アジア文明博物館を訪れたのは、マレーシア・サイバージャヤに滞在中の3月6日であった。ここには西アジアー東南アジアー東アジアの誇大から中世に至る美術工芸品が収集・展示されている。東南アジア古陶磁も展示されているようである。展示品の内、陶磁器類を中心に紹介したい。
右手の建物がアジア文明博物館だが、正面からの写真を撮り忘れたので、掲載できないのが残念である。
ここの特徴は、シンガポール華人・Khoo Teck Puat氏の『唐第沈船遺物』のコレクションである。中でも長沙窯陶磁の膨大なコレクションである。
1998年、漁民がシンガポールの南東600kmのインドネシア・ブリトゥン島に近いジャワ海で、ナマコの潜り漁をしていた時に、多くの陶磁器が海底に散乱しているのを発見した。そこには6万点以上の唐時代(618-907年)の陶磁器や金・銀製品で、イランやイラクのものも含まれていた。早い段階から中国、東南アジアと中東を結ぶ交易圏が存在していた。
沈船遺物のC-14放射性炭素測定による結果は、670-890年を示し、更に決定的なことは一つの陶磁器に宝暦二年(826)七月十六日と刻まれていた。これらのことより沈没したのは、830-840年と推測されるという。
沈船は、その構造と使用された木材の特徴から中東・湾岸地域で建造された『ダウ船』だとしている。そのダウ船に5万点以上の湖南省長沙窯陶磁が含まれていた。その一部が展示されているが、その様子から、さも大量であったろうとの様子を伺わせている。
展示量も膨大で、全てはとても紹介できないが、次回も一端を紹介したいと考えている。
<続く>
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