2022年5月23日 十曽ダム
十曽(じっそ)ダムは鹿児島県伊佐市大口小木原の一級河川川内川水系十曽川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
現地記念碑によれば1934年(昭和9年)の干ばつを契機に耕地整理組合が組織され、1937年(昭和12年)に十曽池着工に至りました。
しかし戦争激化による人員・物資不足もあり工期は遅延し終戦後の1946年(昭和21年)にようやく竣工しました。
1990年(平成2年)~1998年(平成10年)にかけて、農水省の補助を受けた県営水環境整備事業によりダム一帯が『十曽池公園』として整備、さらに2004年(平成16年)には大規模改修が竣工し現在の姿になりました。
現在は耕地整理組合の流れを汲む伊佐市山野十曽土地改良区が管理を行っています。
上記のようにダム周辺は広く公園として整備されるとともに青少年旅行村が設置され北薩地域有数のレクリエーションスポットとなっています。
ダムは2004年(平成16年)の改修で一新され、クレスト自由越流頂10門を備えたすっきりしたデザインとなっています。
訪問時は田植えを控え満水
クレストから薄く越流しています。
ダム下流は『わんぱく広場』になっており、芝生の中に人工的なせせらぎや池が整備された気持ちのいい空間になっています。
芝生を焦がさなければコンロやバーベキューもOKということで休日には多くの家族連れ、キャンパーで賑わうようです。
ダムの下流面。
天端から
取水された水の大半は利水として減勢工で十曽川に戻され、一部はわんぱく広場に回されます。
総貯水容量48万立米の十曽池。
湖岸各所には親水護岸が設けられダム一帯が公園化されています。
天端高欄のイノシシのモニュメント。
公園の整備の方に由来を伺うと、特に深い意味はなくかつてこの辺りを猪が走り回っておりこれをモチーフにしたとのこと。
最近は駆除したシカやイノシシなどジビエが町の売りになっています。
1946年(昭和21年)の記念碑
摩耗が進み解読には苦労しました。
こちらは2004年(平成16年)の大規模改修記念碑。
十曽池案内図。
上流面
堤体中央に取水設備があります。
取水設備をズームアップ。
コンクリートダムのこの位置に斜樋があるのは珍しい。
(追記)
十曽ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
2854 十曽ダム(1841)
鹿児島県伊佐市大口小木原
A
G
23.3メートル
90メートル
480千㎥/450千㎥
伊佐市山野十曽土地改良区
1946年
◎治水協定が締結されたダム