映画『私にふさわしいホテル』を見ました。ドタバタコメディなのですが、ふざけたなかに温かさが感じられる映画でした。
昭和の文学界を描く作品で、先日休館した神田の「山の上ホテル」も重要な舞台となっています。「山の上ホテル」は昭和の文豪たちが頻繁に利用したホテルです。昭和の文学界は「文壇」という特殊な世界があり、村社会によって文学が形成されていました。その村社会で生きて行く新人作家のお話です。
のんが新人作家を演じるのですが、これが遊び心のあるめちゃくちゃさで楽しめます。自分の欲のために想像を絶することをするのですが、それでも映画の中ではきちんとおさまってしまうのです。これは原作の力なのだと思いますが、のんという役者のすごさでもあり、それを演出した堤幸彦の力なのかもしれません。
滝藤賢一も大御所作家を演じていて、胡散臭さと、人間臭さを見事に表現しています。最後に若村麻由美が出てきて、何気ない役なのですが映画を締めてくれます。
予告編を見た時にただバタバタした映画なのではないかと心配したのですが、きちんと展開があり、ひとりの人間の表と裏がしっかりと描かれています。昭和の文学界へのノスタルジーも感じてきます。
気楽に楽しめる映画でした。
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