7月2日 おはよう日本
南半球にあるニュージーランドは
ラグビー・ワールドカップで連覇を果たした強豪。
ラグビーが国技でもある。
その強さの秘密を学ぼうと世界から多くの留学生が訪れている。
ニュージーランド クライストチャーチにあるバーンサイド高校。
3年前からラグビー留学生のためのプログラムを運営している。
この春参加した21人のうち
日本人は最も多い17人。
リオデジャネイロオリンピックで正式種目となる女子ラグビーの人気もあり
6人の女子選手も参加している。
プログラムの特徴は
5か月にわたって選手を1日中ラグビー漬けにすることである。
午前中はグラウンドでみっちりと技術練習。
それが終わると専任トレーナーが付き添い
ラグビーに必要な基礎体力の向上を図る。
週に7時間ある英語の授業。
教室で学ぶのもラグビーで使う用語である。
(ラグビー留学プログラム担当 マーク・イーリーさん)
「ここはプロを目指す選手のラグビーアカデミーです。
みんな自信をつけて巣立っていきます。
5か月のプログラムで2年分に相当する内容です。」
最年少でプログラムに参加している島根県出身の笹田美海さん。
中学3年生である。
中学に入学してからラグビーを始めた笹田さん。
抜群のスピードで全国で知られる存在である。
(当時中学1年 笹田美海さん)
「ラグビーで東京オリンピックに出たいです。」
より高いレベルで自分を試したい。
笹田さんは女子ラグビーで世界トップレベルのニュージーランドへの留学を決めた。
(笹田美海さん)
「日本は1日の中でタックルやったりパスしたりするけど
外国では1日パス練習とか
1日タックル練習とかなので
すごく頭に入っていい練習が出来ました。」
女子ラグビーが盛んなニュージーランド。
笹田さんは高校での練習が終わった後
大学生が主体の地元のクラブチームの練習にも参加させてもらっている。
チームのキャプテンはニュージーランド代表のスター選手
ケンドラ・コックセッジさん。
憧れの選手との練習で
笹田さんのモチベーションも上がる。
(ケンドラ・コックセッジさん)
「留学生たちはラグビー王国ニュージーランドでいろいろ吸収していると思います。
若くて意欲的なので将来が楽しみです。」
しかし日本では同世代のトップクラスの笹田さんもニュージーランドでは思うようにプレーができない。
5月に行われた練習試合。
笹田さんはパワーがある相手チームのタックルをなかなかかわすことができない。
試合中に左足のじん帯を痛めてしまった。
(笹田美海さん)
「全然ダメだった。
いつもどおりの動きが全然できずチームに迷惑をかけてしまった。」
日本では経験したことのない激しい当たりに
世界の壁を見せつけられた。
自信を失いかけていた笹田さん。
ラグビー部のコーチは練習に復帰した笹田さんに思いがけない提案をした。
「きょうは違うポジションも試してみます。」
これまで経験したことのない
攻撃の起点となるスクラムハーフのポジションに挑戦することで
ラグビーを違った角度から見てほしいと言われる。
(ラグビー留学プログラム担当コーチ キム・ブラウンさん)
「ニュージーランドでは小さなときからラグビーを始めるので
みんなラグビーを体で理解しています。
日本人もここでいろんな経験を積み
ラグビーの本質をつかんでほしい。」
6月中旬の練習試合。
笹田さんは初めてスクラムハーフとして試合に出場した。
仲間にパスを出すタイミングを計り攻撃のリズムを作る。
状況を見きわめ
自らもボールをもって走る。
ニュージーランドのラグビーに触れたことで笹田さんはこれまでに無かった手ごたえを感じている。
(笹田美海さん)
「前を向いて頑張った。
気持ちがまだ日本の代表選手と違うと思うので
メンタルからしっかりと鍛えていきたい。」
ラグビー大国ニュージーランド。
本場でこそ知ることのできた世界のレベル。
笹田さんはさらなる飛躍を目指す。