あれからもう一年になるんだね
うん、また来たんだ
女神様はずっと守ってるんだよ
ずっとおんなじだ
ふたりはしばらく無言でたたずんでいた
気がつくと、今まであんなにうるさかった蝉の声も、風が小枝を揺らす音も聞こえない
邪悪なものを一切排除する結界があたりを包んでいるようだ
留美子、すごい世界だね
握りしめた辰雄の手のひらから感情が流れ込んできた
ふたりの心には去年の感動がはっきりとよみがえっている
気持ちの高ぶりが頂点に達したとき
女神の声が聞こえた
留美子は辰雄の腕を引き寄せ、言葉を聞き逃さないようにと身構えた