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大統領選の余波続くNY

2016-12-31 07:15:00 | 報道/ニュース

12月7日 キャッチ!


ニューヨークはもともと民主党支持者が多く
クリントン氏の地盤ということもあり
選挙戦序盤からトランプ氏への反発が特に強かった町である。
トランプ氏が次期大統領として政権移行に向けた準備を進めるなか
ニューヨーク市民はどんな思いを抱えているのか。

トランプ氏の地元ニューヨーク マンハッタン。
選挙が終わった後も次期大統領への抗議活動が断続的に続いている。
デモに参加しているのは幅広い年齢層のニューヨーク市民。
トランプ氏の排他的な言動に反発する人たちや
ヒスパニックや黒人
学生
同性愛者など
トランプ氏の政策によって影響を受けるかもしれない人たちが
フェイスブックなどでの呼び掛けに応じて参加している。
時には通りの真ん中でトランプ氏の支持者と抗議する人がにらみ合い
互いの主張をぶつけあることもあった。
一方 トランプ氏が住むトランプタワーの前には
会談に訪れる人たちや
閣僚の人事を探ろうと陣取っている報道陣。
その横で選挙から約1か月たった今でも1人
抗議のメッセージを掲げ続けている人がいる。
「無料で写真を撮って
 私を有名な抗議者にしてください。」
トム・ルクレアさん(72)である。
選挙後 10日余りたったころから連日5時間ほどタワーの前に立ち
通りがかる人たちに自分の写真を撮るよう呼びかけている。
フェイスブックなどにトランプ氏への抗議のメッセージを載せてもらうためである。
ユーモアを交えたものなど
掲げたメッセージはしばしば変わる。
「サンタさん
 トランプ氏を北極に連れて行って!」
「怒りは憎しみに勝る」
(観光客)
「トランプ氏が嫌いだから撮りました。
 彼の抗議は平和的です。」
(海外からの観光客)
「面白いけど笑い事じゃないです。」
ときにはトランプ支持者として有名な街のパフォーマーとも接近 遭遇。
なかにはルクレアさんに罵声を浴びせる人もいるがほとんどの人は共感してくれるという。
(トム・ルクレアさん)
「人々の考え方は変わらないし変えようとも思いません。
 まだ怒っている人がいることを示したいです。」
実は大学の名誉教授のルクレアさん。
長年 文学を教え
去年には奴隷制を廃止したリンカーン大統領に関する著書を出版。
トランプ氏によって多様性を受け入れるアメリカの良さが失われる危険性を
見過ごさないでほしいという。
(大学名誉教授 トム・ルクレアさん)
「この活動で皆さんに伝えたいことがあります。
 あきらめるのではなく
 私のように大切なことのため何か出来るのです。」
世界の注目を浴びているトランプタワーに
大きな影響を受けているのが周囲に立ち並ぶ高級ブティックである。
トランプ氏の当選が決まって以降
周囲の警備は強化。
タワーの南と北の通りは車の通行は許可されず
歩行者も持ち物検査を受けなければならない。
タワーの隣にある高級宝飾品ブランドの本店。
全体の売り上げの10%の売り上げを占めるこの店では客足が減り
アメリカでの売り上げは8~10月で前年の同じ時期より2%減少した。
その中で街の中にはトランプ氏に期待する人たちもいる。
トランプ氏はウォール街の関係者を相次いで閣僚に起用することを表明し
株価は連日最高値を更新。
ウォール街の人々の間では
ビジネス界に身を置いてきたトランプ氏が
思い切ったインフラ投資や減税を行うのではないかと期待する声が高まっている。
(市民)
「トランプ氏が公約を実行すれば“偉大なアメリカが復活”です。」
「インフラ投資が進められ
 それによって仕事も増えれば経済は良くなると思います。」
大きな転換の中で翻弄されているニューヨークの人たち。
それを物語る壁がマンハッタンの地下鉄の中にある。
その名も“地下鉄セラピー”。
メッセージを張り付けることで選挙後の気持ちを吐き出してもらう試みである。
この1か月ほどで1万以上のメッセージが集まった。
当初目立ったのは“不安”のメッセージ。
しかし“希望”を占めすメッセージも見られるようになった。
時代の変わり目になんとか向き合おうとする人々の胸の内が浮き彫りになっている。




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海外市場開拓の味方 ディストリビューター 

2016-12-30 07:15:00 | 報道/ニュース

12月4日 おはよう日本

 

国内市場の縮小で苦戦が続く各地の伝統産業。
美濃和紙や飛騨の家具がある岐阜県も他の産地と同じように
海外市場の開拓に力を入れている。
しかしその取り組みは他の自治体とは少し異なっている。
岐阜県が目をつけたのは「ディストリビューター」と呼ばれる流通のプロだった。

スイス チューリヒ。
ここに岐阜県の商品を売り込む男性がいる。
「今年から扱い始めた岐阜のものを紹介したい。」
雑貨の卸業者 トーマス・メルローさん。
彼がディストリビューターである。
この日はいま手掛けている美濃和紙の照明の売り込みである。
メルローさんは岐阜県とタイアップし
2年前から岐阜の産品をヨーロッパに卸している。
岐阜県には伝統の技術を受け継ぐ
和紙や焼き物 かごなどが多くある。
しかし生活様式の変化などから需要は減少。
技術の継承も危ぶまれている。
そこで目をつけたのが「ディストリビューター」を呼ばれる海外の卸業者。
ディストリビューターは単に商品を動かすだけでなく
さまざまな製品に付加価値を付けたうえで
それぞれが持つ独自の販路で店に売り込みをかけ売り上げアップにつなげる。
メルローさんの強みの1つは
消費者のニーズをつかみ商品開発に生かす提案力である。
岐阜市の和紙メーカーの窓飾り。
雪の結晶を窓に飾ることで冬を美しく演出する。
素材の美しさが気に入ったメルローさん。
ヨーロッパの人の季節感に合わせるともっと売れると
メーカーに改善を持ちかけた。
「春になったら冬は忘れたい。」
メルローさんが提案したデザインのモチーフは
羽や葉っぱの形の美濃和紙である。
冬だけでなく四季を通じて売れる商品を目指した。
さらに商品名からも「Winter」という単語を外し
「minoonglass」に変更。
季節に関係なく店頭に出せて
美濃の産地名も入れることで
他の製品と差別化する。
この日は試作品をショップに持ち込みバイヤーの反応を見る。
「これを見てほしい。
 羽の形を作ってみたんだ。」
「本物の羽みたいだわ。
 すごく気に入ったわ。
 冬だけじゃなくて秋にもいいわね。」
「羽なら1年中使える。」
さらにディストリビューターは実務面でも大きな役割を担っている。
この日メルローさんは
チューリヒで売り込みをかけている美濃和紙の照明について
岐阜のメーカーにアドバイス。
「その電球だと熱くなるから燃えやすい。
 LED電球がベターだ。」
ヨーロッパの安全基準をクリアするため
紙製のカバーが熱で燃えないよう電球の種類を限定すべきだと伝えた。
さらに「CE」と呼ばれるヨーロッパの安全認証を取る手続きも行う。
これがないと美濃和紙の照明は売れない。
ドイツの審査担当者と電話で交渉。
膨大な量の申請書も必要である。
岐阜県のメーカーだけではできない複雑な実務である。
「よし 終わった。
 すべて順調だ。」
海外に販路を広げる強い味方 ディストリビューター。
岐阜県はメルローさんの他にも
アジアやアメリカのディストリビューターと関係を築こうとしている。
(岐阜県海外戦略推進室 加藤英彦係長)
「ディストリビューターに正しいアプローチをすれば成功する確率は高くなる。」

岐阜県は
美濃和紙のほか
焼き物や刃物についても
ディストリビューターと連携して売り出しを図っていきたいとしている。




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若者が夢を描ける舞台を

2016-12-29 19:00:00 | 編集手帳

12月26日 編集手帳

 

 大学を出て、
大企業に入るという価値観への異議申し立てか。
サラリーマンを拒み、
「なんとかする会社」を始めた若者らがもがきながら生きていく。
往年の人気ドラマ『俺たちの旅』である。

会社といっても4人だけの便利屋だから、
もうからないが、
束縛もない。
独立独歩の生き方が同世代を引きつけたのだろう。
〈あゝ青春は燃える陽炎(かげろう)か〉との劇中歌の一節が印象に残る。

放送開始の少し前、
その『あゝ青春』(松本隆作詞)で始まる野外コンサートがあった。
作曲した吉田拓郎さんが熱唱し、
「かぐや姫」も交えて熱狂は12時間に及んだ。
1975年の夏、
6万5000人を集めたフォーク全盛期の情景である。

その会場だった「つま恋」(静岡県掛川市)にきのう幕が下りた。
音楽文化を発信した複合施設の終焉(しゅうえん)に時の移ろいを思う方も多かろう。
価値観は多様化し、
働くかたちも変わった。
非正規雇用が増え、
若者は生きづらさにもがく。

「みんなで夢を見ました」。
かぐや姫の南こうせつさんは、
あの日をそう語る。
いまこそ若者が夢を描ける舞台が要る。
ゆらめく陽炎の感傷に沈んでもいられない。



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インド 経済成長“神聖な牛”に深刻な影響

2016-12-29 07:15:00 | 報道/ニュース

12月3日 おはよう日本


国民の8割がヒンドゥー教徒のインド。
寺院には神々とともに牛の姿が描かれている。
牛は神々の遣いで
古くから大切な動物と考えられている。
インドの首都 ニューデリー。
都市部でもいたるところで牛が悠々と暮らしている。
しかし今この大切な牛たちの命が脅かされる問題が起きている。
それは増え続けるゴミである。
牛たちが食べているのはプラスチックのゴミ。
インドでは消費が増え続ける一方で
ゴミ処理施設の整備が遅れていて
街中に放置されたゴミが目立つ。
プラスチックを食べた牛が死んでしまう事故が相次いでいる。
インドでは路上で弱った牛を保護する施設がある。
(保護施設スタッフ)
「今ここでは20頭ほどの牛を保護しています。
 年中無休の24時間体制で
 弱った牛がいるとの連絡があれば専用の救急車で救助しています。」
プラスチックのゴミを食べた牛の治療は手術に至るケースもあるという。
牛が危機にさらされている事態を受け
インド政府も動いた。
環境問題のイベントを開いて首相自ら訴えた。
(インド モディ首相)
「たくさんの牛がプラスチックを食べて死んでいます。
 プラスチックを道に捨てないでください。」
こうした事態を打開しようと動き出した企業も出ている。
南部チェンナイにあるプラスチック袋を製造する工場。
ここで開発されたのが土の中で分解される袋である。
原料には小麦や豆から作った特殊な酵素が混ぜられている。
捨てられても土の中の微生物に分解されるためゴミとして残らない。
(工場長)
「この分解される袋を広め
 通常のプラスチック袋をなくすことで
 社会に貢献したいと思っています。」
この袋は大手ファストフード店などで採用されたほか
海外からも注文が相次いでいる。
さらに使い終わってもゴミにならないという商品も出てきた。
“食べられる”スプーン。
南部ハイデラバードにあるスプーン工場。
原料はすべて食料品。
小麦や米を混ぜ合わせ粘土状にしたうえで型に入れていく。
そして巨大なオーブンを使って高温で焼き上げる。
熱い食べ物の中に入れても溶けることはない。
さらにスパイスや砂糖などが練り込まれたさまざまな味のスプーンもある。
(スプーン製造会社 社長)
「このスプーンをインドに住む10億人に使ってもらえれば
 年間5,500万トンのプラスチックゴミを削減できます。」 
神聖な牛を守るために始まった取り組み。
インドの人たちの環境への意識も変えようとしている。

 

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ヨコスカに活気を 映画に込める地元ラブ

2016-12-28 07:15:00 | 報道/ニュース

12月2日 首都圏ネットワーク


映画「スカブロ」。
横須賀の“スカ”と兄弟や仲間を意味する英語“ブロ”を合わせた。
「横須賀 せまいじゃん。
 いろいろつながるんだよ。」
「実は私 ヨコスカで生まれて3歳まで。
 I was libing right here.」
「横須賀生まれなんだ。」
横須賀生まれの主人公たちが
地元の名所などをめぐりながら展開する愛と絆の物語である。
地元在住の映画監督 矢城潤一さん。
青春時代を過ごしたこの場所には特別な思いがあるという。
(映画監督 矢城潤一さん)
「自分が持つ横須賀への愛情を
 横須賀の映画にぶち込めればいい。」
アメリカ軍の基地がある町 横須賀。
戦後 企業の進出などによって人口が増え続け
町は活気を呈した。
山口百恵 ♪横須賀ストーリー
横須賀をテーマにしたヒット曲も生まれ
全国的に知名度が上がった。
しかし平成に入って雇用を支えていた企業が相次いで撤退。
人口は減少に転じ
3年前には年間の減少数が全国の自治体で最も多くなった。
町の活気をもう一度取り戻したい。
矢城監督がこだわったのは
かつてのヒット曲から伝わる横須賀のイメージである。
ダウン・タウン・ブギウギ・バンド ♪港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ
40年前に流行したこの曲
ヨーコという女性を探して男が横須賀をめぐる歌である。
あんた あの娘の何なのさ
映画の中でもこのセリフ
「あんた あの子のなんなの?」
「娘です。」
「Yea my mom is Japanese.
 Her name is Yoko.」
幼いころ母親のヨーコと離れ離れになった主人公。
母親を探すため便利屋の兄弟の助けをかりながら横須賀の各地を回る。
(映画監督 矢城潤一さん)
「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカとか
 独特の港町の色が最近薄れてきている。
 それをまた再発進。
 もう一度見なさんに横須賀の魅力が伝わればいい。」
映画作りを支えるのは地元の人たちである。
主なキャストには横須賀にゆかりのある人たちが顔をそろえた。
横須賀出身の人気俳優 窪塚俊介さんもその1人である。
(俳優 窪塚俊介さん)
「もっと横須賀もっと横須賀というところで一致団結してやれている。」
地元出身の小泉進次郎氏も出演している。
小泉進次郎氏。
映画の製作費も地元の住民や企業が負担。
半年間で約4500万円が集まった。
さらに撮影などには地元の市民がボランティアとして参加している。
舟木翔央さんは
約2年間海外留学をして映画作りを学び
2か月前に帰国。
故郷の役に立ちたいと
参加を決めた。
(ボランティアスタッフ 舟木翔央さん) 
「地域に貢献したい。
 自分がいままで住んできた町に
 ボランティアでもいいので恩返しをしたい。」
この日は映画をPRするために該当に立った舟木さん。
身に着けているのは地元発祥のスカジャンである。
中学時代の同級生と一緒にビラを配った。
(ボランティアスタッフ 舟木翔央さん)
「この映画を通じて横須賀の外の人たちに横須賀を知ってもらう。
 同時に横須賀に住んでいる住民にも
 横須賀ってこんなにいい町なんだと再認識してもらいたい。」
横須賀市民の地元への思いがつまった映画「スカブロ」。
早ければ2017年春に公開される予定である。
(映画監督 矢城潤一さん)
「いい映画を作りたいということに関しては1つになっている。
 横須賀に対する思い
 愛が絆を生んでいる。
 スクリーンで見た方がリアルにその場所をめぐってみたいとか
 そういう思いになってくれたらうれしい。」

 

 

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造園職人の技 京都の街路樹に

2016-12-27 07:15:00 | 報道/ニュース

12月2日 おはよう日本


京都には見事に剪定された神社やお寺の紅葉を楽しみに全国から観光客が訪れる。
市内の街路樹も美しい景観を楽しむことができる。
街路樹にも京都の造園職人たちの技が生かされている。

京都の街路樹を手際よく剪定する人たち。
普段は由緒ある神社仏閣の庭を手入れするプロの造園職人である。
世界遺産の銀閣寺や二条城など庭園づくりに携わっている。
碁盤の目のように通りが張り巡らされた千年の都 京都。
東西南北を貫く通りに沿って84万本の樹木が植えられている。
冷え込みで色づき
街の景観に色どりを与えている。
(観光客)
「うっとりします。」
季節感と安らぎをもたらす街路樹だが例外もある。
道路標識や信号が見えにくく通行の妨げになることも。
また落ち葉も多く
厄介者として見られがちだった。
そこで活躍するのがプロの造園職人である。
京都市の依頼を受け
17の業者が街路樹の選定を任された。
長い歴史の中で庭園文化を育んできた京都の剪定技術を生かそうというのである。
その1つが「透かし剪定(すかしせんてい)」と呼ばれる技術である。
枝の数を減らしながら樹木全体の形を維持する高度な剪定技法である。
中心から枝葉をバランスよく残していく。
経験と感性に裏打ちされたこの技法は
樹木の成長や日光の入り方も計算されている。
職人の手際の良さが街の風景を変えていく。
(造園職人)
「観光に来た方が神社仏閣を見る途中
 街路樹がきれいに手入れされている感触を味わっていただきたい。」
(沿道の人)
「伸びた髪を切ったようにすっきりした。
 ここに住む人も毎日すっきりした思いで見ている。」
完成した透かし剪定の樹木は日光と影が適度の混ざりあい
通りが淡い光に包まれる。
夏の終わりから京都市内のいたる所で続いてきた造園職人による剪定作業。
秋の冷え込みが街路樹の葉の色を塗り替えていく。
(観光客)
「色が鮮やかになっているのが印象的。」
(イギリス人観光客)
「赤や黄色など色彩が豊富。
 イギリスの街路樹とは違う。」
京都の町に長く息づく街路樹。
いにしえの都に受け継がれたもてなしの心が
街路樹1本1本に散りばめられている。




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アメリカ 授乳に自由を!母子の願い

2016-12-26 07:30:00 | 報道/ニュース

12月1日 キャッチ!


赤ちゃんにとって場所と時間を問わず大切なことの1つが授乳である。
アメリカでは飲食店などの授乳設備が十分に進んでおらず
母親が公共の場で授乳せざるを得場くなる場合が少なくない。
そうした場合 周りの人たちの間でトラブルが起きることもある。

アメリカ東部金親ット州に住むジェシー・マハーさん。
生後半年の娘がいる。
6月に近くのスーパーに行った際
店内で授乳をしているとその場にいた男性客が騒ぎ出した。
「くそったれ!
 お前はバカか!」
「私は赤ちゃんにお乳をあげているのよ。」
(ジェシー・ハマーさん)
「『公共の場だぞ!隠せ!』と彼は怒り出しました。
 近づいてきたときは怖かったです。」
彼女は自分で撮影したこの動画をインターネットに投稿。
数日後には世界中からメッセージが届いたという。
(ジェシー・ハマーさん)
「多くの人が賛同してくれたので自分が正しいと自信が持てました。
 世界中からメッセージがあったのです。」
ロサンゼルスにある母親の授乳を支援する団体。
アメリカではほとんどの州で
「公共の場で授乳する権利」を守る法律が制定されている。
しかしハマーさんが受けたハラスメントの例は氷山の一角に過ぎないという。
授乳する母親の姿を性的なものとしてとらえて
露骨に嫌悪感を示す人が少なくない。
(支援団体 マリセラ・デ・リベラさん)
「公共の場で授乳していると
 『外に出ろ』とか『トイレでやれ』とか言われるのです。
 でも授乳は法律で保証されています。」
ときおり理不尽な非難を受けている公共の場での授乳。
写真の力で人々の理解を広げようとしている女性がいる。
写真家のベネッサ・シモンズさん
授乳する母親の姿を撮影し
写真を通して授乳することの素晴らしさを発信している。
ロサンゼルス近郊で開かれた授乳を推進するイベント。
小さな子どもたちを抱える母親たちが集まった。
(参加者)
「公共の場でも授乳は必要なんです。」
昔から女性や子どもを被写体にしてきたシモンズさん。
自身も子育て中に授乳に対する周囲の嫌悪感を感じたことから
2年前に自身のインターネットページに授乳する母親の写真を投稿した。
すると1週間で100人のフォロワーを失った。
法律で守られている行為がいまだに受け入れられていない現状を痛感したという。
(写真家 ベネッサ・シモンズさん)
「公共の場での授乳に偏見があることがわかりました。」
シモンズさんはその後も
ブログなどにそれぞれの母親の思いなどを載せて写真の投稿を続けている。
シモンズさんが特にお気に入りだという写真はサンディエゴの街角で見かけた光景。
母親は制服姿の女性兵士である。
そしてこの女性が私服に着替えた後の写真。
母親が子供に授乳し父親がやさしく支える姿に
多くの反響があったという。
シモンズさんは公共での授乳が許容され
あたりまえに感じる社会を目指していきたいという。
(写真家 ベネッサ・シモンズさん)
「未来の母親が苦しまないようにしたい。
 社会は子を持った母親に寛容になる必要があります。」
母と子の自然でかけがえのない美しい姿。
シモンズさんはその姿が受け入れられる社会が来るのを待ち望んでいる。



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人生の味わい学ぶ“味覚の授業” 

2016-12-25 07:30:00 | 報道/ニュース

12月1日 おはよう日本


学校の食育で最近新たな取り組みが注目されている。
従来の食育で学ぶ主な内容は栄養のバランスの知識などだったが
いま広がっているのが“味覚の授業”。

Buongiorno(こんにちは)!
兵庫県芦屋市の精道小学校の6年生の授業。
先生を務めるのは市内のイタリア料理店のシェフ 杉原一禎さん。
味わうということを教えにやってきた。
(イタリア料理店シェフ 杉原一禎さん)
「たい焼きを触った瞬間に冷たかったらがっかりするな。
 あたたかかったらうれしいやろ。
 すでに手でおいしいかどうかの情報がわかります。
 食べるのは五感全部を使うんです。」
実際に食べて味覚を体験する。
教材として使われたのはリコッタチーズ。
チーズの中でもたんぱくな味である。
そのチーズにいろんな食材を加え
味がどう変化するのか感じる。
まずは塩で味見。
塩辛くなると思ったら・・・
「変わる!味変わる!
 おいしい。」
「甘い。」
(杉原一禎さん)
「塩は塩味はもちろん うまみや甘みを引き出す力がある。」
続いて使ったのはココアパウダー。
「にがい。」
苦かったココアにオレンジピールと砂糖を加える。
「めっちゃおいしい!!」
「ココアだけかけたときと全然違う!」
「ココアだけだったら苦みが強かったけど
 砂糖とオレンジピールを入れたから甘みが増した。」
「オレンジピールも一種のうまみ。
 甘みと苦みのバランスにうまみが入るとクリームになる。」
食材を組み合わせ複雑な味を作っていくのが料理。
味わうことで食の楽しさが広がる。
(杉原一禛さん)
「お母さんの愛情のこもった料理を食べるときは
 味だけじゃなく目 指先 耳 五感を使って食べください。」
(生徒)
「初体験がいっぱいあってすごくいい体験になりました。」
「味って口の中でいろんなパーティーみたいな感じで広がって行くんだなって思いました。」
授業の仕上げは給食。
杉原さんの考えたオリジナルメニューである。
スルメイカのパスタに白いんげん豆と豚肉の煮込み
プロっこリーのサラダ
かぼちゃのプリン。
パスタの味付けは塩のみ。
レーズンやドライトマトでうまみを引き出す。
Buon appetito(いただきます)!
習ったばかりの五感を意識して1つ1つの味覚を味わう。
言葉で表現することで味への理解が深まる。
(生徒)
「とてもおいしかったです。」
「1つ1つの食材にこんなおいしさがあることに改めで気付きました。」
「今まで感じたことないうまみなどの味がよくわかってきたように感じました。」
(イタリア料理店シェフ 杉原一禎さん)
「子どもは基本的に食べることが好きやなと。
 本質的に人間は食というのを大事にしてるなと感じます。
 感じるっていうことかな。
 触れる・見る・聞く・味わうだけでなくて
 感じるってすてきなことなんでね。
 ざっくり生きないで
 感じながら生きてたら楽しいよということを伝えたいです。」
Buono(おいしかった)!



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小学校受験最前線

2016-12-24 07:15:00 | 報道/ニュース

11月30日 おはよう日本


11月 首都圏の小学校受験のシーズンがスタートした。
受験情報を提供する会社の推計では
東京 神奈川 埼玉 千葉の受験生は約7万人。
私立小学校の数も増加している。
平成13年以降 全国で58校増え
その数は1,3倍になった。
3年前には横浜に慶應義塾の初等部が開校。
早稲田実業学校初等部 日本大学 同志社 立命館など
有名大学の小学校が次々に設立されている。
少子化のなか早くから児童を確保したいという大学の戦略があるとみられる。
首都圏15か所に幼児教育を展開する塾では
この10年で受講生が1,4倍に増えた。
その内かつては少なかった共働きの家庭が4割を占めているという。
塾では
少子化もあり
費用をかけてでも中学・高校・大学に進学できる私立に魅力を感じる親も増えているという。
(ジャック幼児教育研究所 大岡史直理事)
「兄弟が2~3人いればみんなを私学に入れるというのは難しくても
 1人だったら“この子に”という考え方の親も増えてきている。」
大学の講師をしている北田真理さん(45)はa

共働きで一人娘を育てている。
娘は今年4年制大学の系列小学校を受験した。
北田さんは
小学校受験を選択した理由の1つは
きびしい中学や高校、大学受験に時間を費やす必要がないからである。
(北田真理さん)
「音楽をやりたい
 ダンスをやりたい
 いろんなことをやりたい思いの中で
 受験をすればそれを中断するということになってしまう。
 それは非常にもったいないことだなと。」
さらにもう1つ
仕事を続けながら大学まで何度も子どもの受験を乗り越えるのは大変だと感じたからである。
(北田真理さん)
「進路を考えていってあげる時間が自分にどれだけ持てるのかと思うと
 ここで安定した学校に入ってもらって
 1度で済ませたいという思いがある。」
こうした働く母親のニーズに応えようと私立小学校でも新たな動きがある。
学校内に設置された学童保育。
帝京大学小学校では去年 設置した。
子どもを預かるだけではない。
ベテラン講師を呼んでピアノの個人レッスン。
さらに英語教室まで。
有料だが他にも水泳や体操など様々な習い事ができる。
(帝京大学小学校 星野昌治校長)
「費用対効果ではないが
 お金をかけただけそれなりの教育をしてくれるというのが
 一番の私学の魅力 価値になってくるのではないでしょうか。」
こうした状況に専門家は
長い目で子どもの教育環境を考えたうえで小学校受験を選択すべきだと指摘する。
(リクルート進学総研 小林浩所長)
「私立学校に行くということは
 そのご家庭が教育方針を持っていれば
 その理念にあった学校に行くというのは非常にいいことだと思う。
 ただ同じ環境の中で同質性の中で大学まで一貫していくというのは
 ほかの社会から隔離された状況というのも考えられるので
 家族でいろいろ一緒に考えながら選んでいくといいのではないか。」



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味わい深く心をつかむ うまい酒を

2016-12-23 17:00:00 | 編集手帳

12月19日 編集手帳

 

 外国で酒場を開くため、
2人の男が様々な酒を仕入れて船に乗る。
ところが上陸寸前、
瓶詰の商品には重税がかかると知らされ、
瓶を開けて二つの樽(たる)にぶちまけた。
一つ目の樽の酒はひどい代物だったが、
二つ目は美酒となり大もうけする。
帰国後、2人は汗だくで再現を試みるが…

オー・ヘンリーの短編『幻の混合酒』である。
税との闘いは時に思わぬ恩恵をもたらす。
ウイスキーが熟成のうまみと琥珀(こはく)色を得たのは、
税逃れに木樽に隠したのがきっかけという。

この20年余、
ビール会社の闘いを応援してきた人も多かろう。
少しでも安くと、
麦芽の少ない発泡酒、
別の原料を使う「第3のビール」を次々と開発した。
だが、
税制改正で、
今後10年かけ、
みなビールと同じ税率になるそうである。

ビールは減税され、
発泡酒は捨て石となる感もある。
かつては政府税調の会長に「酒文化を損なっている」と味まで酷評された。

味わいを磨き、
健康志向に応え、
企業努力は消費者の心をつかんできた。
税対策ではなく品質の競争に専心すれば、
もっとうまい酒が生まれよう。
税制が「賢者の贈り物」になればいい。



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中国ネット販売急増 巻き返し狙う日本企業

2016-12-23 07:15:00 | 報道/ニュース

11月28日 国際報道2016


中国のネット販売の売り上げは3年で2倍以上に急増。
今年はさらに売り上げが伸びると言われている。
その一方でネット販売の急拡大に押されて
店頭でものを売る小売業界は経営環境が悪化している。
中国の上場している小売企業のうち
売り上げが前年割れした企業の割合はここ3年で急増。
今年は全体の6割以上が売り上げを減らしている。
こうしたなか中国に進出した日本のスーパーやデパートなども業績が振るわず
きびしい状況に追い込まれている。

中国ではネット販売に押され商業施設では深刻な影響が出ている。
遼寧省のデパートではテナントが次々に撤退し空き店舗が目立つようになった。
中国では全体の4分の1にあたる1、000近くの大型商業施設が経営危機にあるという。
採算の悪化で閉鎖に追い込まれる商業施設も少なくない。
北京にある日系スーパーの主力店も10月に営業を終了。
北京に最大9店舗あったが7店舗が閉鎖に追い込まれた。
(イトーヨーカ堂 常務執行役員 三枝富博中国総代表)
「非常にネットの存在というのは肌で感じてきている。
 お店で商品を見てそのまま買わないで帰る。
 なぜならばネットだと値段が安いから。」
ネット販売の攻勢にどう対抗するのか。
この日系スーパーが力を入れているのが生鮮食料品売り場の充実である。
誰がどのように生産したのかを表示。
商品のバーコードにスマートファンをかざすと詳細な情報を確認できるようにした。
値段は通常の商品の2倍以上だが
安心・安全を前面に打ち出し
ネット販売が広がるなかでも着実に売り上げを伸ばしている。
(客)
「子どもに安全なものを食べさせたい。
 ここは信頼できる。」
「実際の店舗は値段が高くても信用できる。」
この売り場を担うのが専門の買い付け部隊である。
ネットでは流通していない品質の高い野菜や肉などを生産する農家を
中国全土で開拓しようとしている。
買い付けの担当者は頻繁に農家を訪ね
商品の安全性や品質を自ら確認している。
(農家)
「雑草はすべて手で抜いています。」
(担当者)
「農薬は使っていない?」
(農家)
「使っていないから値が張るんです。」
この農業法人は有機野菜を専門に扱うが
店頭での販売好調を受けて
毎日400キロ以上の野菜などをおろしている。
買い付けの担当者はネット販売に客が流れないよう
店の看板商品として扱いたいとさらなる増産を依頼した。
このスーパーの食品にてこ入れした店舗では黒字を確保できる見通しである。
ただネットでも生鮮食品が次々と売られるようになり
商品の差別化が生き残りのカギになっている。
(イトーヨーカ堂 常務執行役員 三枝富博中国総代表)
「ネットだから“何でも売れる”というものではなくて
 “求める品質があるもの”
 “求める価値があるもの”
 という意味で独自のオリジナル商品をどう提供できるか。
 本物だとかこだわりというのは中国人客自身わかってきているから
 それに答えられるような企業としての対応力を高めていくことが求められている。」
ネット販売の急増は商品を運ぶ物流会社にも影響を及ぼしている。
日本の大手物流会社は6年前 上海に進出し
国際配送や
中国には無かったクール便を展開。
配送の質の高さを売りに事業を拡大してきた。
さらにネット販売の事業にも今年 新たに参入した。
この会社では中国の大手ネット通販会社と提携し
日本企業を仲介。
日本の人気のある商品を中国のサイトで直接販売できる仕組みを作った。
大手物流会社では中国のネット通販会社に対してこれまでに3社の日本企業を仲介。
高品質な日本製品の販売でサイト全体の売り上げ拡大につながるとアピールしている。
(日本 大手物流会社 担当者)
「中国・海外に興味のある日本のお客様を御社と結び付けることで
 お客様も御社も我々もWINできるように。」
(中国 大手ネット津半会社 担当者)
「中国のネット通販市場は毎年20%ずつ伸びています。
 私たちは2億人近い顧客がいます。
 日本企業にとってもビッグチャンスですよ。」
大手物流会社は大阪に本社がある日本の通販大手を訪ねた。
この会社の肌着と上着が一体化したベビー服などは中国で人気を集めている。
この通販大手では中国のサイトでの販売が実現すれば
中国で知名度が飛躍的に高まり売り上げが大幅に増やせると期待している。
(千趣会 EC企画運営部 岩本公輔さん)
「中国という大きなマーケットで当社のブランドを認知していただき
 購入につなげる活動に何が何でも対応したい。」
(ヤマトグローバル ロジスティクスジャパン 岡野哲也支店長)
「今までお客様は“いつ届くかわからない”という課題を抱えていました。
 中国へのプラットフォームを作ることで
 日本のお客様の販売拡大とともに
 中国のお客様も無事に安全に確実に届くサービスを提供したい。」



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“シェアリング”中国で拡大

2016-12-22 07:15:00 | 報道/ニュース

11月29日 キャッチ!


北京や上海などの大都市でネットで予約できる自転車のシェアリングサービスが広がっている。
特徴は圧倒的な値段の安さと使いやすさである。
まず利用者は
スマートフォンのアプリで近くにある利用されていない自転車を探し予約を入れる。
自転車には鍵がかけられているが
スマホでバーコードをスキャンすれば解除される。
使い終わった自転車は鍵を閉めると自動で決済される。
どこに乗り捨てていっても問題ない。
料金も30分で約16円と安く
電子マネーで瞬時に決済。
24時間利用可能である。
(利用者)
「いつでも使えて便利です。」
「自分の自転車だと盗まれる心配がありますが
 その心配がないし
 置きっぱなしにもできます。」
サービスを提供する北京のベンチャー企業。
客の利便性を高め
管理の手間を省くため
専用の自転車を開発した。
タイヤは丈夫な素材でパンクを防ぎ
いたずらされないようチェーンを使わない構造を採用。
車体にGPSが付いているため盗まれても探し出せる。
サービス開始から半年余り。
乗り捨て自由なスタイルが若者中心に受け
中国全土で10万台以上が稼働している。
(ベンチャー企業代表)
「技術の力で良い生活スタイルを提供したいです。」
乗り捨てできるシェアリングサービスは自動車の分野にも広がっている。
内陸部の重慶市では
欧米でカーシェア事業を展開するドイツの自動車メーカーが
地元当局と提携して今年からサービスを開始。
利用する時はアプリを使って最寄りの空車を予約。
車の窓に表示される番号をスマホで入力するとドアが開く。
小型車を400台配置し
重慶市内の中心部約60平方キロの範囲では
市が管理する道路わきの駐車スペースや提携する商業施設などに自由に乗り捨てられる。
市内で飲食店を経営する高さん。
店に必要な物の買い出しや友人との会合などでこのサービスを使っている。
料金は走った時間と距離で計算し
15分で5キロ走った場合は約200円程度である。
(利用者 高さん)
「車体もかわいいし小回りがきくので便利です。
 道を知らないタクシー運転手が多くて途中下車することもあるので
 これは便利です。」
会員数は半年で18万人。
予想を超える速さで広がっているという。
運営会社は
地元当局が十分な駐車スペースを積極的に提供してくれたことが
日本ではなく中国で事業を始めた理由だったと説明する。
(カーシェアリング運営会社 ベルンハルト・ウェントラントさん)
「中国政府はシェアリングエコノミーや環境にやさしい経済に注目していて
 成長の余地はとても大きいです。」
拡大するシェアリング事業は
中国が目指す経済の構造転換による問題も軽減する役割も担うようになっている。
山西省に住む白峰さんは14年間炭鉱で働いていたが
石炭の生産能力を減らす政府の方針を受けて
会社側は一部の炭鉱を閉鎖。
白さんは去年 自ら会社を去ることになった。
その白さんが生活のために始めたのが自家用車を使ったシェアリングサービスである。
配車アプリによって一定の利用者を確保できるため
今では前の職場と同じくらいの手取りを得ることができるという。
(元炭鉱従業員 白峰さん)
「この仕事は疲れないし楽です。
 体裁も良く家族も指示してくれています。」
中国政府は営業許可を持たない一般の人が客を乗せて走る
いわゆる“白タク”について
今年規制を緩和。
ネットを通じた配車に限り認めた。
運転手と客の乗車履歴が記録され
車の位置が瞬時にわかるため犯罪の温床にならず
シェアリングエコノミーの拡大が見込めると考えたからである。
中国では規制の緩和を受けて
石炭や鉄鋼の元労働者50万人を含む1,300万人余が
車を使ったシェアリングサービスの担い手になっているという。
(配車アプリ会社)
「ハイヤーの需要はこれにとどまらず
 業界の発展でさらに雇用を生み出します。」




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「王子すぎる指揮者」 西本智実 イスラエルへの思い

2016-12-21 07:15:00 | 報道/ニュース

1月28日 国際報道2016


西本智実さん。
世界的にも数少ない女性指揮者である。
華麗に指揮をするその姿からファンの間で「王子すぎる指揮者」とも呼ばれている。

11月上旬  西本さんは中東の聖地エルサレムを訪れた。
指揮するのはイスラエルのオーケストラ エルサレム交響楽団である。
イスラエル大使館の依頼で共演が実現することになった。
リハーサルの初日。
メンバーに短く段取りを説明する。
「第1 第2 第3とやって最後にアダージェット。」
これまでに30カ国で指揮してきた西本さん。
初めてのリハーサルはいつも空気が張りつめる。
(指揮者 西本智実さん)
「緊張感というのはすごくあります。
 やはり国によって
 楽団によってずいぶん違う。
 やりとりしながら作っていきますので
 お互いいろいろ見合ってというのもあります。」
西本さんは20代後半にクラシック音楽の本場 ロシアに留学。
世界的にも女性の指揮者が少ないなか
伝統あるロシアのオーケストラで実績を重ねた。
エルサレムを訪問するのは初めてである。
旧市街では土産物屋や日用品店が並ぶ石畳の路地を異なる宗教の人がすれ違う。
(指揮者 西本智実さん)
「いや もう初めての光景に圧巻といいますか
 いろんな香辛料の臭いとか含めて
 言葉とか聞こえてくる言葉とか。」
イスラエルは常に意識していた国だと言う。
ロシアや世界各地で数多くのユダヤ系の音楽家と接し
影響を受けてきた西本さん。
今回の訪問はその源流をたどる旅でもある。
(指揮者 西本智実さん)
「私の先生とか
 これまで共演してきた音楽家たちはユダヤの方が非常に多いので
 そういう人たちがいろんなところで後押ししてくださって
 今に至っていますので。」
リハーサルはいつも試行錯誤の連続である。
国や文化の異なるもの同士
指揮者として楽団をどうまとめていくか
真剣なやりとりが続く。
(指揮者 西本智実さん)
「最初に提示する
 強い意志を出すこともあります。
 やってみて今ひとつ手応えがあれだなと思ったら
 またちょっと違う方法を考えていく。
 もちろん相手があってのことなので。」
演奏を通じてイスラエルの空気や文化を表現したいと考える西本さん。
指揮することにしたのは
ユダヤ人の作曲家であるマーラーの「交響曲第5番」である。
(指揮者 西本智実さん)
「マーラーもユダヤの方ですし
 ユダヤとかかわりの深い作曲家の作品をと思った。
 その中でも非常に有名なマーラーということで話がぴたっときたわけです。」
公演当日。
「マエストラ トモミ・ニシモト」
緊張する楽団員の人たちの間を進む西本さん。
地元の人々で会場は大入り満員となった。
本番。
(観客)
「見事だった。
 すばらしかった。」
「彼女はオーケストラをコントロールし
 表現豊かで非常に感動的な演奏を披露した。」
西本さんは
人々の聖地への思いやユダヤ人の積み上げてきた歴史を体で感じたと言う。
(指揮者 西本智実さん)
「その国々特有のものというのを自分で得るためにいろんな国でやってきたわけですけども
 そちらの部分を今後はどんどんいろんな国々で出していこうという考えですね。」


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オーストラリア 日本語でも授業 バイリンガル小学生

2016-12-20 07:15:00 | 報道/ニュース

11月26日 おはよう日本


オーストラリアでちょっと変わった公立の小学校が注目を集めている。
特徴は
小学校のすべての授業を母国語の英語だけでなく
縁もゆかりもない日本語でも行うバイリンガル教育である。
この異色の組み合わせによる教育ががさまざまな効果を呼んでいる。

「おはようございます。」
オーストラリア東部ブリスベーンにある州立ウェラーズビル小学校。
3年前からすべての教科を英語と日本の2つの言語を半分ずつ使って学んでいる。
この日の3年生の詩の授業は英語で行われた。
しかし次のオーストラリアの地理の授業になると日本語で学ぶ。
「この州は?
 みんなで せーの・・・」
「クイーンズランド州!」
全校生の3割にあたる261人の児童が
こうしたバイリンガル教育で毎日勉強している。
ほとんどがこれまで日本と全く縁がなかった子どもたちである。
♪ はこう はこう 鬼のパンツ
 あなたも私もあなたも私も
この学校があるクイーンズランド州では
それぞれの学校が独自のプログラムで教育することを推奨している。
日本語のバイリンガル教育を導入したジョン・ウェブスター校長。
かつて日本人の学生をホームステイで受け入れたウェブスターさん。
そのときの経験から
英語とは構造も考え方も異なる日本語を学べば
異文化への理解が深まるとともに思考力も養われると考えたのである。
(ジョン・ウェブスター校長)
「このプログラムを導入する前
 私たちの学校にはオーストラリアという1つの物差ししかありませんでした。
 バイリンガル教育は家庭では
 決して得られない経験を子どもたちにもたらしてくれると思うのです。」
子どもたちが一番好きな授業はそろばん。
「15円なり 5円なり 9円では?」
授業では子どもたちが日本語に関心を持ち続けられるよう
さまざまな工夫をしている。
算数の授業の一環として行われるそろばんは正しい発音の練習にもなる。
「ねがいましては
 19円なり・・・」
(小学生)
「そろばんは楽しいと難しい。
 「10けたが難しい。」
「5439円です。」
「はい よくできました。」
早く答えられたり成績が良かった時のご褒美は
日本の子どもたちにもおなじみのビー玉。
3年生のイライザ・プレスコットさん。
バイリンガル教育の1期生として日本語を3年間学んできた。
今では学校の紹介ビデオに起用されるまでに上達した。
はじめまして。
私の名前はイライザ・プレスコットです。
日本語の授業は全部日本人の先生が日本語で教えます。
母親のセーラさんは
日本語を学び始めた娘に変化が見え始めたという。
(母 セーラさん)
「日本の文化を学ぶことで
 相手への尊敬の念を持つようになりました。
 食事のときも『いただきます』と感謝の言葉を口にするんです。」
(イライザ・プレスコットさん)
「(日本語を)やめたくなったことは一度もありません。
 日本でどんな暮らしをしているのか学ぶのはとても面白いです。」
プログラムを導入して3年。
学校はその教育の効果が少しずつ見えてきたと考えている。
今年5月に行われた英語の読解や文法の理解度をはかる全国学力テストの結果。
最も良い成績を示す「6」をとった児童の数を比べると
日本語も同時に学ぶ児童が
英語だけで学ぶ児童を上回ったという。
(ジョン・ウェブスター校長)
「脳が発達する前の幼いうちに2つの言語を学んだ子は
 良識ある賢い人間に育っていきます。
 バイリンガルで教育することは子どもにとっても学校にとっても大切なことなのです。」
♪ この大空に翼を広げ
 飛んでいきたいよ
日本語と英語という全く異なる2つの言語で学ぶ子どもたち。
その成長の様子は地域の人たちにも見守られている。
(生徒の母親)
「子どもたちが異なる文化を理解し
 楽しみながら2国の懸け橋になるなんて
 素晴らしいことだと思います。」
オーストラリアで始まったバイリンガル教育。
この町からどれだけの子どもたちが羽ばたいていくのか
熱い視線が注がれている。

この小学校では2020年までに
全校生徒が英語と日本語による授業を受けられるようにしていきたいということである。

 

 

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本は“城の崎にて”

2016-12-19 07:15:00 | 報道/ニュース

11月25日 おはよう日本


志賀直哉の小説「城の崎にて」。
この小説の舞台となっている城崎温泉の魅力を本で伝えようという取り組みが始まっている。
兵庫県北部の城崎温泉。
歴史ある旅館が並ぶこの町には
日常とは違ったゆったりとした時間が流れている。
この城崎温泉で静かな話題を読んでいるのが
人気作家の万城目学さんと湊かなえさんが書き下ろした
見た目が一風変わった本である。
万城目さんの「城崎裁判」は
スランプに陥った作家が城崎を訪れ物語は始まる。
装丁にも一工夫。
ブックカバーには温泉タオルを使っている。
湊さんの「城崎へかえる」は
幼いころから城崎を訪れていた女性の一人旅を描く。
表紙の風合いは名物のカニをイメージ。
これらの本を手に入れることができるのは城崎温泉だけである。
(旅行客)
「城崎温泉でしか買えないみたいなので
 せっかく来たので買っておこうかと。」
千年以上続く名湯には多くの小説家や歌人が訪れた。
与謝野晶子と鉄幹
島崎藤村
司馬遼太郎
名だたる作家たちが滞在し作品を生み出した。
志賀直哉が定宿にした旅館 三木屋。
「城の崎にて」にも登場する。
三木屋10代目の当主 片岡大介さん。
片岡さんら旅館の若手経営者は訪れる人を増やすために
文学とのゆかりの深さを生かしたいと考えていた。
「カニだけではやっていけない。
 オフシーズンをどう盛り上げるかという中で
 それ以外のこともしなければ。」
そこで目をつけたのが本。
出版のためにNPOを起ち上げた。
執筆を依頼した万城目さんには2度の城崎滞在でイメージを膨らませてもらった。
湊さんは年末を城崎温泉で過ごすのが恒例。
その縁で執筆が決まった。
万城目さんの「城崎裁判」は初版の1,000部がすぐに完売。
その後も版を重ねている。
現在 最新刊の湊さんの「城崎へかえる」も好調である。
万城目さんと湊さんが城崎温泉を訪れ
この町の魅力を語った。
(作家 万城目学さん)
「こんなにしっくりと町に自分の作法がフィットすると思わなかった。」
(作家 湊かなえさん)
「おじいちゃん おばあちゃんが住んでたり
 自分が昔住んでたりしなくても
 こういう“心のふるさと”というのは自分で作ることができるんじゃないかと。」
(作家 万城目学さん)
「“城崎で書いて”“城崎でしか売らない”
 すごくおもしろい。
 間違いなくひとつの形。」
(「三木屋」当主 片岡大介さん)
「城崎のガイドブックのようにも楽しんでいただけるのでは。
 これからも“本と温泉”は継続していく。
 町全体で取り組んで
 育てていきたい。」
この地でしか手に入らない本。
この地だから生まれた本。
城の崎にて
あなたを待っている。



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