とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

難波博孝著『母語教育という思想』を読みました。

2021-04-17 08:04:16 | 読書
 難波博孝氏の『母語教育という思想』を読みました。国語教育へのたくさんの示唆を与えてくれる本です。

 筆者は批判的な視点から、現状の国語教育の科学的な分析をしています。その分析結果をもとに新たな国語教育への提言を行っています。賛同するところが多くありますし、気付かされることも多くあります。有益な書です。

 国語教育は伝統の上にあぐらをかいています。「国語嫌い」の生徒は多くいます。それは「国語」によって何を学んでいるのかがわからないからです。国語のテストも何を問われているのかがわからないのです。

 先日、生徒と雑談している時、生徒が次のように言いました。

「入試で出てくる問題文は初めて見る文章だ。それなのに授業で教科書の文章を詳しく解説されても何の意味があるのかわからない。」

 わたしも高校生のころ同じように思っていました。私が高校生の時から40年もたっているのに、国語教育は何の改善もなされていないのです。本来ならば時代に合った国語教育に変化しなければならないはずなのに、何の変化もない。これが日本の母語教育の現実なのです。

 国語教師の劣化もはげしい。これでは母語としての日本語は滅びる。今のうちに国語教育の改革が必要なです。そのためにすぐにでも動きははじめなければいけません。

 『母語教育という思想』では有益な提言がなされています。それをもとに新たな「国語教育」を今すぐにでも始める必要があります。
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松山英樹マスターズ優勝!

2021-04-13 18:41:30 | スポーツ
 すばらしい。

 松山英樹は世界でもトップレベルのゴルファーであるのは確かだ。しかしトップレベルのゴルファーはおそらく30人~40人くらいいて誰が優勝してもおかしくない。しかも松山は近年優勝からも遠ざかっていた。相対的な位置が下がっていたと言っていい。

 松山はすばらしいゴルファーであり、メジャータイトルととってもおかしくない存在であったのは確かだが、メジャータイトルを取るためには運の力も大きい。ゴルフは自然を相手にするスポーツであり、当然運の要素もあるのだ。しかも近年優勝から遠ざかっており、相対的にランクは落ちていた。

 わたしは松山は今後厳しいんだろうなと思っていた。

 そんな中での優勝である。

 勝手な評価をしてしまって本当に申し訳ない。松山君にとってみれば私に謝られても何の価値もないだろうけれど。

 松山は本当にすごい。最後の数ホールは見ているだけでも苦しくなった。本人の苦しさも相当だったであろう。だからこその喜びも大きかったはずだ。

 いやなニュースだらけの中、ひさびさにすっきりする時間だった。
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どうでもいいことだらげ

2021-04-11 17:20:53 | 社会
 最近のネットニュースを見るとどうでもいいことが話題なっている。

 例えば朝のワイドショーが変わったこと。それ自体は話題にするのは好き好きであろう。しかしその新しく始まった朝のワイドショーの視聴率の話なんかどうでもいい。何を目的にそれを話題にしたいのかがわからない。視聴率の悪いことをバカにしたいとしか思えない。本当に性格が悪い。

 アンジャッシュの渡部さんや、チュートリア」の徳井さんなど、不祥事をしたタレントについての話題。ネット記事はたんに足を引っ張りたいだけだ。彼らをどう思うかは視聴者の判断であるべきだ。一般の視聴者の判断を決めつけるような書き手ばかりである。そんなことで金をもらっているのだとしたら情けないし腹立たしい。

 そして最近一番腹が立つのは、小室圭さんの話題である。小室さんがどんな悪いことをしたというのか、だれも明確にはわからないのに憶測で極悪人のような記事がある。名誉棄損であり、こんな記事を許しておいていいはずがない。

 最近「人権」を守ることの大切さが訴えられている。しかし日本では「人権」なんて実は無視されている。それがネットニュースに明確に表れている。
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映画『ノマドランド』を見ました。

2021-04-08 18:01:14 | 映画
 アカデミー賞の有力候補『ノマドランド』を見ました。最初はドキュメンタリーのような映画で、淡々としすぎて眠くなってしまいましたが、ちりばめられた意味が最後につながっていき、高まっていくような感覚になります。なるほど名画です。

(あらすじ)
 企業城下町で暮らす年老いた女性は、夫と死に分かれ、同時にリーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、キャンピングカーでの生活にこだわり、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送る。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ねていく。

 若いころは自分の生きる意味は未来にありました。だから夢を持ちながら前に進んでいくことができました。しかし年を取ると、自分の生きる意味は自分の人生の中にあると思うようになります。夢を追うよりも、「自分の生き方」へのこだわりを大切にします。この映画の主人公は自分の人生へのこだわりによって生きています。なぜそこまでと思うかもしれませんが、それが「正しい生き方」です。だから感動します。

 つらい生活ですが、そのつらさへのこだわりこそがあるからこそその人でいられるのです。切実にせまってくる映画でした。
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夏目漱石「野分」の気になる表現

2021-04-07 05:43:42 | 夏目漱石
 前回、夏目漱石が近代小説の「文体」を発明したということを書きました。

 その意味で「野分」の文体を見てみると、気になる表現がいくつか見られました。

 八章、道也先生のセリフに次のような個所があります。(新潮文庫では216ページ)
「今日は一寸上野の図書館まで調べ物に行ったです。」
 この中の「行ったです」は現在いいません。「です」の接続が不安定だったことがわかります。

 十一章のセリフ。
「いやに睨めるじゃねえか。」
 この「る」は古典文法で習う、完了・存続の助動詞「り」です。近代小説では使われなくなったものが、会話文では残っていることがわかります。

 また、次のセリフ。
「この風にどうして出てきたろう。」
の「ろう」の接続も今と違います。

 このようにまだ近代の口語文体が揺れていたことがわかります。ただし、これらはすべて会話文の中です。これをどう解釈すべきかはもっと考えてみる必要があります。

コメント (1)
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