日本人は新型コロナウイルスを甘く見ていた。確かに去年や今年の初め、日本人は他国に比べて感染することが多くなかった。それに安心してしまったのか、新型コロナウイルスをあまり恐れなくなっていた。私もこのまま収束するものと何度も考えてしまっていた。しかし、今回のデルタ株の感染拡大はそれが幻想にすぎないものということがわかった。
おそらく日本の政治家もそう考えていたのだろう。だから間違った対応をとった。この判断ミスは大きな問題であった。多くの専門家が異を唱えていたのにもかかわらず、「経済優先」のかじ取りをしていたのである。菅総理は口では「安全・安心」と言っていたが、彼の「安全・安心」は経済の「安全・安心」でしかなかった。言葉の意味を意識的に取り違え、国民の目をくらましていたのである。その結果もっと慎重であるべき時期にまったく慎重さを欠いていた。その結果。リスクマネジメントがまったくできていなかったのである。
さらに今、そのリスクが現実のものとなった。それなのに対応が鈍い。本物の緊急事態に陥ったときに、取り乱してなんにもできないような状態なのである。日本政府はパニックに陥っている。
いまが本当の緊急事態なのだ。そしてこの緊急事態はもしかしたら、「真の緊急事態」の序章にすぎないのかもしれないのだ。いまこそ緊急事態の対応を一丸とならなければいけないのだ。
政府と専門家会議が意志を統一して、効果のあるわかりやすい対応をとるべきだ。それは結果的には無駄であったとしても、本当の意味で「安全・安心」を優先させたものでなければならない。
恐怖が現実のものとなる危険性をもっと意識してほしい。