12月15日 NHK海外ネットワーク
チェックのスカートに黒白で統一された上着。
(生徒)
「制服が好き。
スカートがかわいいしネクタイもよく似合っているでしょう。」
ニューヨークブロンクス地区の公立高校は今年9月に制服を導入した。
二つに絞られたデザインから生徒たちが投票し圧倒的な人気で選ばれた。
可愛いネクタイとモダンなデザインが人気の理由、
以前は何を着ていけばいいか毎朝悩んでいたという生徒たちは
その煩わしさから解放された。
(生徒)
「私服だとベルトやコートがどうだとか
くだらないことでけんかになることがあったから
親は制服に賛成している。」
「親も毎年クローゼットがいっぱいの洋服を買わないとならないと困っていた。」
アメリカでは大都市を中心に制服を採用する公立学校が急増している。
ある洋服店では子どもたちの制服を初めて扱ったのは20年余前。
今では制服が主力商品である。
制服の取扱店として契約を結んだ学校は幼稚園から高校まで合わせると
ここ数年は毎年100校のペースで増えている。
(制服の担当者)
「今はニューヨーク周辺に1,000校以上の学校と契約している。
私服販売は苦戦しているが制服はわが社の成長分野。」
これまでほとんど私服だったアメリカの公立学校。
そのアメリカで制服を導入する議論が初めて持ち上がったのは
1990年代に入ってからである。
生徒が高校に着てきた高級ジャケットをめぐって
複数の殺人事件が起きたことがきっかけだった。
(1996年 当時のクリントン大統領)
「有名デザイナーのジャケットをめぐって子どもたちが犯す殺人帽子ができるなら
公立高校でも制服の着用を呼びかけるべきだ。」
しかし当時制服はすぐには普及しなかった。
個人の精神を重んじるアメリカの精神に反するという意見が多く出たためである。
なぜいま制服なのか。
それは不況の影響で
お金のかかる私服よりも制服を望む家庭が増えているためだとみられている。
ニュージャージー州に住むシェリー・ワトソンさんは
小学校の教師をしながら2人の子どもを育てている。
5歳のレアちゃんとローレンちゃんの双子の娘は地元の公立幼稚園に通っている。
少し値の張る人気キャラクターの洋服も買うときはお揃い。
幼稚園に着ていく洋服代だけで毎年6~7万円の支出があり
大きな負担になっていた。
このためシェリーさんは半分以下の費用ですむ制服の導入を希望するようになった。
(シェリー・ワトソンさん)
「今はクーポン券を使って割引で服を買っているが
制服なら同じものを何回も着られるから経済的。」
そんな時幼稚園側から
秋の新学期から制服を導入してはどうか
という願ってもない提案が持ち上がった。
ほとんどの親が賛成した。
(保護者)
「制服は最高のアイデア。
そんなに高くもないし。」
「最新の服を買う余裕がない子は馬鹿にされることがある。
かっこいい服を着ていないがためにいじめられるのは悲しいこと。」
シェリーさんは早速子どもたちを連れて制服を買いに出かけた。
女の子はスカート、パンツ、スモックの中から好きなものを選ぶことができる。
色もベージュか濃紺を選べる。
この秋から始まった新学期に
子どもたちはそれぞれお気に入りの制服を身にまとい満足した様子である。
(シェリー・ワトソンさん)
「制服は子どもたちの立場を平等にすると思う。
それにお金を節約して貯金ができるようになるかもしれない。」
制服導入の理由は経済的な事情だけではない。
制服にすることで生徒たちが学業に集中しやすい環境を作り出せる。
校内暴力を減らし
学校コの規律の維持につなげたいというねらいもある。
(学校関係者)
「制服を導入してから学校の雰囲気が大変良くなった。
暴力が減り成績が向上した。
今後も制服を続けていきたい。」
12月28日 BIZプラス
スカイツリーの真下にある商業施設で
墨田区と地元の観光協会が運営する店に並ぶのはスカイツリーを模した様々な土産物。
中でも客の目を引いているのがトイレットペーパー。
紙には長いスカイツリーの絵。
豆知識も書かれている。
(客)
「面白いです。
座ってトイレで使うときに読める。」
商品開発のきっかけは地元の中学生による土産物のアイデアコンテストで
69の候補の中から投票でナンバー1となったのがトイレットペーパーだった。
(すみだまち処 永野昌志館長)
「商品化に踏み切ったのですが
私どもも作るメーカーもちょっとどうかなというのはありました。
ちょっと不安でした。」
しかし販売を始めるとネットなどで評判が広がり
1日300個売れるヒット商品となった。
経済効果は周辺地域でも大きい。
スカイツリーの開業にあわせ墨田区が今年開設した路線バスは
どの区間も100円という安さもあって
観光ついでに街歩きをする人が増えている。
巡回するルートは下町情緒たっぷり。
今回バス停がつくられたキラキラ橘商店街は訪れる客は去年の3倍以上に増えたという。
(店主 寺口雪乃さん)
「私たちの売り上げもアップアップしたらうれしい。」
地元の客が主だったレストランも連日満席。
(店主 片山幸弘さん)
「非常に助かっています、
うれしい。」
バスの効果はこれまで地元の人しか訪れなかった田丸神社にも。
(墨田区産業観光部 郡司剛英課長)
「トイレットペーパーもそうですが地域初のものがどんどん生まれてくる。
そういったものをつなぎ合わせて地域の活性化に結び付けていきたい。」
12月27日 Bizプラス
格安航空会社3社が就航してから初めての年末年始となる。
大手航空会社とLCCの12月21日~1月6日までの予約状況は
LCCは60%を超えていて大手航空会社に比べて高い。
エアバスA320の操縦席を再現した訓練装置があるのは
国内初の旅客機のパイロットを養成するための専門会社
パンダ・フライト・アカデミー。
深刻化しているパイロット不足を補うため全日空が開設。
先月 国土交通省から認可を受けた。
自前の設備を持たないLCCなどに装置を貸し出している。
解説の背景にあるのはLCCが今年相次いで就航したことである。
3月にピーチ・アビエーション
7月にジェットスター・ジャパン
8月にエアアジア・ジャパンが就航した。
3社では現在 合わせて16機を運用しているが
2015年には50機以上に増やす計画である。
(エアアジアグループ トニー・フェルナンデスCEO)
「パイロットはもちろん整備士の確保にも力を入れている。」
こうした中で問題となっているのが世界的なパイロット不足である。
この会社ではピーチ・アビエーションなど4社が訓練を受けている。
大手航空会社OBや転職したベテランが中心。
パイロットは機種ごとに免許を取得する必要があり
今はLCCに多く使われる機種の訓練を受けている。
(ピーチ・アビエーション 山田敏男機長(60))
「今パイロット不足ということで健康面でOKなら65歳まで飛べる。
65歳まで飛ぼうかなと思っている。」
この会社では来年以降 中国やタイなどの航空会社からも訓練生を受け入れる。
(全日空アジア戦略室 河合巌室長)
「飛行機1機につき10名位のパイロットが必要になる。
中国やアジアの方々が
シュミレーター(訓練装置)を使いたい
我々の中で訓練を受けたい
というニーズはこれからさらに高まってくる。」
これからさらにパイロット争奪戦が激しくなる。
米の航空機メーカーのボーイングが
各航空会社の航空機の数から必要なパイロットの人数を試算した。
2013年までに新たに必要となる民間機のパイロットは46万人。
このうち18万2,300人が日本を含むアジア・太平洋地域で全体の40%。
とりわけ中国・インドなど新興国でのパイロット不足が深刻になると予想されている。
12月26日 Bizプラス
千葉県袖ケ浦に接岸しているロシアからのLNG船は
全長290m。
ボールのようなタンクには合わせて14万5,000㎥のLNGが入っている。
輸入価格で約42億円分である。
東京ガス袖ケ浦工場の世界最大級のLNG輸入基地に運ばれてくる量は
震災前に比べて増えた。
今は2日に1回の頻度でマレーシアやオーストラリアからもLNGが運ばれてくる。
船が接岸するとLNGを施設に移すためのパイプが取り付けられる。
(東京ガス製造部 小林祐司マネージャー)
「LNGがマイナス160度と非常に冷たいので
空気が入ると水分が氷になってしまい配管が詰まったりすることがある。
水分が入らないように空気が入らないようにしている。」
日本は今 17か国からLNGを輸入しておりこの船の船長の行き先も増えている。
(商船三井 上野昇船長)
「インドネシア オーストラリア サハリン
エジプト 西アフリカから運んだことがある。
かなりバリエーションに富んできている。」
船を運航する海運会社はLNG船を今の67隻から
2020年には100隻まで増やす計画である。
(商船三井 橋本剛常務)
「アメリカのシュールガス オーストライらやタンザニアなど
新しいガスのプロジェクトの開発によって供給量が増えている。
こういう大きなビジネスチャンスを逃すことはできない。
機敏に動いて勝機をつかみたい。」
日本のLNG輸入量は2011年は7,853万トン
2012年は11月までで7,961万トン
2013年も8,000万トンを上回る水準が続くとみられる。
注目されるのがアメリカのシェールガスの輸出。
アメリカは日本など自由貿易協定を結んでいない国への天然ガス輸出を制限している。
しかしエネルギー省は
輸出すればアメリカ経済にとってプラスになる
という報告書をまとめた。
自由貿易協定を結んでいない国への輸出を計画しているのは15のプロジェクトで
このうち日本の企業が関係しているのは
コーフポイント(住友商事・東京ガス)
キャメロン(三菱商事・三井物産)
フリーポート(大阪ガス・中部電力)
の3件である。
エネルギー省は来年2月まで一般から意見を聞いて方針を決めるが
輸出の計画についてはケース・バイ・ケースで審査するとしている。
アメリカと日本の天然ガスの価格の差は3倍。
日本ははるかに高くアメリカの割安さは魅力である。
アメリカのエネルギー会社も積極的で
輸出を増やし価格を押し上げたいという思惑もあるが反発もある。
天然ガスを大量に使う製造業の中には
輸出で価格が押し上げられアメリカの競争力を損なうと主張するところもある。
環境保護団体もシェールガスの採掘で地下水が汚染されると反発している。
様々な課題はあるが
アメリカから少量でも割安なLNGを輸入できれば
ほかの国との価格交渉が有利になると期待されていて
少しでも安くLNGを手に入れる努力が今後も求められる。
12月8日 NHK海外ネットワーク
ある意外な素材を使った自転車が日本の自転車愛好家を魅了している。
人気の秘密はおしゃれな見た目と乗り心地の良さ。
「びっくりするほど軽い。」
「すてきですごいファッショナブル。」
自転車好きのイベントでお披露目された自転車は
フレームが竹。
普通の自転車では飽き足らない人たちの間で話題となっている。
「竹のフレームが力を吸収してくれるので乗りやすい。
乗っててとても楽。」
この竹自転車を作ったのはアフリカ南部ザンビアの自転車メーカー。
開発から3年。
日本での販売にたどり着くまでにはいくつもの苦労があった。
竹自転車の製造を手掛けるムウェワ・チカンバさん(44)。
この回会社を設立したのは4年前。
長年中古車ディーラーをしていたが完成品を輸入するだけではなく
自分たちでものづくりをしたい
と考えた。
ザンビアは2003年以降 5%を超える経済成長を続けている。
しかしその実態は銅やコバルトなど地下資源頼みで産業の育成は進んでいない。
(自転車メーカー社長 ムウェワ・チカンバさん)
「私たちの国は長年 原材料を輸出し完成品は輸入してきた。
これからは自分たちd完成品を作り世界に輸出すべきだと思った。
この竹自転車こそ手作りの国産品。」
仕事にあぶれた若者10人を集めてチカンバさんの挑戦が始まった。
最初は普通の自転車を組み立てることから始まった。
屋外での作業。
倉庫代わりの狭いコンテナからの出発。
みんなで知恵を絞って作った乗り物がヒット商品になった。
ホロをかぶせたカートを自転車でけん引する救急車である。
資金不足で本物の救急車を買えない病院が多いザンビアで急速に広まった。
(病院のスタッフ)
「患者を病院まで運ぶ手段は他にないのでよく使っている。
地域の人たちも喜んでいる。」
海外への輸出を目指していたチカンバさんが次に目をつけたのは地元の竹。
竹のフレームで作った自転車がアメリカで商品化され高値で売られていると聞いた。
(チカンバさん)
「見た目が美しくアフリカには竹が豊富にある。
これで自転車をつくることは斬新で面白いと感じた。」
ザンビアの竹は肉厚なのに軽くしかも丈夫で自転車のフレームにうってつけだった。
独特の竹の模様もデザインに生かせることもわかった。
(竹自転車の製造責任者)
「これもこれも自転車に最適です。
この美しいラインがいい。」
竹は十分に乾燥させ切り分ける。
つなぎ目には切れ込みを入れ樹脂に浸した麻のひもを何重にも巻きつける。
(竹自転車の製造責任者)
「きつく巻いて隙間をなくすと乾いたとき丈夫になる。
ただ上手く巻かないと自転車が壊れてしまう。」
樹脂が固まったら6種類の紙やすりで丁寧に拭く。
仕上げに防水加工。
竹を切りだしてから完成まで3か月の工程である。
念願の輸出に乗り出し
アメリカ ドイツ オランダと輸出先を拡大していった。
しかしなかなか輸出に至らない国がひとつだけあった。
日本。
日本の販売店はどの国よりも高い品質を要求し
わずかなゆがみや汚れでも容赦なく返品してきたのである。
(竹自転車の製造責任者)
「日本人が何を求めているのか分からなかった。
それを理解するのはとても難しいことだった。」
日本がっわが求める品質を知るため日本から自転車の専門家を呼び寄せた。
アドバイスされたのは
“仕上げを精密に行うこと”。
仕上がりを確認する項目を増やし新たにチェックシートを作成。
フレームとギアとの距離はミリ単位で計測することにした。
ペダルの回転の微妙なブレも可能な限りなくすようにした。
基準を満たすまで細かい調整を繰り返した。
それまでは塗り残しなど多少のばらつきは見過ごしていたふきつけも
完璧を期すようになった。
(竹自転車の製造責任者)
「あきらめなかった。
日本人の求める水準にたどり着きたかった。
彼らが求める仕事ができるまで努力を続けた。」
努力が実り今では日本各地の12店舗で販売されるようになった。
会社の看板に書かれた言葉
“自転車をつくだけではない 人生をも変える”。
自らの手で作り上げる“メイド・イン・ザンビア”への誇りを込めた言葉である。
(自転車メーカー社長 ムウェワ・チカンバさん)
「従業員たちがここで十分なお金を稼ぎ
自立していく姿を見ることが私の喜び。
竹自転車をもっと世界中に広めていきたい。」
12月22日 NHK海外ネットワーク
ブリュッセルを代表する観光地グランプラスは
中世ヨーロッパの建物がそのまま残っていてユネスコの世界遺産に登録されている。
フランスの作家ビクトル・ユーゴーは
最も美しい広場
と呼び世界中から観光客が集まってくる。
グランプラスは毎年時期になると
モミの木に電飾を施したクリスマスツリーが飾られ彩りを添えてきた。
ところが今年は例年と違ったツリーが登場し市民の間で大きな議論となっている。
グランプラス周辺ではこの時期は食べ物やツリーの飾りつけを売る店が立ち並び
華やかな雰囲気に包まれる。
(ブリュッセル ティルマン市長)
「冬の祭典の始まりです。
素晴らしいですよ。」
今年のクリスマスツリーは鉄製のやぐらを組みあわせてつくられ
LED発光ダイオードが多数取り付けられている。
中世に建築された市庁舎もツリーに合わせライトアップ。
ツリーはフランス人の芸術家が考えた。
光と音楽のショーを楽しんでもらおうというねらいである。
「発想が違う。
自分の家に置く楢木のツリーがいいけど近代的なのも悪くない。」
しかし多くの市民からは伝統的な景観を台無しにしてしまうと批判の声が上がっている。
「ブリュッセルに本物のツリーを返せ!」
「あれはまるでや薬局の看板 ツリーではない。」
特に昼間は工事現場のようだと批判が殺到。
抗議の意味を込めて小型のクリスマスツリーを置く人たちも出てきた。
“このモミの木は抗議だ!”
“我々に本物のツリーを!”
「ツリーは人の心を温かくする。
これにはそんなところがまったくない。」
ブリュッセルに住むオリビエ・バンビールデヘンさんは
失業していて家族でツリーを見に行くことを心待ちにしていたが
今年はとても見に行く気がしないという。
伝統のモミの木のツリーに戻してほしいとインターネットで署名活動を始めた。
ホームページには25,000超の署名が集まっている。
(オリビエさん)
「生活が苦しい私にとってツリーは規模いうの象徴。
その象徴に手をつけないでください。」
これに対しツリーを企画した市長は
伝統と現代を組み合わせた“新たな芸術”と主張している。
(ブリュッセル ティルマン市長)
「ピカソやマティスの作品を見ればわかると思うが
新しい芸術はこれまでとは違ったやり方で生まれてくるもの。」
中世ヨーロッパの伝統的景観の中で繰り広げられる光のショー。
市民は複雑な思いでクリスマスを迎える。
12月21日 Bizプラス
東京電力が電気料金を値上げした中で
東京都は公共施設の電気代を減らそうと新たな契約を結ぶことになった。
(東京都 猪瀬知事)
「これで新電力の参入機会をつくるモデルになる。
そしてユーザー側もこの契約によって電力側に払う費用を下げることができる。」
電力は通常1つの施設に対して1つの会社から供給されるもの。
これに対して今回の新しい契約は1つの施設に対して2つの会社が供給する。
これを部分供給と呼んでいる。
契約の対象となるのは都立の中央図書館。
1日の消費電力量のうち東京電力が24時間一定の電力を供給して全体の約6%。
新規の事業者は電力使用の多い昼間を供給していて全体の90%以上供給する。
東京都は従来よりも電気代を10%程度安くできるとしている。
部分供給の契約を結んだ新規事業者は
企業の自家発電の余剰分を買い上げていて
設備の維持費・人権費を安く抑えられ電気を安く提供できる。
今のところ全国では取り上げられていない。
法律上 家庭の電気は契約先を選べないためこのシステムは一般家庭ではできない。
電力会社の夜間の電気料金は昼間よりも安くなっている。
これに対し新規事業者は電源の構成上
夜間の電気料金を下げられないため
契約するケースは難しい。
今回の部分供給は
夜間の電力供給という新規事業者にとって弱い部分を
大手の電力会社がカバーしてくれるため新規の参入がでてくる。
これから全国で電気料金を値上げする動きが出てくるなかで
電気料金を少しでも安く買いたい企業は増えてくる。
東京都の取り組みをきっかけに
今後 新しい契約を導入する動きが広がることが予想される。
12月20日 Bizプラス
エコカー補助金終了で国内の新車販売は減少しているが
軽自動車は比較的好調な販売を維持していて
最近では新車販売の4割近くを占めている。
メーカー各社がアピールしているのが安全性である。
20日 ダイハツ工業が発表した軽自動車。
(ダイハツ工業 伊奈功一社長)
「当社の考え得る車づくりのすべてを盛り込んだ車。」
衝突回避システムの装備である。
レーダーを使って前の車との距離を測り衝突の危険が迫ると自動的にブレーキがかかる。
交通事故の調査機関によると
人身事故の60%は不注意による時速30キロ以下の追突事故だということである。
これまで衝突回避装置は価格の高い車が中心で
軽自動車への導入は初めてである。
新たな機能が加わっても値上げはしたくないため
部品の一部を海外から購入するなど調達コストを削減した。
さらにシートなどほかの車種と部品を共通化することで
これまでのモデルと価格が大きく変わらないようにした。
(ダイハツ工業 伊奈功一社長)
「生活の足として低燃費 低コストを実現した上に
走りも安全もいい車として技術を磨くのが
我々の今の使命。」
一方 軽自動車シェア3位のホンダ。
11月に発表した新たな軽自動は工場でのフル生産が続いている。
安全対策をアピールしているのは急停車することをいち早く表示する機能。
走行中にドライバーが急ブレーキをかけたと車が判断すると
ブレーキランプの点灯に加えてハザードランプが高速で点滅する。
安全面でも独自の機能を盛り込んだ新型車を投入することが
先行するダイハツやスズキに追い付くために欠かせないと言う。
(ホンダ 伊東孝紳社長)
「安全性を保持しながら小さな車体へのパッケージ効率を高めていく。
ホンダの軽はおもしろい。
確固たる軽の地位を築きたい。」
堅調な売れ行きを背景に国内の市場で存在感を増している軽自動車。
新たな付加価値で消費者の関心をさらに高めよう
というメーカーの取り組みが加速している。
12月19日 Biz plus
日本の貿易収支はながらく黒字だったが
去年は31年ぶりに赤字に転落。
今年も貿易赤字になる見通しである。
1月から11月の貿易赤字は合わせて6兆円を超えていて
2兆円余だった去年を大きく上回る。
先月のLNG液化天然ガスの輸入額は前年の同じ月に比べ少し減ったが
今年の1月~11月は5兆4千億余で
すでに去年1年間の輸入金額を上回っている。
そして貿易赤字の要因として浮かび上がってきたのが通信機の輸入急増。
通信機の先月の輸入の80%近くが中国からの輸入だった。
そのほとんどがアメリカのアップルが中国の工場に生産を委託したiPhone。
その結果スマートフォンなど通信機の輸入額は2012年1月~11月で
1兆9,841億円。
貿易赤字6兆円の中でかなり大きな額である。
貿易赤字の新たな要因になっている。
スマートフォンは急速に普及しているため
今後輸入がさらに増えることが考えられるが
国際的な分業体制がすすむなかで
スマホに搭載される電子部品や加工に必要な産業用の機械は
日本から主に中国に輸出されている。
国内ではスマホが売れているだけではなく
スマホを使った商品やサービスの開発が盛んに行われている。
スマホの輸入の増加をビジネスの拡大につなげて
富の流出ばかりではない状況をどう作り上げていくのか
そうした戦略がいま問われている。
12月18日 Bizプラス
今や数兆円にのぼるネット通販市場。
国内最大規模の楽天とアメリカのアマゾンが激しい競争を展開している。
千葉県市川市にある楽天の物流センターは
図書館のような大きな倉庫に商品がずらりと並ぶ。
書籍やDVD、日用品や食品まで楽天のネット通販は
もともと注文を受けた全国の企業がそれぞれ品物を発送する仕組みだった。
しかしより素早く商品を届けるため
楽天は自前の倉庫にあらかじめ商品を預かり
注文と同時に発送する仕組みに改めようとしている。
その背景にあるのが最大のライバルアマゾンの存在である。
アマゾンは12年前に日本の市場に参入して以来
次々と物流拠点を整備。
大都市圏を中心に早ければその日のうちに配達する当日配送。
送料無料を打ち出し売り上げを伸ばしてきた。
(アマゾンジャパン ジャスパー・チャン社長)
「どの国でも客は低価格な品ぞろえと迅速な配達を求めている。
その実現のために我々は努力している。」
一方の楽天は今後 首都圏や関西に新たな物流拠点をつくることを決めている。
そのため先月 最先端の技術を持つフランスの物流専門会社の買収を決めた。
この会社の持つオートメーションの技術を取り入れて
さらに物流のスピードアップをはかろうとしている。
(フランスの物流会社 エリック・デュボアールさん)
「より速く届けられるよう常に改善を続けることが重要。」
さらに楽天はアマゾンが販売しない生鮮食品も扱うことにした。
野菜や牛乳などの専用の倉庫を新たにかまえ
書籍や日用品などと一緒に届けようとしている。
(楽天 武田和徳常務)
「混載して届けられるようになれば当然コストは下がってくる。
そういった意味でも客に還元できる。
より充実したサービスに向けて拡大していく。」
配達のスピードや品ぞろえなど次々と拡充を目指すネット通販。
今後も多様化する消費者のニーズに応えるため様々な変革が必要である。
12月19日 NHKおはよう日本
インターネットで検索をしても情報が多すぎて困った時に便利だと注目されているのが
“まとめサイト”。
企業の公式サイトや一般の人たちが書き込んだツイッターやブログ
こういったネット上に散らばった成功をテーマごとに人が選んで提供されている。
18日夜 東京都内で開かれたまとめサイトのコンテストの表彰式。
(主催者)
「コンテンツの種類がいろいろなソースから持ってきているのがウェブらしい。」
まとめサイトはここ最近利用者が大幅に増え
コンテストにも300件超の応募があった。
(利用者)
「時間短縮でき
今まで気づかなかった見たことがなかった情報に触れられて便利。」
「自分が知りたいものがカテゴライズされ一覧で出てくるので助かる。」
まとめサイトの最大の特徴はテーマごとに人が選んだ情報を見られること。
コンテストで優勝したウェブデザイナーの萩原加奈子さん。
ある日 萩原さんが注目したのは冬場においしい“おしるこ”。
(萩原加奈子さん)
「情報はいつも検索して口コミとおいしそうな画像を集めてきている。」
検索サイトで気に入った写真を選び
地図や店の特徴などコメントを加えてまとめていく。
約1時間後 それまで別々のサイトを見なければわからなかった情報が
一つのページで見られるようになった。
(萩原加奈子さん)
「楽しくまとめためたものを出すことで皆さんから反応がたくさん来る。
読んだ人たちが楽しくなってくれることにとてもやりがいを感じている。」
まとめサイトには萩原さんがまとめたような店の情報や料理のレシピ
最近の時事問題などがテーマごとに並んでいる。
ハンドクリームが使えるのは手だけじゃなかった
こたつのあるおしゃれ部屋をつくるコツ
収納のカリスマが実践している洋服・雑貨のしまいかた
学習能力を逆手にとるカラスの撃退法
1人暮らしはベッドと布団どっちがいいか
年賀状2013年のテンプレートに使えるサイト
まとめサイトを運営する会社はサイトに掲載する広告量で収入を得て
投稿者にはアクセス数に応じて報奨金を出している。
この会社のまとめサイトだけで利用者は約3,300万人にのぼっている。
(まとめサイト運営会社 島村武志さん)
「もっともっといろんな人が自分の目利きで情報を整理して伝え合うことで
人にしかわからない経験・体験・知識を知りたいと思う人に届けていきたい。」
こうしたまとめサイトは広がっている一方
著作権上の問題も指摘されている。
ウソの情報が投降されたりすることもあって削除などの対策が進められている。
12月17日 Bizプラス
“株高円安”は続くのか
強気派
(カブドットコム証券 山田勉投資情報部長)
「安倍氏が訴えてきた
超金融緩和や公共投資のリアリティが高まったということで
好感して円安・株高に動いた。
政権が変わるのでマーケットも何かしら変わるんじゃないか
という期待感が広がっている印象がある。
投資家がマーケットに戻ってくれば活況になると思う。」
慎重派
(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 藤戸則弘投資情報部長)
「ここまで株を買って円を売ったのはいわゆる外国人投資家のヘッジファンド。
彼らが逆転し始めると
日本人は基本的には株売りというスタンスだから
今度は“買い”が不在になってしまう。
ヘッジファンド相場はスポーツに例えると100m走。
ウサイン・ボルトのようなものすごい力を出すが
ウサイン・ボルトはマラソンは走れない。
実体経済はどちらかというとマラソン。
マラソンに耐えるだけの持久力が持てるかどうかが最大のポイント。」
日銀は一段の金融緩和に踏み切るのか
仮に踏み切ったとしても日本経済がデフレ脱却を果たせるのか
強気派
(カブドットコム証券 山田勉投資情報部長)
「次元が違う。
今までと何が違うかというと
足元の15年デフレ 失われた20年
なぜそうなったかということの反省と挽回をしようとしている。
75円78円が当たり前の状態で受け入れ続けてきたのが
今回は円安方向にする姿勢がはっきり見える。
今までの金融緩和は欧米に比べて不十分だったというのは歴然。
均衡財政原理主義にとらわれて財政を出し渋ってきた。
構造改革で何とか成長しようと
中途半端な財政・成長戦略から真逆のことをやる
ということで今までとは次元の違う戦略であるといえるので期待したい。」
安倍総裁が大胆な金融緩和を行うといってきたが効果あるいは副作用は
慎重派
(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 藤戸則弘投資情報部長)
「今の為替相場は“期待”。
安倍総理が誕生してやってくれるだろうという期待。
これに多くの海外投資家が賭けていることで急騰してきた。
実際に政策に生かすということになると現実の壁に直面する。
金融政策を強調するのと同時に
日本の成長率を上げる具体的な政策に注力していかなければならない。
この部分を努力して
実体経済が拡大していくという部分がないと“砂上の楼閣”になるリスクがある。」
12月13日 Bizプラス
世界各地で開発が進む海洋資源。
ブラジル沖の油田開発プロジェクトで日本の大手機械メーカーなどが連携して
大型の海洋施設の受注を目指すことになった。
リオデジャネイロの沖では海底油田の開発が進んでいる。
連携して施設の受注を目指すのは
IHI、三菱重工業、川崎重工業、アイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッド、
三井造船など日本の大手機械の造船メーカー5社。
陸地から300キロ以上離れた沖合に建設されるのが
ロジスティックハブよばれる施設。
多くの作業員を滞在させ大量の資材を保管し油田開発の拠点となる。
IHIなどは早ければ今年度中に受注を目指すための新組織を発足させる方針である。
(IHI海洋・鉄構セクター 安部昭則セクター長)
「石油・LNGを含めた世界的なエネルギー需要の拡大
そこに大きな海洋の市場がある。」
ロジスティックハブはこれまでの油田に見られなかった新しい海洋施設。
ブラジル沖ではこれまで陸地から近いところで開発を行っていて
作業員はヘリコプターで行き来をしていた。
しかし今開発が進められている油田は沖合300キロ以上離れたところにあり
ヘリコプターではコストがかかるため
中継基地となるロジスティックハブを造り高速船で作業員を運送する方が効率的である。
高い波にも強く揺れが少ない施設が検討されている。
その上には滞在施設や作業員を油田まで運ぶヘリコプターの発着所が計画されている。
また陸地から作業員を運ぶ高速船も必要になるので
日本メーカーが持つ高い技術が活用できないか検討されている。
こうした取り組みの背景には
新興国を中心に世界的にエネルギー需要が高まり
海底の資源開発が加速していることがある。
海での石油生産量は今や全体の4割を占め大きな市場になっている。
しかし海洋開発に必要な施設の受注量は
韓国企業が39% 中国とシンガポールがそれぞれ14%を占めるのに対し
日本のシェアは今はわずか1%に過ぎない。
日本企業としては得意な技術を持ち寄って連携することで
成長が見込める市場で一気に巻き返したいという狙いがある。
メーカーのなかには日本独自の資源開発のきっかけになればと期待する声も聞かれる。
いま世界では西アフリカなど資源開発が沖合に広がるところが各地にある。
ブラジルで実績を積むことができれば
他にも日本の独自技術が売り込めるということが期待されている。
さらに排他的経済水域の広い日本周辺には様々な海底資源がある。
国土交通省では
海洋開発に必要な技術が蓄積できれば将来的にも国内の資源開発に役立つ
として連携の動きを支援していく方針である。
12月15日 NHK海外ネットワーク
ソウルの日本大使館の前は毎週水曜日になると集会が開かれている。
元従軍慰安婦の女性とその支持者たち。
一方で街の中では日韓双方の市民がごく自然に接している。
ソウル一の繁華街ミョンドンは日本人を始め大勢の観光客でにぎわっている。
「お互いに悪いところばかり見ようとするから
関係がさらに悪くなるんだと思います。」
「慰安婦問題は意見の差があるから頭が痛い問題ですね。
お互いに一歩ずつ譲ったらどうでしょう。
ふかんしてみれば違ったものが見えるのではないでしょうか。」
日本の食べ物やアニメも市民の生活の一部として定着している。
大阪日本社があるすしチェーン店は1年前にソウルに1号店をオープン。
常連客も増え来週には5号店が誕生する。
「安い割にはとてもおいしい。」
「日本の文化に興味があります。」
(すしチェーン店海外事業推進室長 小河博嗣さん)
「特に政治の問題が障害になると感じたことはありません。
若い人を中心に寿司は広がっていると感じています。」
15年続く日本と韓国の人たちの交流の場コミュニティ・カフェ。
毎日40人~50人が集まって
お互いの言葉を学びあったりゲームをしながら交流を深めている。
韓国を知りたいという日本人
そして日本をもっと知りたいという韓国人が
お互いに助け合っている。
竹島をめぐる議論も起きたということだが
日韓関係がぎくしゃくしてもここではこれまで通り交流が続いている。
(交流カフェ カケハシ マネージャー リ・チョンヨンさん)
「島の話が出ると困ります。
交流するために来ているのでそういう話はできるだけ避けています。
お互いの国が好きだから交流しているのです。」
(韓国人学生)
「日本人の友達がいたらよいと思ってよく来ています。
日本の大学院に行こうと頑張っています。」
政治面で悪化した関係を改善させたいというのが両候補に共通した姿勢である。
経済関係や民間交流を損なっては韓国のためにもならないと考えている。
ただ領土問題では絶対に譲れないし
歴史問題でも日本の前向きな対応を求めている。
どちらの候補が当選するにしても
国内の対日世論の動向を見極めながら
日本との関係構築を模索していくことになる。
東アジア情勢が大きく動いている中で韓国はどこに向かうのか。
日本にとっても他人事ではない。
日本にとっても隣国とどのような関係を築いていくのか
私たちも問われている。