歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

介護する側、される側

2012-10-13 00:37:12 | Weblog
入居者が出会い頭に、かわし損ねて片方が転倒。
幸い、出血、内出血はなかったけれど脇腹あたりの痛みを訴えられるので、週末でもあり懸念された。


訪問看護に電話連絡し状態を報告し、様子観察か受診かを問い合わせる。
看護師ですから医療診断決定はできないので、当然【受診】を進められる。



往診に来ていただいている提携病院まで出かけました。
付き添いは、私が行くことに・・・。

3時間ほどかかりましたが、ご本人は遊びに言っている感覚でしたから、外出がてらになってよかったかな~と。
「静かで景色が良くて、こうゆうところに住みたいですね。」
「桜が咲くときはきれいなんですよ!」

季節感覚はなくなっておられるので、桜の咲くころがおすきだったようです。

せっかく二人きりでお話できるので、生き方、お付き合い、昔の住まいなどをそれとなく引っ張り出します。
引き出しを一つづつ開けていきます。
脈絡はなくとも、この方の生活への考え方や、先の気がかりなどは分かるものです。


「年を取りますとね、あれこれとうるさく言わずに黙っているのがよろしいのよ。」
黙ってばかりいると、おなかが膨れますよ。パンッと割れたらどうしますか!(笑)

「パンが好きなんですよ。アンドーナツがすきなの。朝は、コーヒーにパン。パンにジャムをつけましてね。」
高齢者が、ご飯に味噌汁、お茶好きとは限りません。

周りに竹やぶが見渡す限り・・・。
ほら、すごい竹ですね!5月ごろにはたけのこがたくさん取れそう!
「美味しいですよねえ。私は嫌いなものはないんですのよ。」

「もう長くは生きたくありませんの。」
じゃあ、わたしも連れて行ってくださる?(笑)

「わたしは歌が好きなの、気分がよいと歌いたくなるんですけど、忘れてしまいましてね。歌っていると、うるさがる方もいるし。」
これは事実です。他の入居者の反応を気づいておられる。


ゆったりとしたときの流れでお話しすると「何を言ってるのか理解不可能」といわれる人がそうではないという事が分かるものです。
「理解できない」のは、ケア側の勝手な思い込み。
話が飛ぶのは、言葉の端々で今話していることからピョンと一気に言葉尻の名詞からの連想になるからだとわたしは思います。

この方は決して他人の非難は言わず、今の生活を受け入れています。
誉め上手で、おそらくたくさんの人を使ってこられたと思われます。
娘時代は、お手伝いさんが2人いたと話しておられました。


言葉遣いと笑顔を絶やさない、ありがとうの言葉。
簡単そうに見えますけど、できないときありますよね!


帰りのタクシーの運転手さん、交わって話しに加わり、何か感動して涙ぐんでいました。
「大事にしてあげてね。」と、別れ際に。
自分の親御さんを思い出したようです。
運転手さん、70歳。奥様は6歳年上だとか。


帰って玄関を入ると、みんなが振り向いて気にされるので「なんともなかったですよ~!よかったですね~!」と告げると、笑顔で、よかったね!と全員から答えが返ってきました。
70代の現役、素晴らしいです!お二人とも、気になるのは足の筋力のようでした。