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獣(けだもの)以下の心をもった人間め!

2014-08-31 15:30:00 | 編集手帳

8月30日 編集手帳

 

人間嫌いで知られたドイツの哲学者、ショーペンハウアーは飼い犬のプードルを友とした。
〈アトマ〉(世界精神)という立派な名前を与えたが、
その犬に腹 を立てたときだけは〈人間め!〉と呼んだと、
『この哲学者を見よ』(中央公論新社)に挿話がある。

偏屈な哲学者ほどには人間が嫌いではないつもりだが、
犬よりもはるかに下等な心をもった人間がこの世にはたしかにいる。

さいたま市の男性が連れていた盲導犬が何者かに鋭利な物で刺された。
全盲の男性は変事に気 づくすべがない。
パートナーに危険を伝える際を除いては吠(ほ)えないよう訓練されている盲導犬は、
凶行に無言で耐えて黙々と導き役を務めたようである。

通勤の駅で時どき、
訓練中の盲導犬を見かける。
調教の人に伴われ、
ホームで電車の轟音(ごうおん)に慣れる練習をしている。
大切な仕事であるのは子供も知っているから、
大きな声を出したり、
悪ふざけを仕掛けたりはしない。
ほんの幼い子供でも、
である。

よく刺さるようにか、
盲導犬の服をめくり上げて肌をじかに刺したらしい。
どこにいる。
人間の姿をして、
獣(けだもの)以下の心をもった人間め!

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ちょっと浮世離れした人物を演じて、 余人の遠く及ばぬ芝居を見せてくれた人

2014-08-31 07:15:00 | 編集手帳

8月28日 編集手帳

 

知り合って間もない男女が、
喫茶店で会話を交わす。
男性が尋ねた。
「おいくつですか?」。
戸惑いつつ、
女性が答えた。
「26です」

「に、にじゅうろくッ!」。
男性が驚愕(きょうがく)した顔で叫んだ。
店内の目が一斉に二人に向く。
男性の手には砂糖をすくったスプーンが。
「あッ、二つ…」。
女性が消え入りそうな声で言った。

40年ほど前のテレビドラマで、
題名は記憶にない。
「26」もウロ憶(おぼ)えである。
北海道小樽市を舞台にした一話完結の物語で山田洋次さんの脚本だったこと、
男性を米倉斉加年(まさかね)さ んが演じたことは覚えている。

純粋で、
不器用で、
晴朗で、
ちょっと浮世離れした人物を演じて、
余人の遠く及ばぬ芝居を見せてくれた人である。
米倉さんが80歳で急逝した。
大河ドラマ『三姉妹』の中村半次郎。
同じく『勝海舟』の佐久間象山。
舞台『放浪記』の白坂五郎。
味のある役者がまた一人、
消えた。

はる か昔の、
コント風の一場面をもって偲(しの)ぶことが、
晩年はとくに深みのある演技で観客を魅了した人を悼むのに適当かどうかは知らない。
きのうは気がつくと何度か、
雪景色の小樽にある幻の喫茶店にいた。

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ミレーの『晩鐘』 懐かしい風景

2014-08-30 07:15:00 | 編集手帳

8月20日 編集手帳

 

「福分(ふくぶん)」という言葉がある。好運に同じ、
と辞書にはあるが、
すこし感触が違うらしい。
作家幸田文、
女優沢村貞子お二人の福分談議が岩波現代文庫『幸田文対話』にある。

沢村
〈私の母なんか、一升枡(ます)に一升五合は入らないよっていいました〉。
幸田
〈私の場合、九尺梯(ばし)子(ご)は 九尺だけっていわれましたよ〉。
一升なら一升の、
九尺なら九尺の、
授かった運に感謝して精いっぱい生きるのだが、
身の程を心得て背伸びはしない。
それが福分のようである。

福分の心に国境はないと、
その絵を眺めて思う。
ミレーの『晩鐘』である。

国立新美術館(東京・六本木)の『オルセー美術館展―印象派の誕 生』に展示されている。
収穫したジャガイモと農具の傍らで手を合わせる妻。
帽子を手にこうべを垂れる夫。
ささやかではあれ、
授かった福分をきょう一日まっとうできたことへの感謝だろう。
ひがみと愚痴でその日その日を締めくくることの多い身に、
その夕景はほろ苦い。

〈愛一つ胸に灯(ひ)と成し祈りゐる農婦ミレーの「晩鐘」仰ぐ〉(亀山桃子)。
訪れたこともない異国の風景なのに、
なぜだか妙に懐かしい絵である。

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米で注目!新たな資金調達方法 

2014-08-29 07:15:00 | 報道/ニュース

8月21日 キャッチ!


Croudo Funding クラウドファンディング
今年5月に日本でも成長戦略の一環として導入された。
アメリカで今最も注目されている資金調達の方法である。
主にインターネットを使って個人などに広くお金の提供を呼びかけて資金を集めることを言う。
今ではウェブサイトが次々と立ち上がり
この5年ほどで大きく成長している。
去年クラウドファンディングの調達累計は世界で5,000育円にのぼる。

7月 クラウドファンディングの大手キックスターターがニューヨークで主催した交流イベント。
クラウドファンディングで資金調達に成功したミュージシャンの演奏などを見るため数千人が集まった。
参加者の多くは実際に資金を出した人たちである。
(参加者)
「新たな挑戦を支援することは楽しいわ。」
「これからはベンチャー企業にも投資しようと思います。」
こうした資金によって事業を拡大さえた人も会場に居合わせた。
ブラジルの食材を使った健康に良いジュースを販売している女性は
クラウドファンディングによって1か月で約100人から500万円以上が集まったと言う。 
(飲料販売事業者)
「小さな会社は資金集めが難しくクラウドファンディングには助けられた。」
コネチカット州に住む個人投資家 ティム・ジョンストンさん。
ティムさんはクラウドファンディングで120以上の事業に投資してきた。
投資金額は約1,500ドル(15万円余)。
1ドルからでも投資できリスクを分散できるのがクラウドファンディングの特徴である。
最大の魅力は投資の見返りとして手に入れられる商品。
(ティムさん)
「新しいスマートウォッチです。」
この腕時計はティムさんたちのお金を元に商品化が実現し出資者に贈られてきたものである。
(個人投資家 ティムさん)
「クラウドファンディングへの投資で新商品を生み出す人と知り合えて
 彼らを支援できるのは喜びです。」
出資を受ける側も銀行との取引よりもクラウドファンディングの方に魅力を感じている。
ワインショップ経営者 クリス・ズカウスキーさんは
今年春に事業を拡大するときに銀行ではなくクラウドファンディングから融資を受けた。
資金調達の手軽さに驚いたためである。
パソコン画面に個人情報と希望する融資額を入力。
そして借入期間を入れる。
するとひと月当たりの返済額が瞬時に示される。
日本円にして約1000万円余の融資を申し込んだクリスさんは
利息は10%余と銀行よりは割高だがすぐに利用することを決めた。
(ワインショップ経営者 クリスさん)
「銀行ならこう簡単には行きませんよ。
 提出する書類はとても複雑で審査に長い時間がかかります。」
クラウドファンディングが普及する背景にはアメリカのFRB連邦準備制度理事会の政策もある。
長期化する金融緩和でアメリカの長期金利は2%前半にまで低下。
資金を運用して稼ぐ投資家にとっては金利で収入を上げることが難しくなっているからである。
クラウドファンディングはそうした投資家の受け皿にもなっている。
クリスさんのワインショップへの融資を仲介をした企業は今急成長を遂げている。
従業員は16人だが融資累計は約540億円にのぼる。
(従業員)
「貸しても借りても増えて順調に成長していますよ。」
この会社を通じて個人や中小企業に融資すれば約10%~21%の利息が収入になる。
このためプロの投資家からの融資も急速に増えていると言う。
(ファンディング・サークル サム・ホッジス創業者)
「高い利回りを求める投資家と資金が必要な中小企業を仲介します。
 ITや優秀な人材にさらに投資をして来年は事業を2,3倍に拡大したいです。」

資金調達の新たな可能性を感じさせてくれるものだが
急成長に伴って詐欺などの被害が広がるのではないかという懸念も関係者から指摘されている。
(企業セミナー主催 A・フェルドマンさん)
「再開の課題は詐欺です。
 投資家は常に金の持ち逃げに不安を抱いています。
 資金がどう使われているのか透明性を高めることが重要です。」
明らかな詐欺行為はまだほとんど報告されていないが詐欺に近いグレーゾーンが数多くある。
ある商品を開発するためにお金を集めたものの
実際には商品化するためにもっと資金が必要だったことがわかり約束した商品を渡せなかったと言う事例がある。
これについては怒った投資家がその企業を脅迫したことも話題になった。
このため資金がどのように使われているかを公開して丁寧に説明するなど透明性を高めることが必要である。
クラウドファンディングで融資を受けている人は銀行に融資を渋られている人も多く
景気が良い今は返済できても金融危機のようなことが再び起きれば融資の焦げ付きが増える恐れがある。
サブプライムローンと同じような危うさがあることは否定できない。
現状では規制はなくどの政府機関が所管するかさえ決まっていない。
中には貸し付けに50%以上に利息を取っている企業もあり 
何らかの規制を設けるべきだという議論はアメリカで出てきている。
ただクラウドファンディングの市場はまだ5,000億円程度で金融市場全体から見ればごく一部に過ぎない。
新たに起業する人の役に立っていることは間違いないので
ビジネスチャンスをつぶさないためにも行き過ぎた規制をするべきではないという意見も出ている。
融資をするタイプのクラウドファンディングの最大手の企業は年内に上場するという観測も出ている。
世界銀行は去年 クラウドファンディングの市場が2025年には今の20倍の9兆円規模にまで拡大するという見通しを出している。
ただアメリカを含めこうした動きに対するルール作りは追いついていない。
大きな可能性を秘めているだけに無理な貸し付けなどにつながらないよう 
アメリカ当局の今後の動きに注目したい。

 

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急増する日本への中国人観光客

2014-08-28 07:15:00 | 報道/ニュース

8月20日 キャッチ!


日本を訪れた中国人旅行者の数は
東日本大震災が起きた2011年と一昨年9月に高まった半日ムードの影響を受けた去年は減少した。
しかし今年は6月までの半年間ですでに100万人
去年の同じ時期より88%増えて過去最高を更新する勢いである。

上海の空港に集まる大勢の観光客は日本行きの団体旅行の参加者たちである。
一昨年9月 日中関係が悪化した時には日本への旅行を控える旅行会社が見られた。
今は積極的に旅行商品を売りだし多くの観光客を集めている。
政治においては日中の冷え込みは続くものの日本を訪れる中国人は急増している。
(観光客)
「東京 大阪 神戸に行きます。
 政治の問題は関係ありません。
 楽しんでおいしいものを食べて安全に帰ることが旅行の目的です。」
「愛国心はありますが旅行は旅行です。
 文化を通じて交流したいです。」
上海の日本総領事館でビザを申請する窓口に連日行列を作る旅行会社の担当者たち。
書類袋の中はすべて日本を目指す観光客のパスポートである。
所得が比較的高い層が住む中国沿岸部などを管轄する上海の総領事館ではビザの申請が去年の3倍近くにまで増えている。
その数1日5000件を超える日もある。
(旅行会社 担当者)
「今日受け取るビザは約100人分です。
 申請も約100人分あります。
 去年に比べて相当増えました。」
「今日は300人分のビザを受け取ります。
 今年は2人体制で申請に来ています。」
ビザを発給する部署では他の国の日本大使館などからも応援を呼ぶ異例の対応で急ピッチで作業を進めている。
今年のビザの発給数は7月までですでに去年1年分を上回っている。
総領事館では8月5日 日本行きの観光客の増加に貢献した旅行会社を初めて表彰。
(在上海 日本総領事館 小原雅博総領事)
「より多くの中国の方が日本を訪れ理解を深めてくれることは日中関係の発展にとってプラスです。」
総領事館では日本を訪れ日本を理解してくれる人が増えれば外交上の効果も見込めるとして後押ししているのである。
(表彰を受けた旅行会社 担当者)
「多くの旅行者は一度日本に行くとまた行きたくなります。
 家族や同僚もつれていくのです。
 政治問題の影響は大きくありません。」
中国人観光客の中でもこのところ目立っているのは団体旅行で日本を訪れた後
リピーターとして個人旅行で再び日本を訪れるケースである。
上海に住む髢さん(25)は日本語は話せないが個人旅行でたびたび日本を訪れている。
初めて日本を訪れたのは両親と団体旅行に参加した3年前。
清潔な街並みや人の優しさに日本をよく知らなかった両親も含めて家族全員が日本を好きになったと言う。
その後は3回の個人旅行で九州や四国 滋賀県など日本の地方を訪れ地元の人との交流を楽しんでいる。
(鄭さん)
「日本旅行で出会った人たちはとても親切で感動しました。
 日本の地方には人々とふれあい共感できることがたくさんあります。」
日本の魅力を中国に広く伝えたいと
鄭さんは日本旅行専門の雑誌で記事を書き始めた。
初めて記事にしたのは去年九州を訪れた際 大分県別府市で地元のお年寄りに助けられた体験談である。
お年寄りの女性がくれたというポーチは
夜遅く化粧落としを買おうとコンビニへの道をを訪ねたところ自宅まで招いてくれプレゼントしてくれたと言う。
漢字での筆談を通じて感じた地元の人のあたたかさが忘れられないと言う。
(鄭さん)
「中国に戻って多くの人にこの話をしました。
 個人旅行の中でも忘れ難い経験でまわりの友達も共感してくれました。
 本当に貴重な経験でした。」
旅行を通じてこれまで知らなかった日本の魅力を見出し始めている中国人の観光客。
日中の政治の関係が改善されない中でも市民の間では日本への関心が高まっているようである。

所得の向上が続く中国ではこのところ海外旅行全体の需要が急増している。
中国の統計では香港 マカオ 台湾などを旅行する人は年々増加していて 
前の年より18%増えて延べ9800万人にものぼっている。
日本は一昨年の尖閣諸島国有化以降冷え込んだ日中関係の影響で十分に取り込めていなかったが
ここにきてその伸びを取り込み始めていると言える。
また今年になって日本と中国をつなぐ便が増えていることもある。
上海では今年3月には格安航空会社が大阪便を新たに就航させるなどしたうえ
去年の今頃はほとんど運行されていなかったクルーズ船も今年は月10本を超えているという。
円安によって日本旅行に割安感を感じられるという追い風に加え
訪日観光客の増加を目指す政府や自治体などのPR活動も一定の効果をあげているとみられる。
そこには中国政府の意向も関係しているとみられる。
一昨年日中関係が急激に悪化した直後は団体旅行のキャンセルやクルーズ船の運航中止など日本との往来を取りやめる動きが相次いだ。
政府から具体的な指示があったと確認することはできないが
指導者たちは日本批判を繰り返す中でそれに呼応する形で旅行業界の中に自粛の動きが広がったことは事実である。
こうした状況には去年後半以降目に見える変化があった。
上海では去年11月以降これまで難しかった日本旅行に特化した新聞広告が出せるようになって日本行きのクルーズ船の運航が再開された。
自粛の動きを解消するこうした動きに政府の意向が影響した可能性は高くある。
中国政府も観光分野の交流については今年6月に太田国土交通大臣が訪中した際
双方向の交流を促進していくことを確認するなど否定的な立場は取っていない。
一昨年の反日デモのような急激な関係悪化がなければ中国人観光客の増加の傾向は続いていく可能性は高い。
まず中国の海外旅行市場にはまだまだ伸びしろがある。
東日本大震災などの影響で観光客が大きく落ち込んだ3年前までは
中国人の海外旅行の行先では日本がトップの地位を占めることが多くあった。
しかしこの数年はその座を韓国やタイなどに譲っている。
去年は韓国 タイ アメリカに次ぐ4番目で数を見てもトップの韓国と比べると日本は半分以下だった。
こうした現状を見ればまだ伸びる余地多く残されていると言える。
こうしたのびしろをとりこむ際に利点となるのが日本にいた中国人観光客の満足度の高さである。
初めて日本に行くと言う人にその理由を尋ねると
「日本旅行にとても満足した友人の話を聞いたから」という答えが多く聞かれた。
(観光客)
「日本は清潔で人も礼儀正しいと聞いたので行ってみたくなりました。」
「多くの人が日本は良いところで人も食べ物も素晴らしいと言っているので
 実際に行ってみて体験してみようと思ったのです。」
一方で中国を訪れる日本人観光客は反日デモや大気汚染をきっかけに減少に歯止めがかかっていない。
中国を訪れる日本人観光客は去年は前の年より2割近くと大幅に減ったうえ
今年はその去年をさらに下回るペースで推移している。
両国の市民の往来は市民が相互理解を進めていくうえで重要分野のひとつである。
中国に行く日本人旅行者が一方的に減り続けている現状は理想的とは言えない。
こうした状況が変わっていくためには11月に北京で開催されるAPECで首脳会談が行われるかどうかを含めて
今後の政治の改善がカギになってくる。

 

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美食の国フランスで加熱する“自家製料理論争

2014-08-27 07:15:00 | 報道/ニュース

8月19日 キャッチ! 


パリの中心部に2年前にオープンしたレストラン。
伝統のフランス料理を洗練された盛り付けで提供し人気を集めている。
「“子羊の肩肉 キノコとあんず添え”です。
 どうぞ自家製ですよ。」
“自家製マーク”の導入についてオーナーのトマ・シャピュさんはこだわりの料理を客にアピールできるいいアイデアだと考えている。
(レストランオーナー トマ・シャピュさん)
「マークがあれば手作りの料理だとお客さんにアピールできます。
 お客さんのレストラン選びにも役立つと思います。」
マークはレストランの客からも好評である。
(客)
「マークがあると新鮮な材料で手作りであることがわかります。」
「これからはこのマークをチェックします。」
フランスでは7月に公布された政令でレストランの自家製料理にはマークを表示することが定められた。
7月~来年1月までは任意で
来年1月以降はすべてのレストランを対象に“自家製”料理のマーク表示が義務付けられる。
このマークはそれぞれの店が自らの判断で表示するが
当局が検査を行った際に違反があれば罰金や禁固刑などが科せられることになっている。
マーク導入の背景にはレストランの中に冷凍食品や出来合いの料理を温めて出すだけというところが増えてきたという現実がある。
業界団体が去年 レストランを対象に行ったアンケートでは回答した店の80%が
“料理の一部に出来合いの料理を使っている”と答えている。
外食産業に詳しい専門家はフランス経済が厳しい状況が続いていることが大きな要因だと言う。
(外食産業 コンサルタント)
「フランスの消費者は外食に予算をかけなくなってきた。
 自家製の料理だからといって高いお金は払えません。」
こうした状況に多くの業界関係者は懸念を抱いている。
そこで消費者が自家製料理を見分けられるよう考案されたのが“自家製マーク”。
政令では“自家製料理”とは
①生の詩材料を使用
②レストランで調理
と定義づけられている。
しかしその“生の材料”の定義は「すでにカットされたもの」「冷凍されたもの」「真空保存されたもの」
なども含まれるゆるかなものになっている。
このことに対し多くのレストランから異論が集中している。
パリの中心部 シャンゼリゼ通りにもほど近い食材にこだわるレストラン。
市場や知り合いの農家から毎日新鮮な材料を仕入れて料理をしている。
オーナーシェフのダビド・バロシュさんは冷凍野菜を自家製だと認めるこのマークに憤りを感じている。
(レストラン オーナーシェフ ダビド・バロシュさん)
「このマークは冷凍やカット済みの材料を使うファストフード店でも付けられる。
 うちの店にはそんなマークはいらない。」
こうした声を受けレストランの業界団体の代表が担当大臣を訪れて制度の見直しを要求した。
(レストラン業界団体代表)
「本格的な料理人の店だけがこのマークをつけられるよう提案しました。
 そのほうがこの制度はちゃんと機能すると思います。」
しかし担当の省庁は制度の対象をすそ野の広いものにしたい考えである。
(フランス デルガ担当相)
「どんな店でも手が届くものにするには制度が厳しすぎてはいけません。
 来年春には制度の再検討も予定しています。」

フランス料理も和食と同様ユネスコの無形文化遺産に登録されていて
フランスの食文化に誇りを感じているフランス人は多い。
しかし食文化は変化してきている。
2012年 ファストフード店の総売り上げが伝統的な外食店を初めて上回った。
景気が上向かず個人消費が伸び悩む中で
たまにいいレストランでゆっくり食事
それ以外の食事は安く手軽に済ませたいという人が増えてきた。
外食産業のコンサルタントによると
フランス人が1回の外食にかけるお金は平均8,7ユーロ(約1200円)。
レストランとしてはこの予算の範囲内ですべてを1から作るのはかなり難しい。
(フランス デルガ担当相)
「グリンピースやソラマメなどは旬の季節が限られますし
 内陸のレストランは冷凍した魚を使うしかないという問題があります。」
担当相としては制度の対象を広くしたいという考えなので
一般的なレストランやファストフードの店も対象にするためにハードルを下げて
自前で調理をすれば冷凍された食材を使っても良いとする判断に至ったとしている。
このマークに対するレストラン業界からの激しい反発の背景にはファストフード店との競争がある。
正統派のレストラン側はこの制度によってファストフード店との差別化を期待していたが
ファストフード店もこのマークを付けるようになれば瀬別化が出来ず
今の苦しい状況が改善されない。
レストラン側の危機感がこのマークに対する批判となって表れている。
フランス政府は来年の導入以降は抜き打ちでレストランを検査して
違反には罰則を設けるなどマークの信頼性を確保しようとしている。
しかし一方でマークのハードルの低さに異議をとなえているシェフなどは
本物のフランス料理だということを示す新しいマークの導入を考えているが
いろいろなマークの混在で消費者が混乱するのではないかという心配する声もある。
このマークによりフランス人がレストランを選ぶ目が一層厳しくなったのは間違いなさそうである。

 

 

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解消せよ!ジャカルタの渋滞問題

2014-08-26 07:15:00 | 報道/ニュース

8月18日 キャッチ!


順調な経済発展を続けるインドネシア。
自動車を購入できる中間層と富裕層は国民全体の30%を占めるまでになった。
人口1千万人の首都ジャカルタの自動車登録台数は
105万台(2000年)から
300万台(2013年)と3倍に増加。
自動車の急増によって激しさを増しているのが交通渋滞。
朝夕のラッシュ時の時間帯には車で道路が埋め尽くされる。
一方 歩道を歩く人や自転車に乗る人の姿はあまり見られない。
歩道には危険が多いからである。
渋滞を避けようとするオートバイが駆け抜けていく。
こうしたことが自動車の利用をさらに増やしている。
(市民)
「歩道は怖いので歩くのを控えています。」
深刻な渋滞は市民の生活に大きな影響を与えている。
ジャカルタの日本食レストランで働くスティーブンさん。
家から10キロほど離れたジャカルタ中心部の職場に車で通勤している。
朝7時半に家を出て10分で早くも渋滞につかまる。
少しでも渋滞を避けようと片道8000ルピー(約80円)を払って有料道路を通る。
しかしそこでも渋滞。
スティーブンさんは渋滞に備えていつも十分な水や食べ物を持ち歩いていると言う。
(スティーブンさん)
「“長旅”になるので水やお菓子を用意しなければ耐えられません。」
渋滞がなければ15分ほどで到着する距離だがこの日は1時間余りかけてようやく職場に到着した。
(スティーブンさん)
「職場に着く前につかれてしまって仕事のやる気もなくなってしまいます。」
渋滞による生産性の低下や物流の遅れなどによる損失は年間約2,000億円と言われている。
渋滞した車による大気汚染も市民を苦しめている。
(ジャカルタ州 交通局長)
「ジャカルタの車両台数(2輪車を含む)は毎年100万台のペースで増えていますが
 道路はたったの数メートルしか延びず
 渋滞は日々深刻化しています。」
ジャカルタ州政府はこれまでも渋滞緩和のための制作を執ってきた。
2007年にはジャカルタの中心部を流れる水路を利用した水上バスを試験運行。
しかし水面に浮かぶ大量のごみがスクリューにからまってしまい失敗した。
2003年には朝夕のラッシュ時に2人までしか乗っていない乗用車は中心部に入れない対策を続けている。
ところがこの規制を利用して収入を得ているのが“ジョッキー”と呼ばれる人たちである。
規制区間内で相乗りをする代わりに報酬を得る。
その数は増加する一方で
最近はジョッキーをするために地方から出稼ぎに来る人まで出ている。
(“ジョッキー”の女性)
「3時間で1日5万ルピア(約500円)稼げます。
 こんなに楽な仕事はありません。」
こうしたなか渋滞対策に力を入れているのが2012年からジャカルタ州の知事を務め
今年10月に大統領に就任するジョコ・ウィドド氏である。
(ジョコ・ウィドド氏)
「住民の大規模な輸送のため交通機関の整備に力を入れています。」
去年10月 日本の円借款を利用してインドネシアで初めてとなる地下鉄を着工。
さらにジャカルタ郊外から通勤する車を減らすために11の中距離バス路線を新たに設置した。
ジョコ氏は今年1月から毎月一日 自分が通勤に車を使わない日を設定。
ジャカルタ州政府の職員にも同様に通勤に車を使わないことを命じ
違反した職員には警告を出している。
さらにジョコ氏は大統領としてもインドネシア全土で2000キロの道路の新設を公約に掲げるなど
全国規模で渋滞対策に取り組み姿勢を強調。
国民の期待は高まっている。
(市民)
「ジョコ氏が大統領になって他の都市の渋滞問題も解決することを期待します、」
インドネシアの経済発展の行方を左右するとさえ言われる深刻な交通渋滞。
ジョコ氏はこの難題を解決できるのか
その手腕が問われる。

ジャカルタは雨季になると道路がいたる所で冠水し都市機能がマヒしてしまうといっても過言ではない。
こうしたなか期待されているジャカルタ市内を南北に結ぶ長さ16キロの地下鉄は2017年の完成を目指していて
1日約41万人の利用者を想定している。
また新しい対策の中には日本が協力しているものがある。
去年11月に日本政府やトヨタ自動車などが協力して渋滞の激しい交差点を改良。
自動車の流れを悪くしていた安全地帯を一部削ったうえで
交差点の手前にUターン用の道路を新たに設置した。
設置後の調査では渋滞の長さを70%余減少させることに成功した。
渋滞がこれほどまでになった背景には
インドネシアは民主化によってかつての中央集権的な体制から地方分権をすすめたことがある。
インドネシアの現在の道路などのインフラ基盤の多くは
“開発の父”との言われた強権的なスハルト元大統領の時代に作られたものである。
1998年のスハルト氏の退陣以降 地方分権がすすめられ
ジャカルタなどそれぞれの州の知事がインフラ整備などの問題に取り組むべきはずだったが
これまでこの問題に対する行政の動きは鈍く有効な対策を打ち出すことが出来ていなかった。
こうしたなかで2年前にジャカルタの知事となったジョコ氏は庶民派の政治家として
市民生活に大きな影響を与えている渋滞問題の解消を優先課題として力を入れ次々と対策を打ち出した。
こうしたジョコ氏の行政手腕の国民の高い評価が今回ジョコ氏を大統領に押し上げた大きな要因のひとつにもなっている。
経済発展を続けてきたインドネシアは渋滞によって一つの節目を迎えている。
インドネシアは旺盛な内需が見込めるなど2億5千万人の魅力的な経済市場として
日本を含む海外企業にとって有望な投資先として見られてきた。
2012年の海外からの投資額は245億ドル余と過去最高を記録している。
その一方でインドネシアに進出している企業からは深刻な渋滞問題に対する早急な対策を求める強い声が上がっている。
ジョコ氏としては今後 海外からの投資を継続して呼び込み安定成長を実現するうえで
渋滞の解消など国内インフラの整備に全力を挙げる方針で
10月からのジョコ氏の大統領としての手腕がこの国の行方を大きく左右すると言えそうである。

 

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夏の夜の成田空港 “格安”に集う人々

2014-08-25 07:15:00 | 報道/ニュース

8月19日 おはよう日本

LCC(格安航空会社)を積極的に活用している成田空港。
羽田空港の国際化などによる競争の激化で国際線の利用者が伸び悩み
国内線にも力を入れるようになっている。。
成田空港ではこの1年でLCC3社が新たに就航。
今 成田空港を発着する国内線17路線のうちLCCは11路線
80便のうち52便を占めるまでになっている。
LCCを増やしたことで夜の成田空港の風景が様変わりしている。

夜10時すぎ 最終便が飛び立った後の空港にぞくぞくと人が集まってくる。
ロビーのソファに陣取る人々。
その数 100人以上。
翌朝早くに出発するLCCの飛行機に乗る人たちである。
LCC第1便出発 午前6時。
始発電車の空港到着は午前6時12分なので前日から空港に泊まっているのである。
初めて空港に泊まる田中賢次さん(43)。
お盆休みを利用して単身赴任している東京から家族のいる札幌に帰る。
家族と会う回数を増やすためLCCを利用することにした。
大手航空会社と比べ半額から3分の1で済むと言う。
札幌では妻と中学3年生の息子が待っている。
家族との連絡はスマホだけ。
すでに単身赴任生活3年目。
(田中賢次さん)
「息子が大きくなったと思う。
 こっちに来るときは俺の方が大きかった。
 いつ抜かれたのかなという感じ。
 たまにしか会えないからね。」
物流会社の新入社員 川崎恵さん(23)。
千葉から兵庫の実家に帰省する。
LCCで節約したお金で両親に食事をご馳走したいと考えている。
(川崎恵さん)
「家族で焼き肉に行きます。」
学生時代からLCCに乗るために何度も空港に泊まったことがあると言う。
「1回寝ると慣れる。
 ズボンはゆるっとしたやつでゆったりした服装にした。」
LCCの利用客が集まるカプセルホテルは7月に空港内にオープンした。
1泊3900円で連日ほぼ満室である。
山下達也さん(21)。
今年3月 香川県でゲームソフトなどを開発する事業を立ち上げた。
お盆だが打ち合わせで東京に来てLCCで香川に戻る、
(山下達也さん)
「単純に費用の関係で。
 まだ事業を始めたばかりなので。」
夢は大企業に負けない面白いゲームソフトを香川から生み出すこと。
夢の実現まで節約して頑張るつもりである。
深夜2時。
何度も泊まっている川崎さんはぐっすり眠っていた。
手は無意識に鞄を握っている。
警備員は昼と同じ人数で巡回。
午前3時。
単身赴任の田中さんはもう起きていた。
(田中賢次さん)
「寝たり起きたり 寝たり起きたりの繰り返し。」
空港で泊まるのは初めての田中さん。
結局ほとんど眠れなかった。
(田中賢次さん)
「ハード。
 でも家族に会えなきゃさびしいからね。」
朝5時すぎ。
川崎さんが目を覚ました。
(川崎恵さん)
「鞄を握っていたのは心配なのが体に出てたのかな。
 空港泊まりの達人技ということで。」
田中さんも間もなく出発。
体にはきついが家族と会うためLCCをまた使いたいと思っている。
(田中賢次さん)
「札幌と東京 遠いなと思っていたけどLCCで近くに感じるようになった。」
夢の実現
家族との再会
様々な思いの人々が一晩を過ごした成田空港。
それぞれの思いを乗せてLCCの飛行機が飛び立っていく。

成田空港はこうした利用客に対して
空調を入れたり24時間営業のコンビニを誘致したりという対応をしている。

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“晩夏の使者”ツクツク ボウシ

2014-08-24 07:15:00 | 編集手帳

8月23日 編集手帳

 

神宮の森から野球見物に来たのだろう。
一昨日の夜、
テレビで蝉(せみ)を 見た。
神宮球場のヤクルト―巨人戦、
マウンドに立つバーネット投手の左肩にとまった。
種類までは見定めかねたが、
この時期のこと、
“晩夏の使者”ツクツク ボウシだったかも知れない。

〈私はね、
あの蝉は苦手なんですよ。
毎夏、
あの蝉が鳴き出す時、
いつも私は不幸なんです…〉。
梅崎春生の代表作『桜島』のなかに、
登場人物がツクツクボウシを語るくだりがあった。

〈何だか人間の声のようじゃないですか。
 へんに意味ありげに節をつけて。
 あれは蝉じゃないですよ〉

登場人物が嘆いた不幸とは、
応召など戦争にまつわる出来事を指すのだが、
夏はそれとは別種の不幸に小説の一語一語が胸に痛い。
広島市の土砂災害による 死者・行方不明者は80人を超えた。
強い雨が断続的に降るなかで、困難な捜索がつづく。

ずいぶん前、
ある俳誌に載った小学生の句を覚えている。
〈宿題をい そげいそげとほうしぜみ〉。
住む家があり、
家族が無事でいることに感謝して、
宿題の山という“ちっぽけな不幸”を乗り越えるとしよう。
小学生諸君。

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JPX日経400 決め手は“稼ぐ力”  

2014-08-22 07:15:00 | ビズ プラス

8月17日 BIZ+SUNDAY

 

約3400社が上場している東京証券取引所。
今年1月 新しい株価指数が導入された。
PX日経インデックス400
収益性の高さなどを基準に“稼ぐ力”の強い企業400社を選び出したもの。
8月7日 初めての銘柄の入れ替えが発表された。
入れ替わったのは31社。
外れる銘柄は ソニー スカイマーク ワタミなど
加わる銘柄は スターバックスコーヒージャパン パナソニック マツダなど。
1年に1回入れ替えが行われ
収益性が落ちると除外されてしまう厳しい株価指数。
海外の投資家たちも大いに期待している。
(フィデリティ投信 アレキサンダー・R/トリーヴス運用部長)
「日本企業が変わるという姿勢を示すことで海外からも注目されるでしょう。」
日経インデックスに採用されるかどうかの基準になっているのがROE(自己資本利益率)という数値。
利益 ÷ 自己資本 = ROE
ROEが高いほど企業の稼ぐ力が高いとみなされ投資家から資金が集まりやすくなる。

東京港区 大手精密部品メーカー ミネベア。
車や飛行機などに使われる小さなベアリングを生産し世界シェアは6割。
6万5千人の従業員が18か国で働いている。
この1年 利益が大幅に増えた。( ROE 14,4%)
その結果 8月 JPX日経400の銘柄に選ばれた。
(ミネベア 加藤木洋治専務)
「素直に良かったなと喜んでいます。
 我々の今までの努力が実ったかなと思います。」
ROEを押し上げた要因は積極的な投資にあった。
まず研究開発への投資。
毎年100億円をつぎ込みスマートフォンに使われる導光板などを開発した。
これは画面を均一に照らし出すための部品でこの会社が持つ高い技術力が生かされている。
さらに行ったのが設備投資
4年間で1000億円を導入しカンボジアなど4か国で6つの工場を建設した。
これらの工場で増産した導光板は世界で使われる高性能スマートフォンの7割で採用。
大きな利益を生み出す新たな稼ぎ頭に成長した。
(ミネベア 加藤木洋治専務)
「今やっとこの1年半前から需要が増えてきて経済が好転してきて
 ちょうど我々が今までやってきた投資とマッチングする形で業績が上がってきていることがいまの状況です。」
いま会社では国が推し進めるスマートシティに欠かせない照明システムの研究を進めている。
次の一手をいち早く見つけ攻めの投資を続けていくことが高いROEにつながると考えている。
(ミネベア 加藤木洋治専務)
「利益率をさらに向上させることによってROEは良くなる。
 新しい製品の開発と新しいマーケットの開拓をしていくというのが
 より安定した成長をするには必要だと思います。」

神奈川県伊勢原 金属加工機械メーカー アマダ。
工作機械の製造で世界シェア25%。
約8千人の従業員が働いている。
JPX日経400に入ることを目指していた会社だが今年1月に発表されたリストに名前はなかった。
理由はROEの低さだった。(ROE 1,1% 去年3月) 
(アマダ 岡本満夫社長)
「悔しいですね。
 選出漏れという形でROEを高めないといけないと。」
そこで今年5月 社長の主導でROEを高める策を打ち出した。
新たに得られる自己資本を設備投資に使わず
2年間に限って科株主への配当などにすべて回すことにした。 
通常あまり行わない方法で自己資本を小さくしROEを引き上げようとしたのである。
この会社では2年後にROEを7%まで上げたいとしている。
投資家にとって魅力的な企業になったうえでさらなる事業の拡大を図りたいとしている。
(アマダ 岡本満夫社長)
「海外の投資家を呼び込みたい。
 ただお金をためているだけでは駄目。
 やはりお金を転がして成長戦略に使えということになる。」

 

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タイ軍事政権に接近する中国

2014-08-21 07:15:00 | 海外ネットワーク

8月10日 NHK海外ネットワーク


今年5月 軍がクーデターを宣言したタイ。
アメリカなど欧米諸国はタイの軍部を厳しく非難した。
これに対し中国はクーデター後ほどなく軍事政権の支持を表明。
欧米とは全く反対の姿勢を打ち出した。
7月にはタイの外相代行を招き
外相を務めたことがある国務委員が対応するなど手厚く迎えた。
さらに8月9日 中国はタイとの二国間会談に応じ経済支援を約束するなど接近を図っている。
(中国社会科学院 副研究員)
「中国は自分たちの事情に合わせてタイとの関係をどうするか考える。
 タイの政権や指導者がこれまでと代わったからといって
 政治や経済の関係を断ち切ることはしないだろう。」
こうした中国の姿勢は各国による外交交渉の場にも影響を及ぼし始めている。
NHKが入手したASEAN共同声明の作成段階の内部文書。
フィリピンが中国を念頭にその行動を制限しようという新たな提案を行ったのに対し
タイがかねてから中国寄りだったラオスとカンボジアなどととともに
中国を批判する文言を削除するよう求めたことがはっきりと記されている。
(タイ シハサック外務次官)
「フィリピンの提案は共同声明ではなく今ある枠組みの中で協議すればよい。
 ほかに適切な枠組みがすでにある。」

タイは中国との間に領土問題がない。
南シナ海の問題では争っている当事国同士1対1で解決したいという中国の考えに
もともと理解を示してきた国である。
軍事政権になって欧米や日本から冷たくされている間にいっそう関係を強化すれば
中国包囲網意に深くくさびを打ち込めるという計算がありそうである。
王毅外相は南シナ海の問題は複線構想で処理するのがよいと述べた。
複線というのは2本のレールのことで
1本目は争いはあくまで当事国同士で解決するというもの。
中国は領有権問題がある国の中でも相手によって対応を使い分けている。
王毅外相はベトナムの外相と会談して関係改善を呼びかけたが
一方 フィリピンのことは記者団の前で強く非難した。
1国1国対応を変えて個別に撃破していこうという戦略である。
2本目のレールは南シナ海の平和と安定は中国とASEANで守るというもの。
中国は来年 初めて行われる中国ASEAN国防相会議を開こうとしている。
南シナ海の沿岸国でないという理屈でアメリカや日本を外して中国に有利な情勢に持ち込もうという動きを今後加速するとみられる。

 

 

 

 

 

 

 

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中国への反発続く ベトナム

2014-08-20 07:15:00 | 海外ネットワーク

8月10日 NHK海外ネットワーク


ベトナムの国旗をかたどった揃いのTシャツを着た人たち。
首都ハノイの民間企業の社員たちである。
毎週 集会を開いて中国の行動を批判している。
「ベトナムの領土を守るぞ。」
「断固守るぞ。」
ベトナム国内での中国への反発は収まる気配がない。
(民間企業 副社長 タイ・ゴーラックさん)
「ベトナムの国民として一致団結して中国の違法行為に対抗したい。」
根強い反中国の感情。
ベトナムには1000年以上にわたって中国に支配を受けた歴史がある。
1979年には中国が国境を越えて侵攻し中越戦争が起きている。
中国への反発は教育の場へも影響を与えている。
ハノイにある公立の高校。
この高校では歴史の授業は選択制だが緊張の高まりを受けて受講したいという生徒が増えた。
35人の定員に対し今年の希望者は約5倍の164人にのぼった。
(高校の教師)
「“愛国心”とは闘争によって敵の侵略や武力に対抗すること。
 我々は団結して自らの城壁を守る。」
(生徒)
「歴史の授業を受けたことで国家の防衛についてより深く理解できた。」
さらに7月 全国一斉に行われた大学の入学試験。
中国に対する反発を反映したかのような問題が出題された。
パラセル諸島(西沙諸島)などでベトナムの漁師が漁業を行うのは国防上どんな意義があるのかを論ぜよ
地理の試験でベトナムの領有権を意識させるような問題が初めて出題された。
(受験生)
「このような問題は現在の情勢にあっていると思う。
 学生の意識を知る上でもふさわしい問題ではないか。」
一方で中国への反発は人々の生活にも表れ始めている。
看板には
中国製品は売っていません
と書かれている店。
店に並んでいるのは日本の菓子や韓国の商品。
これまで扱っていた中国製品を一掃した。
(客)
「私はこの店の方針を支持する。
 ベトナムの国民の1人として中国製品を売らない精神を尊重する。」
(店の担当者)
「当初は客の中に驚く人もいたが理由を知ると熱心に支持してくれた。」
しかしベトナムにとって最大の貿易相手国の中国と完全に関係を断ち切るのは難しいのが現実である。
ベトナムの主力産業のひとつ縫製業。
縫製メーカー 副社長 タン・ドゥック・ヴィエットさん。
工場で扱う商品の中には原材料の40%を中国からの仕入れに頼っているものもある。
業界団体の呼び掛けもあり
できれば仕入れ先をほかの国に変えたいと考えているタンさん。
しかしベトナムのメーカーの多くは近隣諸国との価格競争にさらされるなか
中国に代わる仕入れ先がないのが現状である。
(縫製メーカー タン副社長)
「仕入れ先の変更は1日や2日ではできない。
 原材料が滞ると1万人もの従業員が仕事にあぶれてしまう。」
隣り合う大国 中国とどう付き合っていくのか。
専門家はベトナム政府は難しい対応を迫られていると指摘する。
(ベトナム 元外交官 グエン・チュン氏)
「ベトナムを中国は経済的結びつきが深く
 しかも中国は巨大市場を持っている。
 大国で影響力も大きいためどんな国も中国を拒否できない。」

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社員の気分を可視化 人材流出を防げ

2014-08-19 07:15:00 | ビズ プラス

8月10日 BIZ+SUNDAY

東京都新宿区のソフトウェア開発会社 アルバス。
この会社の社員にはちょっと変わった日課がある。
スマートフォンを取出し 操作・・・
ゲームのようにも見えるが・・・
パソコンにも怪しげなキャラクターが・・・。
実はこれはこの会社が開発した社員の気分を可視化するシステムである。
最高の“天使”から最悪の“ゾンビ”まで5種類のアイコンの中から自分の気分を選んで発信する。
「ここ数週間はエンジェルだったが先週ぐらいからゾンビが増え始めた。」
「出社した時点ではゾンビだったが
 作業していて分からなかったところが解決したのでゾンビの1個上に上がった。」
発信された気分は上司のもとへ。
部署ごとに分けられた地図には天使とゾンビのアイコンが表示され
職場の気分が一目でわかる。
社員1人1人の気分の変化はリアルタイムで把握できる。
開発のきかっけは第一線で活躍してほしいと期待していた若手社員が
会社や上司への不満を理由に次々と辞めていったことだった。
(アルバス 椎名千夏常務)
「うちみたいな100人弱の会社では
 1人2人でもそういう人間が辞めていくのは経営的に打撃。」
退職の意思が伝えられてからではもう手の施しようがない。
上司にはもっと早い段階で部下の気持ちの変化に気づいてほしいという思いから生まれた。
(アルバス 椎名千夏常務)
「上司が大丈夫かと聞いて
 部下が大丈夫ですというのを鵜呑みにしてしまう。
 あまり信頼してない人から大丈夫かと聞かれても
 あまり突っ込まれたくないから
 逆に大変ですと本音を言わず
 大丈夫ですとシャットアウトしちゃうとか。
 そういったところを上司は気づいてほしい。」
10人の部下を持つ小坂芳生ゼネラルマネージャー。
いま気がかりな部下がいる。
「ずっとゾンビ。
 仕事でもプライベートでも悩みを抱えている。
 しかも子育て世代なので板挟みになってる。」
その部下を喫茶店に呼び出した。
入社6年目 中川雄一さん。
取引先の企業に常駐してシステムの維持にあたっている。
小坂さんは中川さんのメールからも異変を感じ取っていた。
(上司 小坂芳生さん)
「一緒に仕事していた頃もらっていたメールは単なる事実だけじゃなくて
 こう思う ああ思う こうしたいってくれていたけど
 最近 全然そういうのがないよ。」
(中川雄一さん)
「こうしようと思ったことが正しいかわからなくなってきている。」
多い時は週に3回時には夜遅くまでプライベートな相談にものっている。
(上司 小坂芳生さん)
「職場が元気だからこそ新しい発想が生まれる 会社が前に進めると思っているので
 いろいろと問題は抱えているがそこに手をつけないと先に進めない。
 そこは覚悟を持ってやっている。 」

気をつけなくてはならないのはゾンビな気分が続いている社員だけではない。
入社25年目の齋藤雅巳さん。
システムが導入されて1年余
一度も自分の気分を発信していない。
(上司 保坂秀郎さん)
「願わくばボタンを押してほしい。
 ログインしたことすらないでしょ。」
(齋藤雅巳さん)
「その話が来たときは最悪の精神状態でしたから
 そんなものは見たくもない状態でした。」
当時 齋藤さんは配置転換後の仕事に悩み一時は退職も考えていた。
時間をかけたきめ細やかな対応が必要である。
(保坂秀郎さん)
「齋藤さん個人としても目標を見つけていくということだと思うんですよ。
 最近見失っていたものがようやく見えてきたって話だから。」
(齋藤雅巳さん)
「見えてきたといい切れるかどうか知りませんけども」
面談を繰り返すうち少しずつ心を開くようになってきた齋藤さん。
取引先との会話がきっかけで仕事にも前向きに取り組めるようになった。
(齋藤雅巳さん)
「私に残ってほしい手お客さんの方から言ってくれたし
 喜んでくれるならもう少し頑張ってみようかと。」
社員の気分を可視化するこのシステムをすでに数社が試験的に導入している。
(アルバス 椎名千夏常務)
「これをスタートにして双方がどれだけ近づいて
 お互いを分かり合うためのコミュニケーションを取っていくか。
 人間対人間の付き合いというところに尽きると思います。」



 

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部下とどうつきあう

2014-08-18 07:15:00 | ビズ プラス

8月10日 BIZ+SUNDAY


神戸で行われた大手ハウスメーカーが主催した研修に
メーカーや工務店で部下を束ねる職場のリーダー30人が参加した。
テーマは“叱り方”。
いま企業では部下を叱れない上司が増えているという。
「今の若い子に怒りすぎたらちょっとシュンとなる。」
「なにかあったらすぐパワハラ。」
上手な叱り方のポイントは3つ。
怒りの感情の持続する時間は6秒。
1つめは6秒
怒りの感情のピークが持続する時間は約6秒間。
この間だけ怒りをこらえればカッとなって叱ることが無くなるというのである。
頭にきた内容を手のひらに書きながら怒りのピークが過ぎ去るのを待つのがコツ。
2つ目3重丸
「許容できる」と「許容できない」の間に「自分の考えとは違うが許容できる」というもう一つの境界をもうけて3重丸をイメージ。
怒るのはどうしても許容できないときだけにする。
3つ目は分かれ道
叱ることで状況を変えることできるのか できないのかを考える。
たとえば仕事が納期に間に合わない場合部下を叱っても納期は延びない。
その場合は叱らず納期を延ばしてもらうための具体的な対処法を考えようということ。
叱るときに使ってはいけないNGワードも教える。
NG例
前から言おうと思ってたんだけど
なんでいつも失敗ばかりする!?

過去のことを持ち出すのはNG。
相手を責めるのもNG。
失敗の頻度を強調するのもNG。
正しい叱り方は
どうしたら失敗ししなくなるかな?
一緒に考えよう
これまで
お前なんで書類出せへんねん
はよ出せよ
これから
書類出してくれたかな?
現場終わったら出してくれたらこっちも言わんでええし
一緒にはよ出していこう
様々な企業から引っ張りだこのこの研修。
1年間で100を超える企業が活用しているそうである。

一方 研修によって上司と部下の距離を縮めようという取り組みも。
ITセキュリティー対策を手掛けるこの会社。
多くのエンジニアを抱え職場の人間関係が希薄になりがちだった。
課長の原良輔さんと部下の山本将史さん。
今これまでにない研修のスタイルに取り組んでいる。
通常 研修は上司だけあるいは若手だけを集めて行われる。
一方この研修は上司と部下が2人1組のペアになって行う。
上司と部下に共通の目標を設定し日常業務を行いながら半年かけて達成を目指す。
2人が設定した目標は部下の山本さんがリーダーシップを身につけること。
ひとつの課題に一緒に取り組むことによってより活発なコミュニケーションが生まれる。
「どこが苦手でどこを強化するか整理していくともしかすると共通点とか出てくるのかな。」
実際の業務の場面でも原さんは常に山本さんの目標を意識し的確なアドバイスを与える。
(トレンドマイクロ テクニカルサポートグループ 山本将史さん)
「お互いの力が共鳴して良くなっていく。
 マネージャーだ 部下だ は関係なくて
 ペアという場でステージに上がることですごく頑張らなきゃという気持ちにさせられる。」
こうした部下とのやり取りは同じ立場の課長同士で共有する。
どう部下と向き合うのか。
課長同士で話し合いコミュニケーションスキルの向上にもつなげる。
(トレンドマイクロ テクニカルサポートグループ 原良輔課長)
「部下が悩んでるポイントをこれまでうまく聞けたのかということを考えるとうまく聞けてなかった。
 もう少し違う聞き方をすればよく把握できたかなという課題として感じた。
 そこを今回の研修をもとに他のメンバーに展開していけるといいなと感じる。」








 

 

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過熱!ふるさと納税 

2014-08-17 07:30:00 | 報道/ニュース

8月4日 おはよう日本


千葉県に住む有馬さん一家。
晩御飯はしゃぶしゃぶ用の豚肉900グラムと白菜、水菜、シイタケなどの野菜(4,000相当)。
これは長崎県平戸市から届いたふるさと納税の特典である。
寄付した金額は1万円だが実質負担は2,000円。
どういうことかというと・・・
今回 有馬さんは平戸市に1万円寄付をした。
お礼の特典としてお肉や野菜が届いた。
ふるさと納税は確定申告をすれば寄付金のうち2,000円超分が所得税や住民税から控除される仕組みである。
控除の額には上限があって年収や家族構成によって異なる。
有馬さんの場合 所得税が戻ってきたり住民税が減額されて8,000円が控除。
実質2,000円の負担で4,000円相当の特典がもらえたというわけである。
いまでは各地のふるさと納税の特典を紹介する情報サイトも登場。
特に人気を誇るのがカニにメロン。
こうした食材はすぐに予定した数に達する。
自治体からすれば多くの寄付を集められれば税収を増やすことが出来る。
そのために魅力的な特典が大事というのである。
宮崎県三股町ではびっくりする特典も。
宮崎牛一頭分の肉。
これは300万円の寄付をした人が対象で限定3組だがすぐにいっぱいになった。
おいしそうな肉が10回に分けて届く。
ステーキやすき焼き用など600人分になる。
(宮崎県三股町 西村尚彦副町長)
「通常の1万円コース 2万円コースも非常に今年は好調。
 5,000万円ほどの納税(寄付)がある。
 とにかく三股町をPRしたいというのが一番。」
ふるさと納税を活用して実際に町に来てさらに滞在してもらおうという取り組みを始めた自治体がある。
大阪府泉佐野市では7月に特典を大きく見直した。
ミズナスや漬物のセット タマネギなどの特産品に加えたのが
関西空港があるという地の利を生かして航空券に交換できるポイントを追加した。
さらに地元の温泉旅館やホテルの宿泊券も選択肢に加えた。
(泉佐野市 政策推進課 今西紀彰さん)
「お得で高級感な食材のあるところには負けるのでどうやってこちらにひきつけられるか。
 みなさんに来ていただければと思っている。」

このふるさと納税が街に活気を取り戻すきっかけになっている。
長野県の山間地にある阿南町。
人口5,000人余りで過疎化と高齢化が急速に進んでいる。
傾斜地に切り開いた棚田。
稲作が街を支えてきたが作り手も減り耕作放棄地があちらこちらに。
しかしふるさと納税がそんな停滞ムードを大きく変えようとしている。
特典として作った地元産のブレンド米“あなんの誉(ほまれ)”が大人気、
自治体の多くが寄付金1万円当たり米10キロというなか20キロと大盤振る舞い。
すると全国から寄付の申し出が殺到。
昨年度は1億4,000万円が集まった。
このお金を税収に充てるのではなく農家からのコメの買い取りや精米の費用などに全額使う。
寄付金を農家の支援に充てることで主要産業のコメ作りを活性化させようというのである。
(町の職員)
「去年もコメをお願いしてだいぶ出していただいたんですけど
 また今年もお願いできればと思って。」
(農家)
「ふるさと納税にしっかり協力できたら。」
農家は町から相場よりも高い価格でコメを買い取ってもらえるためメリットを感じている。
収穫量を増やそうと田んぼの一部を復活させる農家も出ている。
(農家 酒井政勝さん)
「納税する人が大勢出てきたし
 それにはやっぱり収穫量を増やさないと。。
 そんなことで意欲を持って田んぼを増やしました。」
ふるさと納税でにわかに活気づく町。
活性化の一助となっている。
(阿南町振興課 南島剛志さん)
「皆さんが生きがいを持ってやっていただいているというのは非常に町としてもありがたいし
 耕作放棄地の増加に歯止めがかかれば大変ありがたいと思う。」
今年は阿南町はすでに2億円を超える額が集まっていて受付を終了している。
この金額も全額農家の支援に充てる。


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