各地の歴史博物館や古代関連施設を訪れると、多種多様な埴輪に出会うことになる。その多様な埴輪を年代順に紹介する。年代順と云っても100年単位であり、前後関係が入れ替わって紹介する事例があるやもしれず、事前にお断りしておく。
『日本書紀』には埴輪の創始伝承が記載されている。それは、垂仁天皇二十八年と三十二年条で、野見宿祢が出雲の土部(はじべ・土師部)に埴輪を造らせたことにより土師連の姓を賜い、大王の喪葬も司ることになったと云う。
垂仁天皇の時代と云えば、4世紀中頃で古墳時代前期のことかと思われる。古墳から出土する埴輪の初出は円筒埴輪と云われており、その代表的な円筒埴輪は同時代のメスリ山古墳から出土しており、『日本書紀』の伝承と何となく符号する。しかし、円筒埴輪の根源は弥生時代後期の特殊壺・特殊器台であろうと考えられており、野見宿祢伝承を遡る時代と思われる・・・と云うものの野見宿祢は古代出雲人であり、出雲に生を受けた当該ブロガーとしては、誇りに思わざるを得ない。
前置きが長くなったが、弥生時代後期の特殊器台から円筒埴輪、さらには古墳時代・後期の埴輪を紹介する。
台付家形土器 弥生時代・後期 ~3世紀前半 倉敷考古館展示
吉備・特殊器台 弥生時代・後期 ~3世紀前半 倉敷考古館展示
特殊壺・特殊器台 弥生時代・後期 ~3世紀前半
みよし風土記の丘ミュージアム
特殊壺・特殊器台 弥生時代後期 ~3世紀前半
出雲弥生の森博物館
伊予型特殊器台 古墳時代・初期 3世紀後半 藤山歴史資料館
円筒埴輪 古墳時代・前期 4世紀 橿原考古学研究所
『多様な埴輪』と題して紹介してきたが、埴輪の源流が弥生時代後期の特殊器台にあることが、ご理解いただけたであろう。
尚、円筒埴輪は弥生時代・後期まで継続して造られた最もポピュラーな埴輪ということになる。
<続く>