ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

「日経ビジネス」誌6月18日号の特集「早期退職の経済学」を読みました

2012年06月20日 | 
 経済誌「日経ビジネス」誌の2012年6月18日号の特集「早期退職の経済学 もし今、辞めたらどうなるの?」を読みました。

 日本の大手電気メーカーの大リストラが始まり、中高年の方が何人かは早期退社し、別の仕事を探すことになる、この時期に、タイムリーな特集といえそうです。

 この特集の広告のリードは「中高年の前途が厳しくなっている。定年まで我慢するのか、第二の人生に踏み出すか。(中略)もし今、退職したらどんな未来が待ち受けるのか。大企業ミドルの近未来を占ってみた」とうたっています。



 この特集の対象者は、いわゆる“大企業”に就職した中高年(45歳以上)だそうです。記事は、内閣府の経済報告書によると、「雇用保蔵者」と呼ばれる社内失業者は、10人に1人と、約10%は余剰人数になっているというデータを示します。その半面、早期退職したい人は1.2%に過ぎないというミスマッチを示します。

 この特集の厳しい部分は、実際に早期退職を受け入れて、転職に踏み切った中高年の1/3は、退職後1年経っても、希望の就職先が見当たらず、途方に暮れているとのヒアリング結果を示している点です。一方、就職先が見つかって再就職できたとしても、賃金が10%以上減った者が26.6%と、4人に1人は給料が下がるとのデータを示しています。さらに、キャリアコンサルタントは、「転職して、年収が前職の70%なら“御の字”が相場になっている」とコメントしています。結局、一般的には「早期退職は損」と結論づけています。

 その一方で、早期退職に応じず、会社に踏みとどまると、“中高年の最終処分場”企業に出向させられ、自分から辞めると言い出す仕打ちを受けた実例を示しています。あるいは、役員に昇格させ、2年間の期限が過ぎると、任期満了で解任する妙技も紹介しています。社員以外の役員の解雇規定があいまいな日本企業が多いからと伝えます。

 特集の結論は平凡です。要は、会社が残ってほしいと思う“中核人材”の実力者は、こうした早期退職に対して、その試練を乗り越えられるとしています。その代わりに、卓越したスキル、タフな精神力が必要と伝えます。その通りでしょう。

 日本の大企業が収益力を下げている以上、各企業が従業員の人数の適正化に動くのは、倒産を避けるためでしょう。こうなると、まさに“卓越したスキル、タフな精神力”を鍛えて、人材流動に備えるしか手はないと感じました。