高校の家庭科の授業で投資を学ぶことになるという。本当に必要なのだろうか。
政府が投資を学ばせるというのは、もちろん投資を促したいからである。その意図はどこにあるのか。まずはそこを説明してもらいたい。
おそらく理由の1つは経済界からの要請である。投資額が増えれば株価があがり企業は助かる。それがひとつの理由である。
もう1つは、年金問題である。年金制度は破綻しかけている。自分の老後資金は自分でなんとかしなければいけないという意識を植え付けようとしているのだ。
「自己責任」という言葉を最近頻繁に耳にするようになった。制度に頼ることなく、成功しても失敗しても自分の責任だ。いちいち国は責任を負いませんよ、という時代になってきたのだ。あなたが投資すれば企業は活性化し、株価はあがる。それによってあなたの資産は増えますよという、「明るい未来」像を国は押し付けているのだ。
しかし国民はそんなにうまくいくとは思っていない。いままで守ってくれると信じていた「国」はもう守ってくれない。突然そう言われて、「国民」は「国家」に裏切られた気分になる。そして不安な中、投資について学び始める。毎日が株価に左右される。不安は不安を増幅していくに違いない。
資本主義の限界が訪れている。