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マカオ カジノ街 急速発展の光と影

2017-03-31 07:15:00 | 報道/ニュース

3月9日 キャッチ!


香港から高速船で1時間の距離にあるマカオは
約30平方キロの広さに60万人余が暮らしている。
ポルトガル領だったころからカジノが主な産業だったが
2002年にカジノの経営に国際入札制度を導入して以降は
香港やアメリカの資本が入って急速に発展し
いまやマカオのカジノの売り上げはラスベガスを抜いて世界一だということである。

世界各国のギャンブラーが一獲千金を夢見る町マカオ。
去年のカジノの収益は3兆円余。
カジノからの税収が地元政府の歳入の7割以上を占めている。
そして欲望の町はいま生まれ変わろうとしている。
マカオでは一般の観光客を呼び込もうという施設が建設されている。
カジノにホテルや劇場、ショッピングモールなどを併設した
IR(統合型リゾート施設)が次々にオープンしている。
習近平指導部が汚職撲滅に取り組んでいる影響もあり
顧客ターゲットを中国本土の富裕層から一般の観光客に広げようとしている。
観覧車が埋め込まれているホテル。
中国で縁起が良いとされる「8」の字がデザインされている。
去年 中国本土から訪れた観光客は2,000万人。
返還された1999年当時の12倍にあたり
名所旧跡の周辺は常に混雑している。
カジノ産業の発展は地元経済に恩恵をもたらした。
職人が作る伝統のアーモンドクッキーは1箱60円ほどと手ごろな価格で
アーモンドの香りがほんのり甘く
お茶うけとして人気である。
この菓子店の創業は1934年。
家族経営で今の社長は3代目である。
20年前までは1つの店舗で香港からの観光客を相手に細々と商売をしていた。
ところがカジノの発展とともに中国本土からの客が急増するのを見て
店は拡張路線をとった。
中国人が好む味を中心に商品を300種類に増やした。
(菓子店3代目 黄若礼さん)
「中国本土の人は辛いものが好きです。
さらに観光名所の付近を中心に店舗を13か所に拡大。
統合型リゾート施設の中にも出店した。
売り上げは返還当時の30倍以上に増加し
いま海外にも輸出を始めている。
(菓子店3代目 黄若礼さん)
「マカオの急速な発展を予想できた人は少ないでしょう。
 新たにカジノができれば商売は広がるので
 カジノは大歓迎です。」 
一方 苦境に立たされる市民も出てきている。
古い住宅街に夫と暮らす劉潔梅さん。
劉さん夫婦は中国の伝統的な薬を販売する店を経営してきた。
店は4代にわたって100年以上続き
地元の住民を相手に商売をしてきた。
ところが今年1月 店舗の賃貸契約の更新の際
家主から退去を求められ
やむなく店は閉店した。
マカオの不動産価格は10年で5倍に高騰。
多くの家主が高い家賃を得ようと
地元相手の商店から
観光客相手の飲食店や携帯電話の販売店などに変えようとしている。
急速に失われていく慣れ親しんだ街の風景。
劉さん夫婦は年金を頼りに
細々と生活していくほかはない。
(元薬局経営 劉潔梅さん)
「ご近所から『最近見ないね』と寂しがられます。
 私たちも悲しくてここに来ないようにしています。
 あたしたちのような古い店は淘汰されるんです。」
怪しいまでの輝きを放ち
人々を魅了するカジノの町マカオ。
その急速な発展の陰で住民たちの暮らしは変化を迫られている。





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ITで地方に確信を!スリランカ出身男性の挑戦

2017-03-30 07:15:00 | 報道/ニュース

3月7日 国際報道2017


新潟県南魚沼市。
市役所の一角に設けられたグローバルITパーク。 
国内では珍しい
海外のIT企業だけを集めた一大拠点を目指している。
発起人の1人
スリランカ出身のカウシャル・ワウラガラさん(39)。
アメリカハーバード大学経営大学院で学んだ後
1年前に来日。
ITが急速に浸透する日本にビジネスチャンスを感じたという。
目をつけたのが
南魚沼市の中小企業の技術力高さ。
それを
これまで全く縁のなかった海外のIT企業と結び付けることで
新たな技術革新を生み出せると考え
市にITの拠点構想を提案したのである。
(カウシャル・ワウラガラさん)
「ITは中小企業の事業発展にとって最も重要な手段だと考えている。」
モデルにしたのが
世界でも有数のIT集積地と言われるインド南部のケララ州。
一地方都市ながら海外から多くのIT企業が集まり
6万人を超える雇用を生み出した。
州の1人あたりの純生産は4倍以上に成長し
国内有数の発展を遂げたのである。
プロジェクトの第1弾は
国内でも数少ない眼の検査で使う検眼機の地元メーカーと
スリランカの企業の共同開発。
世界でもまだ実用化出来ていないという新技術に挑む。
検眼機で撮影した目の画像を人工知能が自動で診察。
数万件の診察結果を分析し
病気の予測につなげるという仕組みである。
開発がうまくいけば
白内障など眼の病気を
専門医がいない過疎地域でも早期発見できる画期的な医療技術になる。
(カウシャル・ワウラガラさん)
「この技術が医師の仕事の手助けになると信じている。
 “ITパーク”を中小企業が解決策を模索しに来るような場所にしたい。」
海外からの視点とITの技術が地方にどのような変革をもたらすのか。
カウシャルさんの挑戦が続く



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韓国 過酷な就職戦争 若者を覆う失望感

2017-03-29 07:15:00 | 報道/ニュース

3月7日 キャッチ!


韓国経済の低迷によって大きな影響を受けているのが韓国の若者たちである。
若者の失業率は去年9,8%となっていて
2000年以降で最悪の数字となっている。

2月下旬に行われた国立ソウル大学の卒業式。
韓国中からエリートが集まるこの大学でもいまだ就職先が決まらない卒業生が数多くいる。
(卒業生)
「まだ何も決まていません。
 卒業することに意味があります。」
「就職が決まっていないので頑張って探さないと。」
大卒の2人に1人しか就職できないとされる韓国。
公務員試験や様々な資格取得のための塾が並ぶソウルのノリャンジン地区には
就職を目指す若者が集まってくる。
別名「就職浪人街」と呼ばれている。
この町で多く見かけるのが
「コシュウォン(考試院)」と言われる受験生のための簡易宿泊施設である。
2畳ほどの広さにベッドと机のみ。
イ・スンヨプさん(29)は2年前からここで暮らしている。
地方の大学を卒業し
5年にわたって公務員試験を受け続けているがいまだ合格していない。
景気が低迷し企業が採用を控えるなか
公務員の人気はうなぎのぼりで競争率は100倍にもなると言われている。
(イ・スンヨプさん)
「今年もだめだったら親に申し訳ないです。
 友達やいとこにも合わせる顔がありません。
 あまりにも長い間勉強しているので会いたくないのです。」
大学卒業後 親からの仕送りは一切受け取っていないイさん。
コシュウォンの部屋代は掃除などを手伝う代わりに免除してもらっている。
さらに食事付きのアルバイトを掛け持ちし
生活費を切り詰めながら暮らしている。
アルバイトを終え部屋に戻るのは夜9時ごろ。
空いた時間は全て勉強に充てている。
(イ・スンヨプさん)
「無味乾燥に働いて勉強して寝る。
 その繰り返しです。
 これ以上年をとって行くところがなくなるのが本当に怖いです。
 今が人生を決めるときですが将来を考えると恐ろしいです。」
若者たちが集うインターネットのサイトで頻繁に使われるようになったのが
「ヘル朝鮮=地獄の朝鮮」という言葉である。
身分制度があった朝鮮の時代を思わせる
韓国の過酷な格差社会を象徴している。
これ以上こんな国に住みたくない
移民がうらやましい
韓国での就職をあきらめ
海外に活路を求める若者も増えている。
オーストラリアやニュージーランドへの移住やワーキングホリデイの相談にのる会社。
ここを訪れたパク・サラさんは海外での就職先を探している。
「最終目的は移住を考えています。」
パク・サラさんは地方の大学でアニメーションを学んだが
正社員の仕事は見つからず非正規雇用の仕事を続けてきた。
そんなときに起きた政治スキャンダルで韓国社会に深い失望を抱いたという。
(パク・サラさん)
「社会的地位や経済的な豊かさで待遇が違う不平等を強く感じます。
 それで海外への移住を考えるようになりました。」
「韓国が嫌いで」と題された本は若者たちの人気を呼びベストセラーとなっている。
主人公は名門大学を出た20代半ばの女性。
コネも資格もない自分には韓国では生きられないと
オーストラリアへ渡ることを決意する。
作者のチャン・ガンミョンさんは多くの若者たちへ取材を重ねて小説を書いたと話す。
(「韓国が嫌いで」著者 チャン・ガンミョンさん)
「財閥の子どもが違法な特典をもらうとか
 大学にコネで入るという事例を見て
 韓国での暮らしがつらく
 これからも良くならないという挫折感が広がっていると思いました。」
韓国社会のひずみを自らの手で変えようと
政治に参加する若者たちもいる。
3月5日に開かれた「われわれの未来党」立党大会。
5,500人いる党員の平均年齢は27歳。
韓国で最も若い政党である。
(「われわれの未来党」 ウ・インチョル代表)
「準備はできました。
 われわれの未来党と共に政権交代・時代交代・未来交代を宣言しましょう!
 われわれはやるぞ!」
大会の司会を務めたカン・ナウルさん(28)。
大学を卒業後 社会福祉士として貧しい人たちの支援を行ってきた。
仕事を通じ社会の不平等を目の当たりにしてきたカンさんが政治の道を歩むきっかけとなったのが
パク・クネ大統領の事件だった。
(「われわれの未来党」 カン・ナウルさん)
「既存の政治勢力は権力争いばかりに夢中です。
 国民のための政治は誰がするのかと今回の事件で思いました。」
カンさんは週に1度ネットの生放送番組で
同世代の若者と共に党の政策を考える活動を行っている。
「より良い社会のため耐えている皆さんのため放送します。」
(「われわれの未来党」 カン・ナウルさん)
「事件がきっかけで世論が盛り上がったのはかえって良かったと思います。
 普通の人たちが社会を変えていく時代だと思います。」

韓国では正社員の非正規雇用の賃金格差が日本以上に大きく倍以上になっている。
特に15~24歳までの若い世代を見ると
非正規雇用の割合が急速に高まっていて半数近くになっている。
財閥企業への就職には
親が資産家であったりコネがあったりすることなどが有利に働くケースが多いため
生まれながらにして自分の人生や一生が決まってしまうという悲観論が広がっている。
親の資産や収入により
「金のスプーン 銀のスプーン 土・泥のスプーン」といった階級を現す言葉も生まれている。
こうしたなかで
パク・クネ大統領の友人であるチェ・スンシルの娘が
名門大学に裏口入学をしたという容疑が持ち上がって
格差に苦しむ若者に火をつけた。
「未来党」に参加している若者の多くが非正規の労働者であったり学生たちである。
広がる格差に不満を感じながらも
これまで政治に関わってこなかった人たちがほとんどである。
「われわれの未来党」の政策に掲げているのは格差の是正である。
・最低賃金を現在の1,5倍に引き上げること
・大学の学費を無料にすること
・育児休業を3年に延長すること
彼らは今年の大統領選挙にも候補者を立てたいとしている。
こうした若者の力が
「ヘル朝鮮」と呼ばれるようになった韓国をこれから幸せな国にしていけるかどうか関心がある。


 

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選手が絶賛!合宿で大人気ホテルの秘密

2017-03-28 07:15:00 | 報道/ニュース

3月4日 おはよう日本


宮崎市にあるリゾートホテル「シーガイア」。
大学の入学式や大規模なイベントの会場としても知られている。
ここには通常ホテルにはあまりいない
あることを担当する人たちがいる。
スポーツ合宿の受け入れを担当するスペシャリストである。
食事や練習環境について選手の要望を聞き最適な環境をつくる。
アスリートにとって大切な食事。
チームの要望をもとに作ったレシピは数千件にのぼり
全てパソコンで管理している。
チームの栄養士の要望を受け
ホテルのシェフへとつないで実現したメニューがある。
宮崎名物のチキン南蛮。
本来は衣をつけて油で揚げるが
高いカロリーを控えたいとの要望で調理方法を変えソテーにした。
ホテルの横にあるグラウンド。
毎年2月にJリーグのチームがキャンプを行っている。
サッカー担当の後藤博文さん。
今年のキャンプではJリーグの3チームを担当した。
チームの監督やマネージャーから選手のコンディションなどを聞いて
食事のメニューを打ち合わせるほか
時には選手たちの相談にものる。
サッカーで欠かせないのが練習を行うピッチの芝である。
選手にとって快適な芝を作るノウハウはグラウンドとは別の場所にある。
ホテルの中にあるゴルフ場。
日本で唯一ゴルフのナショナルトレーニングセンターに指定されている。
ゴルフ場で培た芝生を均一に刈りそろえる技術がサッカーグラウンドの芝にも生かされている。
サッカーグラウンドの芝の長さは長めの25ミリ。
チームの要望に合わせてキャンプ開始前にこの長さに調整した。
(芝生の管理担当者)
「ここに来たら
 ピッチは間違いない
 グラウンドは間違いないと言われるようにしていきたい。」
(横浜F・マリノス 中町公祐選手)
「選手目線でピッチコンディションをしてくれている。
 毎回来るたびに最高の環境とつくづく感じますね。」
一昨年のワールドカップで快進撃を見せたラグビー日本代表。
ここで直前まで合宿を行っていた。
ラグビーも担当している後藤さん。
選手の疲れた筋肉を冷やすのに欠かせないのが氷である。
選手たちは練習後に大量の氷を投入した風呂に入る。
1回に必要な氷は200キロ。
ホテル内にあるレストランを回って集めた分だけでは足りなくなり
選手用に専用の製氷機を新たに導入した。
(シーガイア 後藤博文さん)
「スムーズに受け渡しができるので新しく設置しました。
 私が現場回りしても“氷泥棒”とは言われなくなった。」
勝利につながる合宿にしてもらいたい。
選手に支持される理由は担当者のち密な仕事ににあるのかもしれない。



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貧困から抜け出したい 中国 労働者たちの今

2017-03-27 12:00:00 | 報道/ニュース

3月4日 おはよう日本


中国国内には
年収が日本円で4万円ほどの貧困層が4,300万人余いるとされている。
貧しい人々がさらに苦しい生活を強いられる貧困の固定化が新たな問題となっている。

中国南部の広東省。
工場が集中し多くの労働者が集まる。
ショッピングモールの駐車場で開かれている就職説明会では
その場で面接を受けることができる。
集まっているのは貧しい農村部から来た出稼ぎ労働者である。
「どんな仕事でもいいので
 収入を安定させたいです。」
いま中国にはこうした出稼ぎ労働者が約2億8,000万人いるとされている。
出稼ぎ労働者が夢見る豊かな暮らしを手に入れた人がいる。
楊華さん(37)。
15年前に東北部の黒竜江省からやって来た。
日系の金属加工メーカーで働く楊さん。
運転手として働き始めたが
勤勉さが評価され
工場のナンバー3にまでなった。
収入は大幅に増え
念願の自家用車とマンションを購入。
離れて暮らしていた家族も呼び寄せた。
5歳の息子には自分よりもさらに良い生活をさせたいと
教育に力を入れている。
(楊華さん)
「仕事を頑張ってもっと大きな家に引っ越すのが目標です。」
しかしこうして成功できる労働者は多くない。
貧しさから抜け出すどころか
より貧しい生活を強いられる出稼ぎ労働者が増えている。
胡名国さん(41)。
早くに父親を亡くし
中学校を卒業したのち紡績加工メーカーで働いた。
しかしその6年後にじん肺を発症。
働くことができなくなった。
(胡名国さん)
「きつい仕事をすると呼吸が困難になります。」
マスクをつけるなどの安全対策がとられていなかったため
紡績を削るときに出る粉じんを大量に吸い込んだことが原因ではないかと考えている。
当時の同僚にも同じ症状が出ていて
すでに亡くなった人も多いという。
いま一番の気がかりは離れて暮らす家族である。
胡さんの代わりに働く妻の収入は少なく
中学生の息子を高校へ進学させる余裕はない。
(胡名国さん)
「息子も社会の最底辺での生活を続けることになります。」
「心配をかけたくない」と胡さんは今も息子に病気のことを伝えていない。
(胡名国さん)
「子どもには父親が必要なのに申し訳ない。」
工場からは一時的な保証金しか支払われず
貯金はわずか3万円。
医療費がかさみ底をつきかけている。
世代を超えて貧困が固定化する状況から労働者たちを救おうと
活動している人がいる。
弁護士の段毅さん(57)。
(弁護士 段毅さん)
「ここでは100件ほどの訴訟を扱っています。」
ここ数年労働者からの相談が相次いでいるという。
(労働者)
「会社の方針に反対したら昇進も昇給も無くなりました。
 嫌がらせや圧力ばかりです。」
「労働者側に加担している」と段さんには政府から圧力がかけられている。
外国へ行くことは許されず
弁護士資格の更新もなかなか認められない。
かつて30人いた弁護士仲間は10人にまで減った。
(弁護士 段毅さん) 
「私たちの仕事は社会の底辺で生きる人たちを助けることです。
 どのような圧力を受けても
 その目標は変わりません。」
貧困の連鎖を断ち切りたい。
労働者たちの切なる願いである。



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“おもしろスイーツ”で笑顔を

2017-03-26 07:15:00 | 報道/ニュース

3月3日 おはよう日本


埼玉県の北西部にある本庄市で
味も見た目も楽しめるユニークな食べ物が話題となっている。

(客)
「なんちゃってラーメンひとつと
 なんちゃっておみそ汁をひとつ。」
ケーキの隣に並んだラーメンやみそ汁は全てお菓子である。
“なんちゃってシリーズ”という名前で売られている。
埼玉県本庄市で120年続く老舗のお菓子屋。
梅月堂4代目 飯野博通さん。
味はもちろん見た目でも客の心をつかみたいと
“なんちゃってシリーズ”を5年前から作っている。
シリーズの1番人気は月に250個は売れるという“なんちゃってラーメン”。
麺は栗でできたクリーム 
スープは紅茶ゼリーである。
(飯野博通さん)
「とにかく人を驚かそうかなと。
 自分も楽しみながら
 人々にお菓子を通して笑ってもらえれば。」
“なんちゃってみそ汁”を初めて買った岩井啓恵さん。
娘の反応が楽しみである。
このみそ汁は杏仁豆腐やキャラメルムースなどでできている。
飯野さんは新たなスイーツを開発しようとしていた。
(飯野博通さん)
「今年の新作は“なんちゃってソースカツ丼”です。」
テーマは懐かしの味。
モチやきなこなど
昔からなじみのある食材でつくる。
カツは揚げたモチを黒糖蜜に漬け込んで
かりんとうのような味わいとソースの色合いを引き出した。
ごはんの代わりは駄菓子屋でおなじみだったコーン菓子である。
カツを2切れ乗せて出来上がり。
「おいしかったです。
 ちょっとモチが食べづらい。」
発売直前にわかった課題。
夜まで工夫を重ねた。
シリーズに新しく加わった“ソースカツ丼”。
カツは小さいサイズにし食べやすくした。
以前に“なんちゃってみそ汁”を1つだけ買った岩井さん。
この日は娘と訪れた。
5種類買って家族みんなで食べることにした。
(飯野博通さん)
「驚きでみなさん笑顔が出る。
 そんな笑顔がぼくのモチベーションにつながった。
 さらにお客さんに楽しんでもらえるようなものを今後も考えたい。」



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器量の証か 怠慢の証か

2017-03-25 07:15:00 | 編集手帳

 

3月22日 編集手帳

 

 戦闘のさなかも双眼鏡をのぞかなかったという。
日露戦争で日本海海戦を勝利に導いた作戦参謀、
秋山真之(さねゆき)である。
「はっきり見える代わりに視野が狭い。
 肉眼で大局を知れば十分」。
そう語ったと桜井真清編『秋山真之』にある。

この逸話が秋山に備わった器量の証しとして語られるのは、
ひとえに勝ちいくさだからである。
負けていれば、
大局観もへったくれもない。
双眼鏡を遠ざけたことは怠慢の証しに変わる。

石原慎太郎氏も「大局を知れば十分」の流儀か、
東京都知事の頃は週に2~3日しか登庁しないことで知られた人である。

「記憶にない」「担当者に一任した」。
築地市場の豊洲移転をめぐる都議会の百条委員会に証人として呼ばれ、
これまでの説明を繰り返した。
誰が責任を負っていたのか、
さっぱり分からない。
石原氏の場合、
双眼鏡をのぞかなかったことが器量の証しでないことは明らかだろう。

〈本日天気晴朗ナレドモ浪(なみ)高シ〉は、
連合艦隊の出撃時に秋山が起草した報告電報である。
「ナレドモ」を「ナラズシテ」に置き換えれば、
移転の行方に気をもむ市場関係者の心模様にちがいない。



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大相撲春場所

2017-03-24 07:15:00 | 編集手帳

3月21日 編集手帳

 

 身の丈七尺五寸というから、
優に2メートルを超えていたのだろう。
大空武左衛(おおぞらぶざえ)門(もん)は、
江戸時代屈指の巨漢力士と伝わる。
土俵入り専門で相撲はとらなかったが、
人気者とみえて、
名だたる絵師が描いている。

東京の相撲博物館で展示されている歌川国安の錦絵が興趣を誘う。
巨体を丸めて、
紙に手形を押す姿が楽しい。
実際の手形も残っていて、
魔よけになるという添書がある。
江戸の人々は、
邪気を払う願いを込めて、
力士の手形を求めたらしい。

大相撲春場所が沸いている。
17年ぶりにそろった4横綱の一角こそ休場で崩れたが、
新横綱の稀勢の里が踏ん張りをみせる。
取り口も、
雲竜型の土俵入りも力強く、
りりしい。

新入幕の宇良も土俵をにぎわせている。
小兵ながら逃げない姿勢が好もしい。
横綱も新鋭も役どころを得て、
観戦していたら、
事件つづきでふさいだ心がやわらぐ。
大空ならずとも力士はやはり、
邪気を払う存在なのかもしれない。

〈春場所の勝者の背なの色白な〉(水沼三郎)。
さて、
千秋楽に勝者の背中をみせるのは誰だろう。
おそらく列島の南から花便りも届いていよう。
爛漫(らんまん)の春が近い。



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ベトナム進出 日本企業の現場

2017-03-23 07:15:00 | 報道/ニュース

3月2日 国際報道2017


ベトナムと日本が国交を樹立してから40年余。
いま両国の関係は経済を中心に急速に深まっている。
ここ10年 7%前後の経済成長を続けているベトナム。
日本企業の進出も加速している。
現地の日本商工会に登録している日本企業はこの10年で3倍に急増。
1,600社余に達している。
その数はASEANの中で最も多いタイに迫る勢いである。
この背景には
ベトナムは政情不安が続くタイに比べて政治が安定していること。
そして人件費が高騰している中国よりも安く若い人材が雇えることなどがあり
新たな生産拠点として期待されている。

ベトナム最大の都市ホーチミン。
この町にユニークなホテルが登場した。
ホーチミンの中心部に去年オープンしたホテル。
日本人ビジネスマンに疲れを癒してもらおうと屋上には露天風呂がある。
いまベトナムでは増加する日本人ビジネスマンをターゲットに
こうした宿泊施設が次々と出来ている。
化粧品や食品メーカーなど
ベトナムに進出する日本企業は1,600社余。
毎年約100社が新たに進出している。
アパレル資材メーカー。
取引先の大手縫製メーカーが次々とベトナムに進出するなか
製品をより早く納品できるよう一昨年進出し
現地での生産を始めた。
ベトナムの最大の魅力は人材だという。
人口約9,300万の半数近くが30歳以下と
若い人材が豊富に確保できる。
この会社では2つの工場を稼働させているが
今後さらに拡大する予定である。
(アパレル資材メーカー 江澤幸将さん)
「ベトナムの人材は勤勉でまじめな印象をすごく受けます。
 非常に細かい仕事をしてくれているという印象です。」
日本企業のベトナム進出をさらに後押ししているのが
日本で働いた経験を持つ人材の多さである。
ホーチミン郊外にある部品加工メーカー。
日本の中小企業3社が出資して設立した。
出資した日本企業が現地の社長に選んだのは
かつて日本で技能実習生として学んだベトナム人のレ・バン・ティエンさん(32)。
(親会社社長 柿沼正博さん)
「彼は我々と同じような考え方を持っていますから
 すごくすばらしいと思います。
 レ・バン・ティエン社長を信頼してマネジメントをすべて任せています。」
社長に抜擢されたティエンさん。
ティエンさんは
2007年から3年間
技能実習生として群馬県太田市の金属加工の企業で働いた。
日本で働きながら学ぶ技能実習制度。
中国からの実習生が頭打ちとなる一方
ベトナムからの実習生は急増。
今後 中国を追い抜くと見られている。
90年代に制度が始まってから
日本で学んだベトナム人は合わせて10万人以上にのぼる。
日本とベトナムの両方の事情を知るティエンさんのような元実習生は
ベトナムに進出しようとする日本企業にとって大きな戦力になっている。
(レ・バン・ティエン社長)
「みなさん
 不良品があったときの対応こそ最も重要です。」
ティエンさんの会社は日本企業のやり方を取り入れ
設立から3年目で黒字を達成した。
今後はさらに事業を拡大しようとしている。
(部品加工メーカー ティエン社長)
「3年間で機械加工はもちろん
 日本人の考え方やり方を勉強しました。
 日本人のやり方をベトナムでやりたいと思います。」
一方 ベトナム側が日本に期待をかけているのが介護の分野である。
ベトナム北部にある看護大学。
今年1月に新たに日本語のコースを新設した。
去年日本で法律が改正され
ベトナムからの介護人材の派遣が本格化すると見込んでいる。
(学生)
「ベトナムを発展させるため
 日本に行って理解を深めたいです。」
大阪から介護施設の代表が視察に訪れた。
求人を出してもほとんど応募がなく
深刻化する人材不足を解消するにはベトナムの若い労働力を借りるしかないと考えている。
(介護施設代表 中尾俊平さん)
「介護の技術や知識はこれからだと思います。
 日本に来て
 自分の力を介護の世界で生かしたいと思ってくれる気持ちはすごく感じたので
 早く日本に来ていただきたいというイメージがすごく持てました。」
大学では
今後日本から講師を招き
食事の解除や着替えの手伝いなど介護についても本格的に教える予定である。
(看護大学 副学長)
「日本で働きたいというニーズはとても高いです。」
高齢化が進む日本と
若い人材が豊富なベトナム。
新たな分野で連携が進み始めている。


 

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ボルダリングの“聖地”へ 若者たちの挑戦

2017-03-22 07:15:00 | 報道/ニュース

3月2日 おはよう日本


2020年の東京オリンピックに採用されたスポーツクライミングの種目の1つ「ボルダリング」。
競技は人口の壁で行われるが
屋外で自然の岩を登るのも人気である。
自然の中でのボルダリングを町の活気につなげようという若者たちの取り組みが三重県で始まった。

切り立った岩壁を力強く登っていく男性たち。
松本翔平さんも地元の岩場でボルダリングを楽しむ。
(松本翔平さん)
「力任せでいくわけじゃなくていろんな正解があったりして
 できないと思っていたことができたりする。
 その達成感とか面白い。」
三重県南部の熊野市紀和町。
かつて鉱山の町として栄え
山にはボルダリングに絶好の岩場も密集している。
松本さんたちのグループは
ボルダリングを楽しめる町として地元を売り出せないか考えるようになった。
足りないのは知名度。
私有地を借り受けて企画したのが体験イベントを開催することだった。
しかしイベントで使う岩場は町の中心部から約3キロ離れた山の中腹である。
手つかずの草木が広がる斜面を少しずつ整え
岩場につながる山道を作る必要があった。
(松本翔平さん)
「もっと道幅が狭くて足の引っ掛かりもほとんどない状況。
 難所の1つでした。
 落ちると崖ですからね。
 ステップを組んだり石を積んだりして
 安全にあがれるように。」
松本さんたちの活動に立ちふさがったのがいわば近くに伸びる木々である。
伐採用の道具や技術もなく計画は一時暗礁に乗り上げた。
そこで協力を依頼したのが町づくりに取り組む地元の先輩たち。
当初は松本さんの取り組みに驚きを感じたという。
(入鹿地区まちづくり協議会 中浦誠会長)
「岩に登って遊ぶこと自体
 ちょっと僕らにはないことだったので。
 それがにぎわいに変わっていくのであればうれしいことだなって。」
伐採を行う日。
約10人が協力してくれた。
岩場を取り囲んでいた木が次々に切り倒されていく。
整備にかけたのは実に7年。
ついに40余の岩が連なるボルダリングのエリアが完成した。
そして体験イベントの当日
SNSなどで呼びかけた結果
全国から予想を超える130人余りが集まった。
(参加者)
「岩がめちゃくちゃでかいって聞いたんで
 それをちょっと楽しみに。」
(松本翔平さん)
「集まっていただきましたね。
 感動ですね。」
苦労して整備した山道は参加した人たちにも好評である。
(参加者)
「歩きやすいです。
 段差もないし。」
そしていよいよ岩場に到着。
さっそくボルダリングが始まる。
(参加者)
「楽しいです。
 楽しいです ここ。」
日本代表などトップ選手からの反応も上々だった。
(ボルダリング日本代表 渡部桂太さん)
「ダントツでかっこいい山です。
 かなり特徴のある岩場だと思いますし
 本当に貴重な場所だと思うので
 どんどん人に来てもらいたい。」
(松本翔平さん)
「大成功
 いまのところ。
 クライミングが名物の町みたいになっていけたらいい。」
若者たちが生み出した新たな町のシンボル。
“ボルダリングの聖地”と呼ばれる日を目指し
松本さんたちの挑戦は続く。



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台湾「228事件」政権交代で真相究明は

2017-03-21 07:15:00 | 報道/ニュース

3月1日 国際報道2017


台湾で起きた228事件。
戦後
日本による統治時代が終わった2年後の1947年
中国大陸から渡ってきた国民党政権が
多くの住民を武力で弾圧した事件である。
発生から70年。
多くの犠牲者を出したこの事件については
長い間口にすることがタブーとされ
国民党政権のもとでは事件の真相究明は進まなかった。
去年5月
政権が民進党に交代し
事件の調査が進むのか注目されている。

台北で行われた228事件の犠牲者を追悼する式典。
民進党の蔡英文総統が初めて出席した。
(台湾 蔡英文総統)
「台湾のあらゆる政党が善良な人間性をもって
 苦難の過去に共に向き合えるよう願います。」
式典に参加した李栄昌さん(84)。
李さんの父 瑞漢さんも228事件で命を奪われた1人である。
中国大陸から渡って来た国民党政権への住民の不満が
抗議行動に発展した228事件。
デモは台湾全土に拡大し
国民党政権はこれを武力で弾圧。
18,000~28,000人が犠牲になったとされている。
日本統治時代に日本の大学で学び弁護士になった瑞漢さん。
ある日 自宅で夕食を食べているときに憲兵に連行され
そのまま行方がわからなくなった。
ついていこうとした李さんを制したのは最後に聞いた言葉になった。
(李栄昌さん)
「『昌ちゃん帰れ』が父が私に言った最後の言葉でした。
 その場面はずっと忘れないと思います。
 どうやって亡くなったのか真相が明らかにならず
 当局も相手にしてくれません。
 真相を知りたい。
 どんなにつらくても真相を知りたいです。」
台湾ではその後38年間にわたって戒厳令がしかれ
事件の存在は封印された。
さらに遺族は事件にかかわったことが世間に知られると
犯罪者のように見られ差別を受けた。
楊振隆さん(65)も遺族の1人。
教師だった叔父を事件で亡くした。
「事件の真相究明とともに加害者の責任を明確にするべきだ」と訴えてきた。
(楊振隆さん)
「事件に対して責任を追う加害者が誰一人としていないとは
 とても遺憾。
 たくさんの犠牲者がいて加害者は全くいないのです。」
そんななか去年政権交代が実現し
民進党が政権を握った。
蔡総統は
当時の国民党の不正を正し
事件の真相を解明する方針である。
初めて追悼式典に出席した蔡総統は
法律に基づく独立の機関を設け事件を詳しく調査する考えを表明した。
(台湾 蔡英文総統)
「真相が明らかにならなければ
 いつまでたっても過去の出来事にならない。
 228事件の責任の所在について慎重に解決する。」
演説を聞いた遺族の李さんも
事件を後世に伝えていこうと決意を新たにした。
(李栄昌さん)
「光がいま見えました。
 過ちを認めれば我々は許します。
 ただこの事件を忘れることは出来ません。
 消し去ってはいけません。」
70年が経ついまも台湾社会に暗い影を落とす228事件。
遺族の期待に応えられるのか
蔡政権にとって重い課題となっている。

 

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フランス大統領選挙展望

2017-03-20 07:15:00 | 報道/ニュース

3月1日 キャッチ!


フランス大統領選挙の選挙戦が本格化するなか
最新の世論調査では
ルペン氏 (国民戦線) 26,0%
マクロン氏(無所属)  24,5%
フィヨン氏(共和党)   20,0%
アモン氏 (社会党)  13,5%
このままルペン氏がさらに支持を広げるのか。
それともマクロン氏が巻き返しを図るのか。
フランスだけでなく
EUヨーロッパ連合の将来に大きな影響を与えるだけに
選挙戦終盤に向けての両陣営の動きに注目が集まっている。

2月13日
国民戦線のルペン党首はフランス南部を訪問。
まず向かったのはニースのテロ現場だった。
去年7月
チュニジア人の男が大型トラックを暴走させ
花火見物を楽しんでいた人たちに突っ込んだテロ事件。
多くの子どもを含む86人が死亡した。
ルペン氏は選挙公約で
「どのような罪でも外国人の犯罪者は国外追放にする」と主張。
「自分が大統領になればこうした事件は未然に防げる」というのである。
(国民戦線 ルペン党首)
「罪を犯した外国人にフランスでの居場所はありません。
 イスラム過激派と一緒にいて逮捕された彼のような人間の居場所は無いのです。」
リシャール・ガリノーさん(71)。
市場で妻とともに雑貨を販売している。
前回の選挙ではオランド大統領に投票したものの
生活が改善しないばかりか
自分が住む町でテロ事件まで起き
政府に失望したという。
今回はルペン氏に投票することを決めた。
(リシャール・ガリノーさん)
「今こそ外国人の犯罪者を排除する試みが必要です。」
ルペン氏がこの地域でもう1つアピールしておきたかったのが
国境管理の強化である。
イタリアとの国境地帯。
フランスの国境警察がイタリア側から入ってくる車両を1台ずつ厳しく検問している。
今年1月からの2か月間で
地中海を渡ってイタリアにたどり着いた移民などは1万人余。
ルペン氏は
「イタリアから密入国の疑いで摘発されたケースは
 去年の同じ時期と比べて2倍に増えている」と指摘。
中にはテロリストが紛れ込んでいる恐れがあると強調した。
(国民戦線 ルペン党首)
「国境の厳重な管理は
 イスラム原理主義者との戦いにおいて必要不可欠です。」
若者の間でもこうしたルペン候補の主張に共鳴する人たちが増えている。
ニースで生まれ育った大学1年のファビオ・ディフランコさん(19)もその1人である。
ディフランコさんは去年7月
友人と3人でニースのテロ事件に遭遇した。
逃げ惑う人々の恐怖に覆われた表情を忘れることができないという。
(大学生 ディフランコさん)
「あの夜
 恐怖で顔を引きつらせる人々の姿が衝撃的だった。」
フランスで相次ぐテロ事件で
治安への不安を募らせていたディフランコさん。
極右政党にかかわることにためらいもあったが
自らの経験を機にルペン氏の主張に賛同し
2月に両親に告げぬまま
若手でつくる「国民戦線ユース」に入った。
(大学生 ディフランコさん)
「家のドアを開けっぱなしにすれば
 誰でも勝手に入り込んできますよ。」
国民戦線ユースに加わる人たちはニースやその周辺で急増しているということで
組織ではルペン氏の勝利に自信を見せている。
一方
支持率でルペン氏を追う中道の無所属マクロン前経済相は
2月18日南部のトゥーロンに乗り込んだ。
2年前の地方選挙で国民戦線が40%を超す得票を記録した牙城である。
ルペン氏とは逆に
EU寄りの立場を明確にするとともに
極右政党の主張は国民の分断を招くだけだと批判する。
(無所属(中道) マクロン氏)
「皆さんの近くには国民戦線がいます。
 何が起きているのか考えてください!
 この政党は嫌悪感や恐怖心といった感情に訴えているのです。」
マクロン陣営運動員エミリー・ゲレンさん(23)。
名門パリ政治学院の分校で学んでいる。
去年の暮
ゲレンさんたちはこの地域でマクロン氏を支持する若者組織を設立した。
国民戦線の主張がいかに排他的で危険なのかを説得して回っている。
(マクロン陣営運動員 ゲレンさん)
「世界はいま民主主義の危機にあります。
 フランスもアメリカもそうです。
 マクロン氏は国を1つにまとめ
 市民に力を与えようとしています。」
既存の政党が低迷する中
極右政党と無所属の候補が激しく争う異例の展開を見せるフランス大統領選挙。
若者の間でも選挙戦は激しさを増している。

フランスの大統領選挙は2回投票制である。
1回目で過半数の票を得た候補が無ければ上位2人の決選投票になる。
ルペン氏は決選投票に残るのは確実視されている。
ここで誰がルペン氏を争うのかが注目だが
やはりマクロン氏が有力である。
同じ中道路線で約5%と一定の支持を得ているバイル氏が
極右政党の台頭に危機感をあらわして
立候補を取りやめ
マクロン氏の支持に回った。
「決選投票ではマクロン氏が60%前後を獲得してルペン氏を逆転する」
という見方が大方の予想である。
しかしこれまで
中道右派や左派の予備選挙で世論調査がことごとくはずれ
ふたを開けてみれば本命が次々と脱落していったのも事実である。
大統領に最も近いと言われた最大野党共和党のフィヨン元首相が
家族の不正給与受給疑惑で失速したのも予想外の展開である。
何が起きてもおかしくない。
(パリ政治学院 グロスマン教授)
「無所属で後ろ盾のないマクロン氏が大統領候補になったのは予想外でした。
 あまりにサプライズが多すぎて
 今後2か月の予想はとても出来ません。
 マクロン氏が勝利するかどうかも慎重に見極めなければなりません。」
フィヨン氏は潔白を主張して選挙戦から撤退するつもりはない。
しかし2月の世論調査では約7割が「フィヨン氏は辞退すべき」と答えている。
2月初めのフランス北部の集会では
演説途中で一部の市民が突然「どろぼう!」などと叫んで会場が一時騒然となった。
陣営幹部は
「ミスター・クリーンとまで言われ清廉潔白を売りにしてきただけにダメージは大きい」
と率直に語っていた。
捜査は今後
フィヨン氏の妻などが公金横領の罪などで起訴されるかどうかが焦点である。
一方でヨーロッパ議会議員を務めるルペン氏に対しても
スタッフの架空雇用疑惑で
捜査当局が2月に国民戦線の党本部を捜索するなど捜査を本格化させている。
ルペン氏は
「選挙戦を妨害するための埠頭操作だ」と反発している。
ただフィヨン氏とは対照的に
支持率の低下にはつながっていないのが興味深いところである。
オランダ自由党のウィルダースとルペン氏は
自国第一主義を掲げるアメリカのトランプ大統領に続けとばかりに気勢をあげていた。
反EUや反イスラムを掲げるオランダの自由党が躍進すれば
ルペン氏がその結果を利用しさらに勢いづくことは間違いない。
3月にはイギリスがEUを離脱する見通しである。
25日には
EUの法的基盤であり統合の象徴ともいえる「ローマ条約」の調印からちょうど60年を迎え
EU各国の首脳がローマであらためて結束を確認し合う。
ヨーロッパが
「統合を結束」という理念を守ることができるのか。
逆に
保護主義や排他主義・EU離脱といった遠心力が加速するのか。
ヨーロッパ市民の選択が注目される。




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中国 国産品で個人消費の拡大を

2017-03-19 13:15:00 | 報道/ニュース

2月28日 キャッチ!


ここ数年
減速が続いている中国経済。
去年の成長率は6,7%で
今後さらに減速するという見方が強い。
中国政府が景気のエンジン役として期待するのが個人消費である。

国営テレビで視聴率の高い時間帯に流れるCM。
各業界の大手中国企業を“国家ブランド”と位置付けることが目的である。
中国ではいま品質の良い国産の製品や農産物のブランド力を高め
「爆買い」として海外に流れる消費を国内に呼び戻そうとしている。
その一端を垣間見るイベントが商務省主催で行われた。
イベントの主役は“飯炊き仙人”の異名を持つ村嶋孟さん。
大阪堺市の食堂で50年以上美味しいご飯を焚き続け
評判はネットを通じて中国でも浸透している。
その村嶋さんを監修役として
国産の米のブランド化を進めようというのである。
村嶋さんは専門家と協力して中国東北部をまわり
成分が日本の高級米に近いコメを厳選。
村嶋さんが炊いて味や食感が良かった4種類のお米を
“銀シャリブランド”に認定した。
(認定された農家)
「うれしいです。
 これで暮らしも良くなります。」
団体では3月から大都市に順次試食できる店を開くとともに
認定したコメの物流システムも整備する計画である。
(商務省 担当者)
「社会が発展し
 ブランドへの期待も高まるなかで
 この取り組みが必要とされているのです。」
一方 先端産業の分野では
政府が市場を作り出すことで消費を促し
ものづくりの高度化を推し進める動きもある。
その1つが電気自動車である。
(北京新熊源自動車)
「今後は毎年新型電気自動車を発表します。」
技術で先行する日系や欧米系のメーカーに対し
中国政府は国産車のシェアが大きい電気自動車の需要拡大を通じ
中国メーカーの産業競争力を高めたいという考えである。
電気自動車の購入に最大約70万円の補助金を出しているほか
地元当局も交通規制の際の優遇措置を実施している。
去年 国産の電気自動車を買った北京に住む辺遜博さん。
外資系ブランドのガソリン車をすでに持っていたが
大気汚染によって市内中心部への乗り入れが時折規制されるため
2台目として電気自動車が必要になったのである。
(辺遜博さん)
「電気自動車は便利で規制もなく
 コストも安く済みます。」
去年中国で販売された電気自動車は40万台。
政府は2020年には電気自動車などのエコカーを年間200万台以上販売する計画。
自動車販売全体での国産シェア拡大を目指している。
小売りの分野では
高くても良い商品を求める消費者の増加に対応して
売り上げの拡大につなげる企業も出てきた。
四川省成都の日系スーパー。
近年 高品質の生鮮食料品の取り扱いを増やしている。
値段は通常の2倍以上だが
質への信頼が功を奏してこの地区の7店舗での売り上げは伸びている。
(来店客)
「子どもには安全なものをあげたい。」
「値段は少々高いけど信用できます。」
安心・安全の要となっているのは専門の買い付け部隊である。
高品質にこだわる農家を中国全土で開拓している。
担当者は産地へ赴き
商品の安全性や品質を自ら確認。
「雑草は全て人の手で抜きます。」
「農薬は?」
「使わないから値が張るのです。」
有機野菜を手掛けるこの農業法人は
スーパー側の求めに応じて土壌や育て方の改良を重ね
この3年で売り上げが2倍に増えた。
(農業法人 幹部)
「野菜の種類は多くても高品質のものはわずかです。
 我々はこの分野で先頭を走ります。」
(イトーヨーカ堂 中国総代表 三枝富博さん)
「本物やこだわりを消費者自身がわかってきている。
 変化に対してどう対応力を磨くかがチャンスを作ることではないかと思う。」

都市部を中心に消費者の間で
質の高い物やサービスを求める動きは間違いなく強まっている。
特に90年代生まれの一人っ子世代は
自分の欲しいものにはお金をかける傾向が強いと言われている。
所得の向上で海外に出掛ける人が年々増え
旅先で出会ったお気に入りの商品を国内でも買いたいというニーズも高まっている。
いわば目の肥えた消費者が育つ中で
国内企業の間でも
より付加価値の高いこだわりの商品を売り出そうという動きが広がっていて
その象徴として国産品のブランド化を目指している。
中国では
去年の小売り売上高が約540兆円で
中国経済における個人消費の役割は年々大きくなっている。
それでもGDP全体に占める消費の割合は
アメリカや日本に比べるとまだ小さいのが現状である。
こうしたなか個人消費が主導する経済への移行に向けて
習近平指導部は2020年までに
1人あたりの所得を10年前から倍増する方針を掲げている。
国産商品のブランド化も所得が増えて暮らしに余裕がある中間層の消費を促すものである。
ただ中国全体ではいまだに偽物や模倣品が横行し
消費者が中国で流通する商品を信用しきれないという課題もあり
なお前途多難と言えそうである。



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法理よりも世論を重んじるか

2017-03-18 11:15:00 | 編集手帳

3月14日 編集手帳

 

 松山から上京した正岡子規は大学予備門(旧制一高の前身)を受験した。
英文和訳で意味の分からぬ単語があり、
隣の受験生に尋ねると、
「ホーカン」だという。
子規は「幇間(ほうかん)」(=たいこもち)と訳したが、
「法官」の間違いだった。

〈非常な大滑稽であった〉と
、『墨汁一滴』で回想している。
もしも法官が幇間よろしく、
誰かのご機嫌を取ったなら、
大滑稽どころか“大憂鬱(ゆううつ)”である。

法理よりも世論を重んじた決定と見る専門家が少なくない。
韓国の憲法裁判所が宣告した朴槿恵(パククネ)大統領の罷免である。
進んで身の潔白を証し立てようとしない朴氏に非があるのは当然として、
罷免という決定の重みに見合うだけの審理が尽くされたかどうか。

司法の独立とは、
政府や議会など政治権力からの独立であると同時に、
デモなど大衆的圧力からの独立でもある。
移ろいやすい国民感情に司法がおもねるようなら、
国家の歩みは風まかせ、
この先も混迷はつづく。
ほくそ笑むのは北朝鮮だけだろう。

〈昔見し面影もあらず衰へて鏡の人のほろほろと泣く〉。
子規晩年の歌が、
いつか韓国の自画像にならないことを祈る。

 

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日本の緑茶をアフリカのケニアで

2017-03-17 07:15:00 | 報道/ニュース

2月27日 国際報道2017


ケニアの大地を静岡茶の関係者が訪れたのは去年の末。
実はケニアは紅茶の生産が盛んで
輸出量は世界一を誇る。
もともと同じ茶葉から作られる緑茶と紅茶。
蒸して揉み
乾燥させたのが緑茶で
蒸さずに発酵させると紅茶になる。
ケニアの紅茶の市場価格が100gで平均30円なのに対して
静岡の緑茶は100gで2,000以上の高値がつくことも。
しかも近年
日本の緑茶の輸出額は右肩上がりに増加。
2016年は過去最高を記録する人気ぶりである。
そこで生産の一部を緑茶にシフトできないかという
ケニア側からの相談が
静岡県の刈り取り機メーカー 和田充広さんに舞い込んだのである。
(刈り取り機メーカー 和田充広さん)
「緑茶ブーム・抹茶ブームに乗って
 より付加価値の高いもの
 より値段のつくお茶に動き始めている。」
しかし課題も。
茶は茶葉そのものの出来だけでなく
加工の技術が品質に大きく影響するが
そもそもケニアには充分な加工機械が無いのである。
茶葉を全て粉砕し
発酵させるというような
簡単な方法でしか加工できていなかった。
そこで和田さんは
一度に大量の茶葉を刈り取れる“乗用型の刈り取り機”や
茶葉の品種や状態に合わせて細かい設定の可能な“蒸し”の機械
茶葉を大きさごとに分別して乾燥させることができる“仕上げ”の機械など
優れた機械が静岡にはあることを伝え
一連の工程をすべて静岡の機械で行うことをケニア側に提案している。
(刈り取り機メーカー 和田充広さん)
「茶業界は世界各国幅広いので
 私たちの取り組みがアピールで着て
 我々の機会も多く出てほしいですし
 日本の緑茶ももっと海外の方に知っていただきたい。」


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