生活を向上させるためには過酷な状況でも働かなくてはならない。しかし過酷な労働は家族の時間を奪っていく。現代の日本にも通じる問題を冷静な目で描写する佳作だ。
監督はケン・ローチ。
リッキーとデビーにはふたりの子供がいる。リッキーは家族のために家族のために運送業を始める。週6日の14時間労働である。(日本の学校の教員も同じようなものだ。)デビーは訪問介護の仕事をしている。さまざまな問題があるために毎日ストレスをためていく。
ふたりの子供も問題を抱えている。家族の時間が必要なのに、家族の時間がとれない。家族はバラバラになっていく。しかし生きていくために働かなければならない。問題が発生すると、その問題を解決するために次の問題が生まれる。修復する時間がないまままた次の問題が生まれる。こうして家族に悲劇の循環が続いていく。
サッチャー政権はイギリスに格差を生み出したと聞く。その経済政策を追随した日本でも今や格差は広がる一方である。この映画の問題は日本の問題そのものである。果たして家族は家族を取り戻せるのか。現代人に突き付けられた大きな問題である。
この映画は押し付けることはなく、現実を描写している。このリアリティが見るものの心に届く。
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