10月30日、NHK海外ネットワーク
民主党の大苦戦を象徴する選挙区が西部ネバダ州である。
上院のトップ院内総務を務めるハリー・リード候補(76)が厳しい戦いを強いられている。
民主党きっての実力者で5回目の当選を目指しているが、
世論調査で野党共和党の候補にリードを許している。
上院で過半数を死守するためにはネバダ州は“絶対に落とせない”民主党、
オバマ大統領が4回も応援に駆けつけた。
共和党は新人のシャロン・アングル候補(61)、
教師出身の州議会議員でほぼ無名だったが一気に支持を広げた。
アングル候補を後押ししたのが全米で広がる“ティー・パーティー”とよばれる市民運動である。
ティーパーティーの中心は白人の保守層で、
オバマ政権が打ち出した医療保険改革や経済政策は巨額の財政負担を強いるとして反対し、
小さな政府の実現を訴えている。
1773年、宗主国イギリスの増税に反対して紅茶をボストン湾に投げ入れた
“ボストン茶会事件”ティーパーティーはこれにちなんでいる。
中間選挙の上院で“反オバマ”を掲げて、37人の候補者のうち
保守色の強い17人を支持し、全米各地で台風の目となっている。
共和党はティーパーティーの勢いを最大限利用しようとしている。
ネバダ州の集会には共和党幹部も姿を現し、勝利に自信を見せた。
オバマ政権のリベラルな政策に危機感を抱く保守派ティーパーティーの運動が
どこまで広がるのかが中間選挙の結果を左右する。
オバマ大統領が就任して依頼のアメリカの失業率の推移は9%台を1年5ヶ月続けている。
ネバダ州は先月は14%で全米最悪である。
ティーパーティーが極端だと反発する共和党支持者もいるが、
全体としてオバマ政権と与党民主党への厳しい視線は変わっていない。
金融危機から2年以上たっても一向に暮らし向きがよくならない、
仕事が見つからないという国民の怒りは根強く、民主党に逆風が吹いている。
その上、政府が進めてきた金融規制改革の影響で
オバマ政権に対するビジネス界の風当たりも強くなっている。
このため議会下院では共和党が議席を大きく伸ばして過半数を確保する可能性は強い。
また上院でも大幅に精力を伸ばす見込みである。
民主等が上・下院両方あるいはどちらかの多数派の座を失うことになると、
オバマ政権は・・
共和党は巨額の財政赤字削減を強く求めている。
このためアメリカの景気がさらに悪化したとしても
大規模な景気対策や雇用対策は簡単には打ち出せないと予想される。
オバマ大統領が優先課題のひとつとして重視してきた地球温暖化防止法をめぐっても
対立が一段を深まりそうだ。
今後2年間重要政策の成立が難しく、
アメリカは大きく停滞する事態に陥るのではないかという見方も出ている。