11月24日 NHK海外ネットワーク
ヨーロッパで人気のクラシックカー。
1930年代に生産された超高級スポーツカーのメルセデスベンツ540Kは
4億円超。
大量生産の先駆けとなったT型フォード。
限られた人だけの世界と見られがちだがいま投資の対象として注目されている。
ドイツでは製造後30年以上経ちクラッシクカーと認定された車が30万台ある。
盛んに取引され市場規模はヨーロッパ一と言われている。
「長期的に考えるとクラシックカーへの投資は賢い選択です。」
「きちんとメンテナンスしていれば価値は下がらず逆に上がる。」
クラシックカーの取引価格を示した指数をみると平均で年6%上昇し10年余で2倍。
銀行に預金しても金利がほとんどつかない中で驚異的な伸びである。
(ディーラー)
「新しい客が増えている。
需要に供給が追い付いていない。
これからも価格は上がる。」
7年前に会社を定年退職して年金暮らしをしている
ヴェルナー・クレーヴィングハウスさんは奥さんとともに掘り出し物を探している。
自宅に3台のクラシックカーを保有している。
25年前に当時150万円で購入したベンツ280SL(1968年製)は
今は3倍の450万円の値段がつくと言う。
去年 趣味を兼ねた資産運用として老後の備えの貯金で新たに2台を購入した。
クラシックカーの相場を紹介した雑誌には
去年21,000ユーロ(210万円)で手に入れた1967年製のベンツの価格は
36,500ユーロ(370万円)。
大切にカバーをかけているのは
ポルシェファンの間でも人気の高いポルシェ911(1973年製)。
さびないように水洗いは厳禁である。
雨はもちろん曇りの日にも外には出さない。
もはや手に入れるのが難しい部品もあり自分で型抜や溶接をしてつくる。
定期的に走らせることも必要である。
手間がかかるがこれも楽しみのひとつ。
(クレーヴィングハウスさんの妻)
「このご時世で銀行に預けるメリットはありませんから。」
(クレーヴィングハウスさん)
「クラシックカーは私にとってまさに財産です。
でもいずれは売るんだろうな。」
人々に暮らしに密着した投資も登場した。
ドイツ南部で野菜作りをしている農家のフランツ・レンツさんは
最近事業を拡大して肉牛の飼育も始めた。
資金をまかなうため売りだしたのが牛債権である。
1口5万円で合計1千万円の出資を募った。
年利4%の利息が設定されているうえ
子牛が増えていけば7年後には元本返還のしくみ。
この債券はわずか1か月余で完売した。
(レンツさん)
「お客さんはこういう債権を待っていたんだとわかりました。
食べ物や農業に対する関心は高い。」
レンツさんの農場でとれた有機野菜などを販売する直営店。
債権の出資者は主にこの店の常連客である。
実は4%の利息は厳禁ではなく農場の野菜や果物などで支払われる。
債権を購入した常連客の1人アストリット・ロイトナーさんは
レンツさんが有機農家を始めてからずっとジャガイモを買ってきた。
レンツさんの経営なら堅実だとみている。
金融機関に勤めるロイトナーさんも金利の低い銀行に預金するより
目に見える事業への投資の方が安心できるという。
(ロイトナーさん)
「かなり頻繁に農場に牛を見に行っているんです。
楽しいんですよ この投資は。
銀行に預けても4%の利祖を得るのは難しいですから。」
レンツさんは集まった資金で牛が冬を過ごす小屋を建てている。
地域の人と一緒に事業を進めているという手ごたえを感じている。
(レンツさん)
「私にも地域の人にも利益が生まれます。
私にはお金だけでなく信頼が寄せられたことになるんです。
素晴らしいことだと思います。」
ドイツは牛の債権以外にも
ワイン、チョコレート はちみつ 卵など様々な債権が販売されている。