とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

大学入試改革は3年延期しなさい

2019-07-08 18:54:37 | 教育
 大学入試改革が強引に推し進められている。英語の民間試験の活用、国語の記述式問題の導入など、根本的な方針としては悪いことではない。ところがこのやり方を無理矢理にすすめているために、議論が成熟せずに無理であることが明らかになってきている。このまま推し進めて失敗するのはさけられないのだ。現役の高校生を犠牲にしながら、高校生の人生をもてあそびながら企業の論理で推し進められているこの改革は、一旦延期すべきである。

 私は国語教師なので国語の改革について述べる。(これはこれまでも書いてきたことなので、過去のブログも見ていただければ幸いである。)

 国語の試験に記述式を導入することは賛成である。センター試験の国語の問題をいい問題だと評価する人もいるが、私はそれに賛成しない。センター試験の国語の問題は国語力とは別の力を測っている。選択問題に慣れてしまった高校生は、表面をなぞるような読み方しかできなくなって、その文章を読んで考えるということをしなくなる。しかも文章を書く練習をしなくなるので、論理立てて考える力も育たたない。日本人はそもそも受け身なのに、学校教育においてさらに受け身な人間を育てることにもなる。

 もちろん二次試験で記述式を導入している大学ならばよい。例えば東大や東北大である。彼らが新テストに対して強気なのは当然である。しかし、近年は記述式の国語問題など、ごく一部の難関大学だけが二次試験で課しているだけだ。この状況を是とするわけにはいかない。

 しかしながら今回の改革では採点の問題がまったく解決していない。誰が採点するのか、客観性が保てるのか、そして記述式問題として妥当なものなのかなど、次々と問題が明るみに出てくるのである。しかもそれが情けないことに最初から心配されていたことなので、当然改善策を考えておくべきなのに、ここにきて「やっぱり」という形で出てくるのである。無理を通して実施してしまうことだけを考え始めている。もはや末期的な状況である。

 方向性に関して反対している人もいるが、現場に人間は改革の方向性に対してはそれほど強い反対をしてはいない人が多い。だからこそ失敗で終わらせたくない。せっかくの教育改革を混乱をできるだけ少なくし、多くの人の賛同を得るために、そして何よりも現役の高校生が混乱して、制度改革による不利益を得ないために、一度、立ち止まってほしい。
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