世界の街角

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続 チェンマイのワット・ドイカム

2014-10-19 08:17:15 | 北タイの寺院

東南アジアは何処でもそうだが、ここチェンマイ盆地の中世は、宗教的にはワンダーランドの世界であった。精霊信仰はもとより、中世前期からヒンズー教、後期大乗仏教に覆われ、スリランカより上座部仏教が伝播した。

従って何でもありの宗教のように思える。ワット・ドイカムと繋がるラワ族は、タイ族南下以前の先住民である。彼らは精霊信仰と共に、どのような宗教を信仰したのであろうか?。今日のワット・ドイカムの本尊は写真の仏陀であるが、境内にはガネーシャやヒンズー神像が並ぶ。

ラワ族全盛の13世紀頃を想像するに、今日を見て比較するのは、あまりにも長い時間差があり、無意味とも考えるが、何がしかの伝承を背景に、これらのヒンズー神像が並んでいるものと理解したい。 
メーホンソンとメーサリアンの中間に、メラノーイという小さな町がある。そこから20km東の方向に分け入った、山の尾根に大きなラワ族集落がある。かなり大きな高床式の住居に住み、焼畑農耕で陸稲を作っている(2014年10月現在は不詳)。精霊を信仰するラワ族の人々は、毎年4月頃、種まきの前に土地の神に許しを請うため、鶏や豚をつぶして生贄として捧げる儀礼を畑の近くで行っているという。民俗学者の鳥越憲三郎氏によれば、ラワ族は『倭族』であり、魏志倭人伝にいう倭人、つまり日本人のルーツと関係があると推測している。

写真は、ワット・ドイカムのテラスからチェンマイ市街地方面を写したものであるが、ガスに阻まれ視界が悪く、写真の写りが悪い点ご容赦願いたい。