1月18日 NHK海外ネットワーク
中国で使われている簡略化された漢字 簡体字(かんたいじ)。
中国政府は1950年代に
国民が感じを覚えやすくして識字率を上げようと画数が少ない字体を作り出した。
全部で2000もの簡体字が作られた。
中国ではこの簡体字が一般に普及しているが
画数の多い昔ながらの漢字は香港や台湾などで使われている。
しかし今若者たちの間で画数の多い古来の漢字の人気が高まっている。
上海の繁華街のあちこちで見られる簡略化された漢字 簡体字。
歓迎、広場などどれも簡体字である。
天気予報のテレビの字幕も
習近平国家主席の名前も簡体字である。
政府の指導のもと中国では簡体字が使われてきた。
しかし今カラオケ店のモニターに映し出される歌詞には昔ながらの漢字が使われている。
若者の間で流行っている香港や台湾の歌では現地で使われる中国古来の漢字を歌詞の字幕に使っていいのである。
中国の若者たちの間ではこうした古くから使われる漢字が話題となりインターネット上でも大きく取り上げられている。
美しく躍動的な感じが好き
古来の漢字への思いが高まる
パソコンやスマートフォンを使いこなす若者たちは画数や字体の複雑さに戸惑うことは無い。
むしろ台湾や香港など流行の発信地で使われる昔ながらの漢字が若者たちには新鮮に映る。
「古い漢字はかっこいいしキャラが立っている。」
古来の漢字に対する人気は幅広い世代に広がっている。
書道教室には大人から子どもまで多くの人が通っている。
画数が多く複雑なのに整っているところが魅力だと言う。
古来の漢字に触れることが出来る貴重な機会とあって通う人が年々増えている。
(書道教室の先生)
「画数も多いうえに形も複雑なので覚えるのは難しいと思う。
でも次第に慣れてきて子どもたちも好きになっている。」
一方 香港では簡略化された字体を使わず中国古来の複雑な漢字を使い続けている。
しかしいま町では簡体字が増え始めている。
その理由は中国本土から訪れる観光客である。
年々増え続け今では年間4000万人にのぼる。
観光客を意識して新たに設置された両替所の看板には簡体字も使われている。
香港に広がる簡体字。
中国の影響力拡大に危機感を抱いて抗議行動を行ってきた学生からは懸念の声が聞かれる。
「今の香港の文化や言葉など独自のものが
中国本土の影響をじわじわと受けてきている感じがして心配。」
香港の専門家は
それぞれの漢字の特徴を理解しながら使い分けることが重要だと話す。
(香港理工大学 陳教授)
「中国の文化を伝承するには古くからの事態が良いと思う。
簡体字も実用的観点から知っておく必要がある。
中国の大事な文化的資源なので保護していくことが大切。」