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『千と千尋の神隠し』の分析的読解7「生と死」

2023-02-10 07:56:55 | 千と千尋の神隠し
 国語の授業で『千と千尋の神隠し』の分析的読解をやってみようと思い、準備しています。キーワードごとに分析していこうと考えています。まだ構想段階ですがメモ的に書いていきます。

 7つ目のキーワードは「生と死」。

 家族たちが車で引っ越し先の家に行く最初のシーンは現実の世界、つまり「生の世界」です。しかし山道に迷い込み、廃墟に入ったところあたりからは別次元の世界になります。ここは死の世界なのでしょうか。「銀河鉄度の夜」の項で申し上げましたが、死の世界まで行くには電車に乗る必要があります。ということはまだ完全には死んではいない。千尋たちが迷い込んだ別次元の世界は、「生と死の境目の世界」と考えるのが妥当です。そしてそこに神々が集うのです。


 「神々の世界」に現世の人間が迷い込むと、透明になっていくようです。千尋も最初、透明になりました。カオナシもそうです。鉄道に乗る人々もみんな透明です。透明になった現世の人間は死の世界に行くと考えていいようです。しかしその世界のものを食べてしまうと、その世界の住民となってしまいます。他の動物になるか、一生働き続けるしかありません。

 その異空間に迷い込んだ人間が、現世の「生の世界」に戻っていくには、大変な努力が必要です。しかも、その努力には勇気も必要です。自分の力で局面を打開していかなければいけないのです。それを成し遂げた千尋は、「生の世界」にもどることを許されます。

 さて、「生の世界」に戻ろうとする千尋にハクは言います。
「トンネルを抜けるまで絶対に振り返ってはいけない」



 さて、「生の世界」に戻ろうとする千尋にハクは言います。
「トンネルを抜けるまで絶対に振り返ってはいけない」


 これは古事記のイザナミ、イザナギの話を思い出させます。その内容は以下の通りです。

イザナギは妻のイザナミに先立たれましたが、逢いたくて黄泉の国へと行きました。
イザナミはイザナギが来たことを喜びました。
しかし黄泉の国の食べ物を口にしているため、黄泉の国の住人になっていました。
「帰りたいけれど、この国の神々と相談してくるので、その間は決して私の姿を見てはいけません。」と言って御殿の中に入っていきました。
しかし、イザナギはなかなかイザナミが帰ってこないので、中をのぞいてしまいました。
すると、そこには腐敗して体中に蛆がたかり、雷をまとった妻の姿がありました。
イザナギは恐れて逃げ出し、イザナミは追いかけました。
そしてイザナギは黄泉比良坂でイザナミと離縁しました。

 このイザナミ・イザナギの神話は『千と千尋の神隠し』に反映しているのは明らかでしょう。

 だとすると『千と千尋』においてイザナミと同じ立場になるのはハクです。ハクは死んだのでしょうか。その可能性もありますが、それはまだ謎です。

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