まさるのビジネス雑記帳

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他社株転換社債(EB)について

2014-04-04 00:27:37 | 株式関連

 

  • 他社株式交換権付社債(Exchangeable Bond=EB)とは、株式関連仕組債のうち、償還金の代わり株式で返還されるものを言いますね。特徴としては、償還時に指定された特定株の株価によって償還条件が変動する債券ですね。ITバブルの頃、証券会社がいかにも儲かりそうな言葉で宣伝して、多くの人が多額の損失を蒙ったため、なりをひそめました。この社債は、株式への交換価格の上限が設定されており、それ以上の利益(+利息)は得られませんが、株式に転換されれば株価はいくらでも下がる可能性があり、ハイリスク・ローリターンで証券会社だけが儲かる仕組債と言えます。今回は、この基本的仕組みについて一例を交えて考えて見ましょう。

     

  • 日本の上場企業(IPOを考えている会社の場合も含む)の大株主が、例えば、株価1万円の株式10万株=10億円相当の株式をCaymanSPC(Special purpose company)に譲渡します。

    そのSPCとは、第三者(銀行等)に委託して例えばCharity TrustとしてUS$1,000ぐらいのチョー過小資本で、当該株式を保有する目的のために、直前に設立されたSPCです。

    SPCは、株式購入代金10億円を株主に支払いますが、株式購入と同時に、一定の期日・条件(IPOを目指す会社の株式の場合には、IPO価格で株式に転換する等の条件)が整えば株式に転換する条件の社債を発行します。この社債を証券会社は投資家に販売するわけですね。

     

  • では、SPCが購入した株式はと言えば、信託銀行に寄託されますね。もし、このEBの購入者が1社の場合には、その購入者のために寄託された株式を譲渡担保とすることも出来ます。従い、SPCが当該上場株券の登録株主ですが、譲渡担保ですから社債購入者が所有権を有するということになりますね。

 

契約という観点から上記を見ると、

1) 社債購入者は、社債引受(Subscription Agreement)契約を締結します。

2) 譲渡担保も取得できるなら譲渡担保契約(Assignment Charge Agreement=英国法系ですのでCharge=担保という意味)も結ぶことになります。 

3) SPCは信託銀行に株式を寄託しますので、株式寄託契約(Custody Agreement)を結ぶことになります。

4) SPCは、その発行する他社株式転換権付社債の金利支払事務・管理等を信託銀行に委託しますので、これについて財務代理人契約(Financial Agency Agreement)を締結します。

 

各当事者の国・場所の事を書いていませんが、上記スキームを国際税務戦略に沿って行いますので、かなり複雑なスキームになります。まあ、EBへの投資家で儲かったという人・会社は聞いたことがありません。この種仕組債は、これをアレンジする証券会社と証券会社系の銀行のみが儲かる仕組みでしょうね.

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