8月26日 サンデーモーニング
イギリスの経済紙エコノミストが掲載した一枚の風刺画がある。
富士山を背景に着物を着たアメリカのオバマ大統領と
髪にかんざしをさしたドイツのメルケル首相。
そしてタイトルは
“Turninng Japanese(日本人になってしまう)”。
記事の内容は
財政赤字など難問を先送りする欧米諸国の政治状況を揶揄したもの。
海外では政治が指導力を発揮せず物事が先送りされることを
しばしば“日本化”という言葉で表現する。
こうした言葉の使われ方について野田総理は
「日本化するなどという言葉が
世界から消えるような政治をつくらなければ
この国は滅んでいくんではないか。」
19日日曜日 政府は福島県で
除染で出た廃棄物を一時的に保管する
中間貯蔵施設の具体的な候補地を初めて公表した。
これに対し候補地の一つとなった福島県双葉町の井戸川町長は
「とんでもない話。
政府のやり方もていねいに下から積み上げていくような議論でやってほしい。」
現在ようやく中間貯蔵施設の候補地の名前があがったばかりで
やはり見切り発車の感は否めない。
やるべきことを先送りし
ぎりぎりになってあわてて“対処療法的に解決”をはかる。
今回の原発事故の処理に限らず
そうした事例は他にも数多くみられる。
もともと日本化という言葉が使われる原因ともなった巨額の財政赤字。
国の借金の総額は976兆1,853億円(今年6月末時点)と過去最大。
にもかかわらず依然として毎年巨額の赤字国債を発行している。
さらに
政治、経済、外交と先送りしてきた問題が山積する日本。
なぜこうした先送り体質が日本には根づいてしまったのか。
法政大学 白鳥浩教授
「曖昧模糊としながらひとつの政策を展開して
対立を作りそうなところでは問題を先送りする。
多様なものを許容する日本人のメンタリティーが反映している。
白黒を二元的に作る西欧のグローバリズムと
日本人の考え方は本来違う。」
西欧的な二元論ではなく白黒はっきりさせることを好まない日本人の特性。
こうした特性が物事を曖昧なままにしがちな一方
異なるものを排除せず受け入れる社会や
自然との調和を重んじる国民性を生んだともいえる。
明治初期に日本を訪れたフランス人実業家エミール・ギタは
争いを好まず温和な日本社会に目を見張る。
安楽で静かで幸福な生活
大それた欲望を持たず
競争もせず
穏やかな感覚と
慎ましやかな物質的満足感に満ちた生活を
なんと上手に組み立てることを知っているのだろう
白鳥浩教授
「多様な価値観と共存できる。
グローバリズム時代の閉塞感を乗り越えていくポジティブな側面もある。」
「一歩間違えると何も決定できない。
現在抱えている問題は待ったなし。
原発や財政赤字の問題は区別して考える必要がある。」