marcoの手帖

永遠の命への脱出と前進〔与えられた人生の宿題〕

世界のベストセラーを読む(817回) (その15)フランクルは、サルトルをこう評価した。

2021-03-02 19:55:36 | 小説

◆あのアウシュビッツを生きぬき、「夜と霧」を書いたヴィクトール・E・フランクルの言葉である。****「ジャンポール・サルトルは人間を自由なものと呼び、人間に向かって、選択すべきこと、自己自身を案出すべきこと、人間が人間を「企投」すべきことを要求した。その場合、サルトルは、人間はあらかじめ与えられた規範をあらかじめ見出すことなしに、すなわち本質的に人間の外部にある領域からなにものかを受け取ることなしに、自己自身を案出できるものと考えているのだが、それならばわれわれは次のように問わなければならない。・・・・・このようなやりくちはインドの綱手品と同じことではないのか?と。この手品では、手品師は綱を空中に投げ上げて、子供が綱をよじ登っていくように見せかけるのである。サルトルによれば、人間はこれと同じように彼の存在当為を無の中へーーーーどこからも支えを与えられることなくーーーー企投して、みずからこの企投につかまって自分自身を作りあげ、発展させることができると信じていることになる。」(「識られざる神」:フランクル著作集7<みすず書房>(五 良心の超越 p74))