市川左團次さんが亡くなった。豪快で器の大きな歌舞伎役者らしい役者だった。残念だ。
私が歌舞伎を見始めたのは大学生のころ、1980年くらいからである。左團次さんを襲名したのは1979年なので、私にとってずっと「左團次さん」だった。もうこんな人はめったにいなくなってしまった。
左團次さんの演技は豪快だった。役になりきるというよりは、左團次さんがそのままその人になってしまうという印象だった。それがいい。器用さは少しかけていたかもしれないが、左團次さんそのものがいいのである。貴重な役者だった。
裏表がないのでみんなに慕われたのだろう。テレビのバラエティに出ても、特に何かをするわけではないのに、やはり話がおもしろい。人柄がよかったのだ。
私が見てきた歌舞伎役者はだんだん年をとり、亡くなる人も多くなった。若い役者はいい役者が多いが、しかし何かが物足りない。歌舞伎が歌舞伎として生き残るために今、がんばりどころのように感じられる。
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