坂東玉三郎さんが2005年5月に歌舞伎座で上演した「鷺娘」と、2005年10月に上演した「日高川入相花王」がシネマ歌舞伎として復活した。
玉三郎さんの「鷺娘」については次のように紹介されている。
1978年の初演以降、圧倒的な美しさが国内外で評判を呼び、玉三郎の代表作のひとつとなった演目だが、高度な技術と数十キロに及ぶ衣装や鬘をつけて踊り続ける体力を必要とするため、09年の上演を最後に、全編を踊ることはないと言われている伝説の一作。
今回、玉三郎自身の監修の下で最新技術を駆使して補正・調整を行った「サウンドリマスター版」が公開された。両作品とも30分程度なので合わせて1時間ほどの上映。値段もシネマ歌舞伎としては安い1100円である。
「日高川入相花王」は人形浄瑠璃の雰囲気をそのまま歌舞伎にしている。つまり人形の動きを踊りに取り入れている舞踊劇である。ロボットダンスのようなものだ。歌舞伎の伝統はあらたなものを取り入れて新たな表現を作り上げてきたものだということがよくわかる演目である。人形的な動きと人間的な表情があわされて新たな表現を作り上げている。
「鷺娘」は玉三郎さんの代表作である。私も大昔に歌舞伎座一度見た記憶がある。しかしそのころはもちろん3階席の後ろのほうだったので表情はほとんど見えない。舞台全体の美しさはわかるのだが、表情までは分からなった。今回、映像でみることによって、細かな表現がわかり、鷺の気持ちとともに玉三郎という役者のすごさが迫ってきた。
シネマ歌舞伎は確かにいい企画だと改めて感じることができた。
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