「源氏物語を読む」シリーズの23回目、「初音」です。自分の備忘録として書き残しておきます。
この章段は、人物の整理をしているように感じます。六条院の現状紹介と、いよいよ中年を迎えた源氏と、かつて愛した女性も少し年を取り始め、容貌や物腰に変化が表れてきていることが描かれます。
光源氏36歳の新春。源氏は正月なので、六条院の各屋敷を巡ります。春の町で紫の上と新年を祝います。その後、花散里の所にあいさつにいきます。そこで玉鬘にも会います。夜は明石の姫君の所に行きます。紫の上は気分を害します。翌日は末摘花や空蝉を訪問します。空蝉は忘れたころの登場で、ちょっとびっくりです。
とりたてて何かが起こる章ではないのですが、さまざまな人物関係が整理されて、これから何かが起こりそうだという気がしてきます。
源氏物語は紫上系と玉鬘系の2系列があるとの学説があり、今日ではそれは認められている状況です。紫上系は本編であり、玉鬘系はそのスピンオフのようなストーリーで、おそらく後から付け加えられたものと考えられます。
以下の巻が玉鬘系に含まれるとされています。
2帚木、3空蝉、4夕顔、6末摘花、15蓬生、16関屋
玉鬘十帖(22玉鬘、23初音、24胡蝶、25蛍、26常夏、27篝火、28野分、29行幸、30藤袴、31真木柱)
玉鬘系は、光源氏との関係が限られたものであり『源氏物語』全体のストーリーと絡みません。また描かれている光源氏の恋愛の対象となる主要な女性が紫上系で描かれている「上の品の女」より身分の低い「中の品の女」です。
このことを理解していると『源氏物語』は整理しやすいようです。