昭和44年4月6日「どろろ」の放送が開始されました。
手塚治虫原作の「どろろ」は昭和42年8月27日から昭和43年7月22日まで 「週刊少年サンデー」(小学館)に連載されました。
テレビ化を考えての連載で、連載当時は、白土三平の時代劇物や水木しげるの描く妖怪マンガがブームだったため、それを意識していなかったといえば嘘になります。
ですから、パイロットフィルムも昭和43年1月には完成しております。それは、13分53秒のカラー作品で作られました。なかなか放送は決まりませんでしたが、モノクロにして価格を下げることで、4月からの放送となったのでした。
体の48箇所を魔物に奪われた百鬼丸が、魔物退治の旅を続けるという怪奇マンガでした。
戦国武将に仕える醍醐景光は、天下を取るという野望をかなえるために、生まれて来るわが子の体を、48匹の魔物に与えてしまいました。 そうして生まれた子供は、体の48ヵ所の部分が足りず、川に流され捨てられてしまいました。
時は流れ、戦(いくさ)の世を旅する少年・百鬼丸。実は彼こそが、魔物に体を奪われた赤ん坊の、成長した姿だったのです。 百鬼丸は、体を奪った妖怪を1匹倒すごとに、失った体の部分を1ヵ所取り戻すことができるのです。 百鬼丸は、どろろというドロボウ少年と知り合い、一緒に旅をするようになります。 しかし、どろろと百鬼丸の行くところ、妖怪や死霊が、次々と襲いかかって来るのでした。
どろろは日本の戦国時代を舞台として、東洋の伝説や説話に出てくるような妖怪が次々と登場してきますが、これらの妖怪は、すべて手塚治虫の考えたオリジナルです。 連載当時は、ちょうど水木しげるの描く妖怪マンガがブームだったため、それとくらべて語られることが多かったのですが、『どろろ』は、むしろ妖怪マンガというよりは貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)と見ることができるのではないでしょうか。
貴種流離譚というのは、身分の高い主人公が幼くして故郷を離れ、数々の苦難をのりこえて英雄になるという、昔からある物語の一類型のことです。 この「週刊少年サンデー」の連載は未完のまま中断しましたが、その後、テレビアニメの放映に合わせて、月刊雑誌「冒険王」に第2部が連載され、一応の完結を見ることになりました。
近年中国映画で「謝英雄伝」というのがありますが、まさにそれであり、このどろろもいつかは「謝英雄伝」みたいな実写で作りたいと思っていましたが来年先を越されてしまいました。あまり期待はしておりませんが。
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