、自分は斉藤友紀夫だから、一字違いの同姓同名かも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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