台湾映画『本日公休』を見ました。少なくとも私の今年のベスト5には入ります。感動しました。
台中にある昔ながらの理髪店。店主アールイは40年にわたってこの店に立ち続けています。かつては夫と一緒に働いていた理髪店ですが、夫は亡くなり、今は一人で経営しています。仕事が丁寧で、常連を大切にし、間が空いた客には電話で来るようにいいます。彼女が育て上げた3人の子どもたちは既に独立しています。娘の夫は近所の自動車修理店で働いています。その男がアールイのことを気にかけてくれ、様々に手伝ってくれます。しかし娘との関係は壊れかけています。他の子どもたちもそれぞれ問題を抱えながらも、母親のことはそれなりに心配しています。この家族の関係が丁寧に描かれています。丁寧に描写されるので、とてもリアリティがあり、映画に引き込まれて行きます。
ある日、離れた町から通い続けてくれる歯医者の常連客の“先生”が病に倒れたことを知ります。アールイは、店を休みにして、車で先生のもとへ向かいます。しかしその先生はもう意識のない状態でした。その先生の髪を切る場面は泣けてきます。単なる床屋とその客というつながりではありながら、そのつながりが人生の中で重要なつながりの一つであることが描かれるのです。人生をつなぐ糸が感動を呼びます。
結局、娘とその夫は別れます。男はアールイに髪を切ってもらいながら、男は別の女と結婚することを告げます。もうもとのようにはいかない。しかし、このふたりの糸は切れることがないでしょう。じんわりと心にしみて来る場面です。
まじめに自分の生き方を貫くアーレイの姿に、様々な思いが駆け巡ります。すばらしい映画でした。
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