<続き>
杏が巡るNHKスペシャル第2集「バガン遺跡」を見て、連想ゲームのようにワット・ジェットヨートについて噺を進めてきた。そのワット・ジェットヨートで見たサット・ヒマパーンの森に棲む、聖なる動物の装飾や肖形物を紹介した。
以下、その連想を膨らませて、中世における北タイの上座部仏教における、理想郷としてのサット・ヒマパーンの森を想像してみた。
以下は残念ながら北タイではなく、バンコクのワット・サケットの壁画である。本尊の後ろにひろがるのが須弥山図で、その麓にサット・ヒマパーンの森が描かれている。
麓の中央には満々とした湖から四方に流れ出している。これはアノータッタ湖で、それぞれ牛、馬、獅子、象の口からながれだしている。湖の周囲にはキンナラや象が描かれ、この世の極楽を表現しているのであろうか。
上写真の左下は、あの世へ行く人に安楽を与えようとしているのだろうか? 水を僧侶が与えている。写真にはないが、この下に地獄が描かれている。
このサット・ヒマパーンの森に棲む聖なる動物を北タイ寺院の肖形物から紹介したい。
先ずは、上述のキンナラ(緊那羅)で、女性のそれをキンナリーと呼び半人半鳥である。そのキンナリーは北タイ寺院で見ることができる。写真のキンナリーは過去紹介したチェンライのワット・ロンクンで見たものである。
ワット・ロンクンは白亜の寺院なので、キンナリーも白亜であるが、通常は極彩色に彩られている。
キンナリーの次はマカラである。マカラは仏教にも取り入れられているようだが、オリジンはバラモン→ヒンズーである。マカラはヴァルナ神の乗り物(ヴァーハナ)とされている。そのマカラは門や装身具の装飾に用いられ、象のような鼻、とぐろを巻く尾を持つがイルカやワニ、サメの類ともされる。それはヒンズー寺院の門やゴープラムの装飾に見ることができる。
写真はバンコク国博が所有するタイ東北部のクメール様式寺院址から出土したマカラ(11世紀)である。この様式のマカラは現在のヒンズー寺院のゴープラムにも装飾されている。
写真は、クアラルンプールのスリカンダスワミー寺院のゴープラムの一部をスケッチしたもので、画面下部がマカラである。
では北タイ・上座部仏教寺院にはどのような姿であろうか。下の写真はワットジェットヨートの礼拝堂入口である。そこにはマカラがナーガを生み出している姿であらわされており、北タイでは一般的である。
サット・ヒマパーンの森に棲む聖なる動物は、先にも紹介したノック・ハッサデーリンもそうである。
北タイは日本と違い輪廻転生を説く、来世の生まれ変わりをよくするため、現世で功徳を積む。功徳を積めばサット・ヒマパーンの森に遊び、高貴な身分に生まれ変われると信じたのであろう。次回はキンナリーに関する話題を提供したい。
<続く>
杏が巡るNHKスペシャル第2集「バガン遺跡」を見て、連想ゲームのようにワット・ジェットヨートについて噺を進めてきた。そのワット・ジェットヨートで見たサット・ヒマパーンの森に棲む、聖なる動物の装飾や肖形物を紹介した。
以下、その連想を膨らませて、中世における北タイの上座部仏教における、理想郷としてのサット・ヒマパーンの森を想像してみた。
以下は残念ながら北タイではなく、バンコクのワット・サケットの壁画である。本尊の後ろにひろがるのが須弥山図で、その麓にサット・ヒマパーンの森が描かれている。
麓の中央には満々とした湖から四方に流れ出している。これはアノータッタ湖で、それぞれ牛、馬、獅子、象の口からながれだしている。湖の周囲にはキンナラや象が描かれ、この世の極楽を表現しているのであろうか。
上写真の左下は、あの世へ行く人に安楽を与えようとしているのだろうか? 水を僧侶が与えている。写真にはないが、この下に地獄が描かれている。
このサット・ヒマパーンの森に棲む聖なる動物を北タイ寺院の肖形物から紹介したい。
先ずは、上述のキンナラ(緊那羅)で、女性のそれをキンナリーと呼び半人半鳥である。そのキンナリーは北タイ寺院で見ることができる。写真のキンナリーは過去紹介したチェンライのワット・ロンクンで見たものである。
ワット・ロンクンは白亜の寺院なので、キンナリーも白亜であるが、通常は極彩色に彩られている。
キンナリーの次はマカラである。マカラは仏教にも取り入れられているようだが、オリジンはバラモン→ヒンズーである。マカラはヴァルナ神の乗り物(ヴァーハナ)とされている。そのマカラは門や装身具の装飾に用いられ、象のような鼻、とぐろを巻く尾を持つがイルカやワニ、サメの類ともされる。それはヒンズー寺院の門やゴープラムの装飾に見ることができる。
写真はバンコク国博が所有するタイ東北部のクメール様式寺院址から出土したマカラ(11世紀)である。この様式のマカラは現在のヒンズー寺院のゴープラムにも装飾されている。
写真は、クアラルンプールのスリカンダスワミー寺院のゴープラムの一部をスケッチしたもので、画面下部がマカラである。
では北タイ・上座部仏教寺院にはどのような姿であろうか。下の写真はワットジェットヨートの礼拝堂入口である。そこにはマカラがナーガを生み出している姿であらわされており、北タイでは一般的である。
サット・ヒマパーンの森に棲む聖なる動物は、先にも紹介したノック・ハッサデーリンもそうである。
北タイは日本と違い輪廻転生を説く、来世の生まれ変わりをよくするため、現世で功徳を積む。功徳を積めばサット・ヒマパーンの森に遊び、高貴な身分に生まれ変われると信じたのであろう。次回はキンナリーに関する話題を提供したい。
<続く>
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます