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世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

チェンマイのワット・ドイカム

2014-10-18 17:19:47 | 北タイの寺院


中世のランナー王朝前期の噺である。タイ族南下前のチェンマイ盆地には、古くからの先住民であるラワ族が居住していた。そのラワ族はランプーンにモン(Mon)族が、ハリプンチャイ王国をつくる前にマラッカ国を築いたが、8世紀半ばモン(Mon)族の進出により、その勢力は衰退したと云われている。
伝説上有名なラワ族の王では、ウィランカ王がいる。彼は、ハリプンチャイ王国のチャーマティウィー女王に求婚するが、女王の計略にかかり敗れたとの伝承がある。その女王の死後、息子のマハンタヨットが、ラワ族の故地に建立したのがワット・ドイカムであった。写真の黄金色の立像がチャーマティウィー女王である。
ワット・ドイカムは、チェンマイ市街の西方、ドイ・ステープの南に位置し、小高い丘のように見へ境内からは、花の万博公園を見下ろすことができる。逆に麓からは、丘の上の大仏とチェディー(仏塔)を望むことができる。

伝承では、ランナー王の即位式の際に、チェンマイ城市の北の白象門(プラトゥー・チャンプアック)から、ラワ族が犬を連れて即位する王の先導をする、しきたりになっていた。

写真は、チェンマイ歴史博物館に展示されているジオラマで、白い着衣のラワ族が犬を連れて、騎象する王を先導する様子が分かる。
噺は飛ぶが、日本神話に登場する隼人は、古くから大和政権に服属し、その勇猛さをかわれて天皇の守護をした。天平・奈良朝においては、天皇の行幸の際は行列の先払いとして、吠声を発し、邪気や邪霊を払ったという。また即位や大嘗祭などの儀式の際にも、隼人の吠声が発せられたと云う。
ラワ族の先導事例と隼人の吠声は、征服された先住民が、後発の征服者の先駆けを務める点で共通している。鳥越憲三郎氏はラワ族は倭族であると云う。そこまで飛躍せずとも深層での繋がりを感じないでもない。