<最終回>
以下紹介するのは、改装前後で同じだが、案内プレートは改修されていた。前庭に移設されたワンヌア窯とパーン・ポンデーン窯を紹介して、一連のシリーズを終わりとする。
<ワンヌア窯>
ランパーン県ワンヌア郡に在った窯址をチェンマイ国立博物館前庭に移設。オリジナルは地下式の横焔式単室窯、いわゆる穴窯である。移設にあたって、前庭には地上に設置されたものである。煉瓦は使われず丘陵の斜面を掘って築窯された。したがって粘土窯である。
<パーン・ポンデーン窯>
窯はワンヌア窯と同じ横焔式単室窯であるが、こちらは煉瓦構築の地上式である。穴窯の最進化形で時代は16-17世紀まで下る。パーン・ポンデーン窯では精緻な青磁が焼成され、特に40cm近い大径の盤に優品が多い。
青磁焼成は多くの焼成技術を要した。特に窯の気密と強度が必要である。青磁は鉄分を含有した釉薬を還元焼成することにより得られる。この還元焼成が難しい。流入空気を制限して、窯内部を還元雰囲気にする必要がある、いわゆる窒息状態での焼成である。その還元焼成では必然的に窯の圧力が高くなる。冷却時には負圧状態となり、窯が膨らんだり縮んだりするので、窯壁が崩落し易くなる。最下段の写真を見て頂こう。その窯壁が二重になっている。この崩落対策、あるいは気密度向上対策以外の何物でもない。過去何も考えずにみていたが、パーンでは対策が行われていたのである。
<了>
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