デヴィッドボウイの音楽人生をたどるドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』を見ました。私が最も聞いたミュージシャンの一人、デヴィッドボウイの人生を改めて見つめなおすことができました。
デヴィッドボウイは最初、グラムロックの旗手として表舞台に出ました。自分を宇宙人と見立てたアルバムを制作し、ステージも「ジギー」という宇宙人になりきっていました。演劇的でありミュージカル的な要素を含んだコンサートでした。彼はその時から自分の真の姿を隠していました。
次にアメリカにわたり、ロカビリー風の音楽を作った時代に移ります。この変化から彼の異常さが表れ始めます。彼の真の姿が見えなくなってきます。
そして私の一番好きなベルリン時代が来ます。ブライアンイーノとともにノイジーであり、アンビエントな音楽を作り上げます。ストイックに自分の内面と向き合っている姿が見えてきます。その前後の派手なボウイを好む世代の人には一番退屈な時代だったのかもしれませんが、ボウイが真の自分を見つめた時代だったのではないかと私には感じられます。
そしてスーパースターの時代がやってきます。『レッツダンス』です。この時代、古くからのボウイファンは、スーパースターを演じているボウイに違和感を覚えます。だからなのでしょう。かれの黄金時代は長く続きませんでした。ボウイはスーパースターにも飽きてしまうのです。
ボウイは自分の人生を演じ続けました。ロックスターを演じたのです。それは時代が彼に要求したものだったかもしれませんし、彼自身が変化する時代に挑んだのかもしれません。しかし自分の人生を演じるのは無理が生じます。そこに彼の悲劇があったのではないでしょうか。だからこそボウイの真の姿はスーパースターの座を降りてからにあったのかもしれません。しかしその頃は、私もボウイから離れてしまいました。
もう一度ボウイを振り返りたいと思いました。彼は何を目指していたのか気になります。
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