東京のパルコ劇場で舞台『セールスマンの死』を見ました。アーサーミラーの有名な作品ですが、私は初めて見ました。自分を信じたいがためあらすじ
1950年代前後のアメリカ、ニュに嘘に嘘を重ねて生きていく現代人を見事に描いた切ない作品でした。すばらしい舞台でした。
作:アーサー・ミラー
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
出演:段田安則 鈴木保奈美 福士誠治 林遣都
前原滉 山岸門人 町田マリー 皆本麻帆 安宅陽子
鶴見辰吾 高橋克実
作:アーサー・ミラー
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
出演:段田安則 鈴木保奈美 福士誠治 林遣都
前原滉 山岸門人 町田マリー 皆本麻帆 安宅陽子
鶴見辰吾 高橋克実
あらすじ
1950年代前後のアメリカ、ニューヨーク。セールスマンのウィリー・ローマンも、もう63歳。年齢のせいもありセールスの成績も上がらない。精彩を欠き厄介者として扱われている。
妻のリンダは夫のウィリーを尊敬し献身的に支えているが、経済的な不安と家族の不和に苦しんでいる。
ウィリーは小さい頃は子供たちのいい父親であったが、あることがきっかけで子供たちとの関係が壊れる。特に長男とは会えば喧嘩ばかりである。
家のローン、車のローン、さまざまな修繕費、日々の生活は苦しいのに収入がほとんどない状況となっており、家族は出口が見えない暗闇に閉じ込められていく。
現代社会はお金があれば自信をもって生きていける。ウィリーもかつては収入もあり、自信をもって生きていた。しかし年をとり思うような仕事ができない。それどころか会社の足を引っ張っているような状況になる。それは苦しい。かつてのプライドが真実を隠す。もはやどうしようもないのに、嘘を重ねて周りをだまし、自分自身もだまそうとする。
悲しい人生である。しかし振り返れば自分も同じではないか。観客の多くが自身の問題としてとらえ、苦しくなっていく。
しかも長男との不和は、実は自分自身の過ちのせいであった。結局は自分の過ちでバラバラになってしまったのだ。
苦しい。ウィリーは追い詰められて自殺する。
これはウィリーだけの問題ではない。現代人の問題だ。お金を最大の価値としてしまい、お金に支配された現代人は、多かれ少なかれ同じような過ちを繰り返す。観客はそれに気が付き、現代社会の恐怖を感じる。
ショーン・ホームズの演出は、すべてが幻想のように描く。過去の思い出と、現実の不安定さが描かれている。しかし現実感がないわけではない。年老いた男の幻覚を見ているようである。現実を見ようとしない人間たちの虚像の世界を描いているのだ。
恐ろしく、そして見事に現代社会を描く名作だった。
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